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ふじこ?に質問
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....何か薄暗いな。いや暗いと言うより、白黒映像の様な視覚で目が覚めた。
ええと、なんだっけ?居酒屋で打ち上げして、家で全裸で寝て、急性心不全で死んで、異世界に転生したんだったよな。
ここはどこだ?まず俺の状況を確認しよう。うん全裸だね!、髪をかきあげると
違和感が。うん、角だね!背中に手を回すと違和感が。うん、翼だね!
やっぱ俺、悪魔に転生したらしい!
引き続き全裸。まあ他の連中が赤ん坊から始めるんだから俺だけ服着てるのも
変か。つーか翼があると、上半身は服着れないよね。まず現状を確認しようか。
ここは何処なんだ?廻り見渡すと。洞窟の様な場所らしい。なんか奥に物置のような建物がある。建物に近寄ろうとすると、直立した黒猫が敬礼して目の前にふわふわ現れた。
「初めまして!ボクがマスターに仕えるっすよ!ガイドエレメンタルの
ケット・シーっす!」
ハァ?なんだこいつは?ケット・シーって確か”長靴を履いた猫”だったよな。
成程、赤い長靴を履いてる。
「お前はなんなんだ?意味が分からない」
俺はまだ混乱している。
「やだな~マスター、ボクを選んでくれたじゃないっすか~。目指しましょうよ!
レッツ!世界秩序改変!」
「お前を選んだ?ひょっとしてお前はコウエイの遺産か?」
「え?コウエイ様は先代使徒っすよ。ボクも可愛がって貰ったっす。コウエイ様
の遺産はあちらっすよ」
黒猫はふわふわクロールする様に宙を漂いながら、奥の物置を目指した。
「いや、ちょっと待ってくれ。そうするとお前はふじこか?」
「ちょっと何言ってるのか分かんないっす」
前世にいた芸人みたいな返しで何か腹立つ!まあコイツがふじこ?だろうな。
だって選択肢的に他に考えられないもん。
文字化けしてふじこ?になってたんだろうな。
黒猫はふわふわクロールの様に宙を漂いながら、奥の物置を目指した。
「取り合えず、コウエイ様の遺産を確認しましょうよ!」
待てよ。コイツはさっき先代使徒って言ってたよな。悪魔じゃなくて使徒?
「ちょっと待て、先代使徒って何だ?コウエイ様の遺産って何だ?
あと、ガイドエレメンタルって何なんだ?」
「先代使徒のコウエイ様は、人族以外の種族も差別なく生活出来るような国を
作ろうとした立派な方っす。コウエイ様の遺産は、前回の大戦で亡くなられる
間際に、星母神様に祈って、次代使徒のマスターに託した宝物っす。
ボクは、ずっとコウエイ様に仕えてきた相談役みたいなもんっす」
俺は次代使徒なの?あと星母神様って何?
「....いろいろ混乱しているんだが、俺は悪魔じゃなくて使徒?
星母神様って何なんだ?」
黒猫が、ふわふわしながら答えてくれた。
「そもそもこの世界は、星母神様がマスターのいた世界の想像上の存在を集めて
造った世界っす。マスターの世界の、神話や伝説の中で語られた存在も共存できたらいいよね~。ってコンセプトらしいっす。
そして星母神様が環境を造り上げて、いざワールドリリース!となった時に、
天空神からの介入があったんです」
う~ん?この黒猫の、マスターとか、コンセプトとか、ワールドリリースとかの
語彙は先代使徒からのものなのか?
世界創生の実情を知ってるとか、コイツは凄い存在かもしれない。興味深いな、
まあ続けて。
「星母神様の旦那さんは仕事もしないで、ずっと引きこもっているみたいっす。
家事も手伝ってくれないので、夫婦仲もあまり良くないって聞いたっす。
最近は寝室も別らしいっすね、息子はDQNなので、前の世界に置いてきたらしいっすよ」
星母神様の家庭事情はどうでもいいよ!なんで神様の家庭事情をリークしてんの?、つーかお前、誰に聞いたんだよ?物凄く気になるんだが。
やっぱスゲー奴だなコイツ。
「....まあ星母神様の家庭事情は置いといて話を戻そう。星母神様は、この世界を
創造した存在って事でいいんだな?それなら天空神とは何なんだ?ここに来る前
に、ムカつく銀髪女が世界の秩序を司る神の使徒を自称していたんだが、
天空神の使徒って事か?」
「現状【界審の儀】を取り仕切っているのは天空神なので、天空神の使徒っすね。
天空神は外からの介入者っす。星母神様の世界創生のコンセプトにイチャモンを
付けて割り込んできた存在っす。元々、星母神様はマスターのいた世界の古い神様っす、天空神は良く分かりませんが違う世界から来た存在っす。
マスターは星母神様の使徒っすよ。色々な事情で悪魔とか言われてますけどね~」
俺は悪魔じゃなくて星母神とやらの使徒なのか!色々な事情ってなんだ?
「取り合えず、星母神と天空神ついて説明を続けてくれ。名前とかも」
「う~ん?ボクの立場ではあまり説明出来る事はないんですよね~。ボクは一介のガイドエレメンタルっすよ。
星母神様はT様、旦那様はA様、暴れん坊のご子息はM様とでも覚えていて下さいっす。天空神は何でしたっけ?、人族には、ゆごす?みたいな感じで呼ばれてましたね。良く覚えてないっす」
名前を教えられない理由が分からないのだが。お前、星母神の家庭不和の状況も
バラしていただろうが。あと地球に置いて来たDQNな息子とかどうでもいい!
そもそも【界審の儀】が何なのか良く分からん。銀髪女の説明は漠然としてたしな、世界の秩序を審議するための儀式だったっけ?コイツは知ってるのかな?
「なあ【界審の儀】って何なんだ?何で俺は星母神の使徒として転生させられたんだ?あと他の連中はどういう立場?」
「【界審の儀】は星母神様か天空神が、現状の世界秩序の主導権の状況について、
相手に対して、異議申し立てを行ったって事っす。今回も星母神様だったっす。
現状の世界秩序は、相変わらず天空神側に優勢なんでしょうね~。100年前も
天空神を崇めるカダス聖教って宗教が世界の秩序を牛耳っていたっすからね。
人族の大半が崇める宗教で、基本的に人族以外の種族を排斥する教義の宗教っす。
前回の【界審の儀】で優勢だった方が、次回の【界審の儀】の取り仕切りを行う
っす。残念ながら初回以降は【界審の儀】の取り仕切りは、ずっと天空神っすよ」
要するに、俺は天空神サイドにとっては敵って事か。
それなら、あの銀髪女の俺への扱いの酷さ理解は出来る。唾吐かれたし、
ねちょねちょウンコ踏めって言われたし、挙句にはボッチウンコ扱いされたし!
神の使徒がウンコとか言うなよ。幼稚園児か!
「あの銀髪の天空神の使徒も、今回の転生者なのか?」
「今までの【界審の儀】は星母神様の全敗っすからね。星母神様の使徒達の死亡
で終わってるっす。天空神側は全勝っすから、初代の使徒がまだ生きてるっすよ。
【界審の儀】は、星母神様にとって、現状の秩序を改変する為の戦いっすよ。
マスター達の世界から改変要素、つまりマスター達を召喚する為の儀式っす。
この世界には無い、いろんな知識を持った人が多いっすからね。秩序を改変する
原動力として期待されてるんすよ。逆に天空神にとっては、現状の天空神優勢の
状況を維持する為の防衛戦っす」
だから、特例で前世の知識を保全したのか。うーん?なんか星母神側は、
勝ち目無さそうな感じなんだが。いろんな知識を期待されても、俺は元SEだし
何も出来ないよ?だってPC無いし。他には一般教養位なんだが?
原爆作れる人を連れてきて、カダス聖教の本部をぶっ壊せばいいんじゃね?
でもそういう人は【界審の儀】の対象外って言ってたな。まあ知識だけあっても、
ウランとか見つけるの大変そうだしな。作れるかどうかも文明レベル的に分から
ないし、それにテロ ダメ ゼッタイだよね。
「要するに、星母神様の思惑としては、レッツ!カダス聖教打倒!
その為にマスターは召喚されたっすよ!天空神の思惑としては、カダス聖教主導
の人族中心の世界秩序維持!って事っす。天空神の使徒は現存してるんで、初回
以降は本来、星母神様の使徒を召喚する儀式っす。ただ色々条件があって、この
世界の種族への転生者がいる場合もあるっす。人族は毎回転生してるっすね。
天空神のゴリ押しっす。人族は体制側の種族っすからね。他の種族は毎回違う
らしいっす。前回は人族以外はいなかったので、他の種族の転生者の役割は、
ボクには良く分からないっすね」
しかし何なの?このゲームの終盤で語られるような世界の秘密!
やっぱお前スゲー奴だったよ。俺は天空神のカダス聖教に対抗する方向で行動すればいいのか?チャラ男は敵になりそうだが、OL、JKと老人はどうするんだろうね。あと気になる事がある。
「なあ、最終的な勝利って天空神の使徒を倒さないとだめなのか?
コウエイ様はどう考えていたんだ?」
黒猫が、ちょっと考えてから答えた。
「コウエイ様が、考えていたのは話し合いっすね。あの頃は王国、教会と
戦争状態になってたっす。ただ、流石に物量では到底勝てないっすからね。
ある程度の戦いで勝利して、王国や教会側にこれ以上戦うのはしんどいと
思わせて、天空神の使徒と直接交渉しようとしてたっす。建国は無理でも、
諸族協和の自治領を認めさせようとしてたっす。その後徐々に、諸族協和の理念
を人族にも浸透させようと考えていたっすね」
なんかちょっと、前世での俺の国の敗戦の歴史を思いださせるな。
諸族協和、八紘一宇か。初戦で叩いて敵国を交渉のテーブルに着かせようと
考えたのも似てる。
「なあ、コウエイ様は他種族の地域を侵略したりはしなかったのか?」
黒猫がタンタンと長靴を踏み鳴らして憤慨している。
「何言ってんすか!コウエイ様は、見捨てられた辺境を開拓してただけっすよ!
段々色々な種族が集まってきて、村になり、町になっていったっす!奴隷なんか
もいなかったっす。そもそもコウエイ様が奴隷の様に働いてたっす!侵略なんて
する暇なんか、なかったっすよ」
コウエイ様は最初は開拓民だったって事か。
「じゃあ戦争は王国や教会が吹っ掛けてきたって事だな?」
黒猫が引き続き飛び回って興奮している。少し落ち着きなさいよ。
「そうっす、奴らは無茶苦茶っす。最初は少数でやって来て、住民を強制的に
連行しようとしてたっすけど、コウエイ様が撃退し続けたら、段々大勢になって
きて、コウエイ様も仕方なく建国しようと決意したっす」
何そのコウエイ様の強さ!俺には到底無理だな。それに孤島でボッチな俺は、
今の状況からは考えられないな。取り合えずここで生き抜かなきゃ。
しかし天空神側はあんなチャラ男を利用する気なのだろうか?
まあいざとなれば、銀髪の天空神の使徒が出張ってくるんだろうな。
だが、星母神様の使徒は何で悪魔扱いされてんだ?仮にも、もう一柱の神の使徒
だろうに。
「星母神様の使徒なのに、俺は何で悪魔なんだ?星母神を崇める宗教とか無いのか?あと色々な事情って何だ?」
「星母神様は元々、全種族に崇められてたっすよ。特に教団とかもなく、
村々でそれぞれ祠を建てて崇めていたみたいっす。カダス聖教会が出来てからは、
人族は大半が天空神側になったっす。人族は人口が一番多いっすからね。
カダス聖教の教義に従って他の種族は自治領や辺境にどんどん追いやられて、
星母神様への信仰は細々としたものになっていったみたいっす」
黒猫が申し訳なさそうに説明を続ける。
「それに【界審の儀】で転生した星母神様の使徒の容姿がちょっと人気が無かったそうっす、使徒の容姿は星母神様の趣味らしいっすよ。古い神様っすから、
美的感覚が違うんすかね?初代の使徒は、かなり蛇っぽい容姿だったらしいっす。全身鱗に覆われてたとか聞いたっすね~。2代目は腕が4本あった暴れん坊だったらしいっすよ。3代目は尻尾があったそうっす。コウエイ様は、マスターと
似たような感じだったっす。共通点は角と翼っすね」
うん、そもそも見た目が怖いからだろうね。俺の今の見た目も怖いけど、
鱗だらけとか、腕が4本とか、尻尾とか無くて良かったよ。
見た目の調整出来なかったのかな?天空神側にとっては有利だよね、
あの銀髪の使徒は気味悪さの印象はともかく、美女だったし。
星母神の使徒の容姿は、人族には受け入れ難いだろうな。
だが他にも理由があるんじゃね?人族と違う容姿の種族もいる世界なんだし。
「....過去に、今までの星母神様の使徒が何かやらかした事はないか?」
黒猫が、首をかしげて答えた。
「ボクは前回の【界審の儀】の事しか良く知らないんすよ。
だってコウエイ様以外、選んでくれなかったんすよ!ただ伝聞によると....」
選ばれなかったのは、ふじこ?のせいだろうな?てか文字化け直せや!運営。
・初代星母神の使徒、ボッチに耐え切れずに人里に現れるが、見た目が怖いので
討伐される。転生後1年で死亡。
・2代目、盗賊団【ジード】を結成して暴れまわるが、王国に軍隊を派遣され
討伐される。転生後4年で死亡。
・3代目、未開地を開墾して人族以外の村を作る。住民からも慕われたが、
何者かに暗殺され転生後15年で死亡。
・4代目、つまり先代使徒コウエイ様。未開の土地を開発し、種族の差別の無い
国家の建国を宣言する。その後、王国および教会と戦い、最後は居館で討ち死に。
転生から62年。
星母神様!勝ちたいなら、取り合えずこの容姿をなんとかしろや!
何だ趣味って!初代はかわいそうだろ。悪魔扱いの理由は、天空神の側の意図も
あるけど、見た目の怖さと2代目の所業のせいだな。なんだよ【ジード】って、
世紀末のヒャッハーな人だったのか?先代は3代目のVer2.0って感じだな。
でも、こんな見た目でも頑張ればなんとかなるんだな。
3代目までは、ふじこ?つまりケット・シー君がいなかったから、
何をすればいいのか分からなかったんだろう。
「なあ、ケット・シー君。この見た目をなんとかしないと勝てないって、
星母神様に伝えられないかね?」
黒猫が両手?前足?の肉球を突き出して答えた。
「ムリムリ、無理っすよ!星母神様は自分の好みに文句を言われると、
ぶち切れするっす。でもコウエイ様は、ある時点から通常は人族の見た目に
なったっすよ!」
黒猫がプルプル震えながら続けた。
「星母神様の使徒は進化するっすよ。コウエイ様は2回進化して人族と同じ身体
を手に入れたっす。ただ偽装した身体なんで、本質は角と翼があるっす。
でもコウエイ様はカッコ良かったっすよ」
なんですと!
「何?じゃあこの怖い身体も変えられるのか!進化ってどうすればいいんだ?」
「ボクは使徒じゃないから分からないっすよ。コウエイ様は、魔力量が関係してるって言ってたっす。マスターも今後は魔力量を増やす修行をやって行くっすよ」
よし!見た目については何とかなりそうだ。とりあえずの目標は、人族の身体だ。
「魔力量を増やす修行については、後で詳しく説明してくれ。
大分脱線したが【界審の儀】について、他に何かあるか?」
「う~んボクも詳しくは知らないっすけど、初回の【界審の儀】の前に魔王が降臨して凄い大戦になったらしいっす」
ん?どういう事だ?続けたまえ。
「魔王は大樹海にいきなり大迷宮を作り出して、この世界に乗り込んで来た存在
らしいっす。魔物の軍勢を迷宮から吐き出して、暴れまわったそうっすよ。
この時は全ての種族が協力して魔王を討伐したらしいっす。討伐隊の人族達が、
後にマルク王国を建国して、カダス聖教会を立ち上げたらしいっす」
何その怪しげな事件。魔王って天空神そのものじゃないのか?
「魔王についてはボクには良く分からないっす。【界審の儀】が始まったのはそれ
以降っすから。ただ星母神様は関与してないと思うっすよ。
だってせっかく自分が創造した世界に、そんな暴れん坊を降臨させるっすか?
魔物が溢れたのも、魔王以降らしいっすよ。多分魔王は天空神っす」
これ確実に魔王=天空神だよね。
人族が魔王を討伐したって言ってたが、怪しいもんだな。懐柔されたか、
洗脳されたんじゃないか?討伐隊の人族がカダス聖教を作ってるし!
天空神を名乗る存在は、最初は魔王として力技で世界を侵略しようとしたが、
途中で方針を変えたのかもな。マルク王国については分からないが、カダス聖教
が天空神による洗脳媒体なのは確実だろうな。
天空神が懐柔か洗脳した人族を使って、カダス聖教を成立させて一番人口の多い
人族を教義で団結させて、他種族を圧迫して星母神への信仰撲滅を狙ったんだろうな。
全種族を洗脳しなかったのは、俺がいた地球以上に、容姿が違う種族が混在する
世界では、同じ教義の宗教でも、いずれ内紛が起こると考えたのかもな。
それを考えて星母神様は、支配的な教団とか成立させずに、ゆるふわな祠信仰に
留めたんだろう。だってみんなが共存のコンセプトの世界だしね。
ただそれを天空神につけこまれて、大勢を占める人族を取り込まれ、今の状況に
なったんだろう。宗教とかイデオロギーとか怖いね!俺もゆるふわがいいや。
十字軍とか、一向一揆とか、ジハードなんて嫌だよ。
しかしカダスってなんだっけ?どこかで聞いた覚えがあるな。
人族以外を排斥するっていうのは、銀髪女の態度を思い出すと納得出来る。あれ?
俺、転生前の状況も覚えてるぞ。
あの女は、この場での質疑応答は忘れるって言ってたよな?まあ、この際どうでもいいか。だが俺は覚えているぞ!
俺に対する非道な扱い。そして、ねちょねちょウンコの件もな!
ええと、なんだっけ?居酒屋で打ち上げして、家で全裸で寝て、急性心不全で死んで、異世界に転生したんだったよな。
ここはどこだ?まず俺の状況を確認しよう。うん全裸だね!、髪をかきあげると
違和感が。うん、角だね!背中に手を回すと違和感が。うん、翼だね!
やっぱ俺、悪魔に転生したらしい!
引き続き全裸。まあ他の連中が赤ん坊から始めるんだから俺だけ服着てるのも
変か。つーか翼があると、上半身は服着れないよね。まず現状を確認しようか。
ここは何処なんだ?廻り見渡すと。洞窟の様な場所らしい。なんか奥に物置のような建物がある。建物に近寄ろうとすると、直立した黒猫が敬礼して目の前にふわふわ現れた。
「初めまして!ボクがマスターに仕えるっすよ!ガイドエレメンタルの
ケット・シーっす!」
ハァ?なんだこいつは?ケット・シーって確か”長靴を履いた猫”だったよな。
成程、赤い長靴を履いてる。
「お前はなんなんだ?意味が分からない」
俺はまだ混乱している。
「やだな~マスター、ボクを選んでくれたじゃないっすか~。目指しましょうよ!
レッツ!世界秩序改変!」
「お前を選んだ?ひょっとしてお前はコウエイの遺産か?」
「え?コウエイ様は先代使徒っすよ。ボクも可愛がって貰ったっす。コウエイ様
の遺産はあちらっすよ」
黒猫はふわふわクロールする様に宙を漂いながら、奥の物置を目指した。
「いや、ちょっと待ってくれ。そうするとお前はふじこか?」
「ちょっと何言ってるのか分かんないっす」
前世にいた芸人みたいな返しで何か腹立つ!まあコイツがふじこ?だろうな。
だって選択肢的に他に考えられないもん。
文字化けしてふじこ?になってたんだろうな。
黒猫はふわふわクロールの様に宙を漂いながら、奥の物置を目指した。
「取り合えず、コウエイ様の遺産を確認しましょうよ!」
待てよ。コイツはさっき先代使徒って言ってたよな。悪魔じゃなくて使徒?
「ちょっと待て、先代使徒って何だ?コウエイ様の遺産って何だ?
あと、ガイドエレメンタルって何なんだ?」
「先代使徒のコウエイ様は、人族以外の種族も差別なく生活出来るような国を
作ろうとした立派な方っす。コウエイ様の遺産は、前回の大戦で亡くなられる
間際に、星母神様に祈って、次代使徒のマスターに託した宝物っす。
ボクは、ずっとコウエイ様に仕えてきた相談役みたいなもんっす」
俺は次代使徒なの?あと星母神様って何?
「....いろいろ混乱しているんだが、俺は悪魔じゃなくて使徒?
星母神様って何なんだ?」
黒猫が、ふわふわしながら答えてくれた。
「そもそもこの世界は、星母神様がマスターのいた世界の想像上の存在を集めて
造った世界っす。マスターの世界の、神話や伝説の中で語られた存在も共存できたらいいよね~。ってコンセプトらしいっす。
そして星母神様が環境を造り上げて、いざワールドリリース!となった時に、
天空神からの介入があったんです」
う~ん?この黒猫の、マスターとか、コンセプトとか、ワールドリリースとかの
語彙は先代使徒からのものなのか?
世界創生の実情を知ってるとか、コイツは凄い存在かもしれない。興味深いな、
まあ続けて。
「星母神様の旦那さんは仕事もしないで、ずっと引きこもっているみたいっす。
家事も手伝ってくれないので、夫婦仲もあまり良くないって聞いたっす。
最近は寝室も別らしいっすね、息子はDQNなので、前の世界に置いてきたらしいっすよ」
星母神様の家庭事情はどうでもいいよ!なんで神様の家庭事情をリークしてんの?、つーかお前、誰に聞いたんだよ?物凄く気になるんだが。
やっぱスゲー奴だなコイツ。
「....まあ星母神様の家庭事情は置いといて話を戻そう。星母神様は、この世界を
創造した存在って事でいいんだな?それなら天空神とは何なんだ?ここに来る前
に、ムカつく銀髪女が世界の秩序を司る神の使徒を自称していたんだが、
天空神の使徒って事か?」
「現状【界審の儀】を取り仕切っているのは天空神なので、天空神の使徒っすね。
天空神は外からの介入者っす。星母神様の世界創生のコンセプトにイチャモンを
付けて割り込んできた存在っす。元々、星母神様はマスターのいた世界の古い神様っす、天空神は良く分かりませんが違う世界から来た存在っす。
マスターは星母神様の使徒っすよ。色々な事情で悪魔とか言われてますけどね~」
俺は悪魔じゃなくて星母神とやらの使徒なのか!色々な事情ってなんだ?
「取り合えず、星母神と天空神ついて説明を続けてくれ。名前とかも」
「う~ん?ボクの立場ではあまり説明出来る事はないんですよね~。ボクは一介のガイドエレメンタルっすよ。
星母神様はT様、旦那様はA様、暴れん坊のご子息はM様とでも覚えていて下さいっす。天空神は何でしたっけ?、人族には、ゆごす?みたいな感じで呼ばれてましたね。良く覚えてないっす」
名前を教えられない理由が分からないのだが。お前、星母神の家庭不和の状況も
バラしていただろうが。あと地球に置いて来たDQNな息子とかどうでもいい!
そもそも【界審の儀】が何なのか良く分からん。銀髪女の説明は漠然としてたしな、世界の秩序を審議するための儀式だったっけ?コイツは知ってるのかな?
「なあ【界審の儀】って何なんだ?何で俺は星母神の使徒として転生させられたんだ?あと他の連中はどういう立場?」
「【界審の儀】は星母神様か天空神が、現状の世界秩序の主導権の状況について、
相手に対して、異議申し立てを行ったって事っす。今回も星母神様だったっす。
現状の世界秩序は、相変わらず天空神側に優勢なんでしょうね~。100年前も
天空神を崇めるカダス聖教って宗教が世界の秩序を牛耳っていたっすからね。
人族の大半が崇める宗教で、基本的に人族以外の種族を排斥する教義の宗教っす。
前回の【界審の儀】で優勢だった方が、次回の【界審の儀】の取り仕切りを行う
っす。残念ながら初回以降は【界審の儀】の取り仕切りは、ずっと天空神っすよ」
要するに、俺は天空神サイドにとっては敵って事か。
それなら、あの銀髪女の俺への扱いの酷さ理解は出来る。唾吐かれたし、
ねちょねちょウンコ踏めって言われたし、挙句にはボッチウンコ扱いされたし!
神の使徒がウンコとか言うなよ。幼稚園児か!
「あの銀髪の天空神の使徒も、今回の転生者なのか?」
「今までの【界審の儀】は星母神様の全敗っすからね。星母神様の使徒達の死亡
で終わってるっす。天空神側は全勝っすから、初代の使徒がまだ生きてるっすよ。
【界審の儀】は、星母神様にとって、現状の秩序を改変する為の戦いっすよ。
マスター達の世界から改変要素、つまりマスター達を召喚する為の儀式っす。
この世界には無い、いろんな知識を持った人が多いっすからね。秩序を改変する
原動力として期待されてるんすよ。逆に天空神にとっては、現状の天空神優勢の
状況を維持する為の防衛戦っす」
だから、特例で前世の知識を保全したのか。うーん?なんか星母神側は、
勝ち目無さそうな感じなんだが。いろんな知識を期待されても、俺は元SEだし
何も出来ないよ?だってPC無いし。他には一般教養位なんだが?
原爆作れる人を連れてきて、カダス聖教の本部をぶっ壊せばいいんじゃね?
でもそういう人は【界審の儀】の対象外って言ってたな。まあ知識だけあっても、
ウランとか見つけるの大変そうだしな。作れるかどうかも文明レベル的に分から
ないし、それにテロ ダメ ゼッタイだよね。
「要するに、星母神様の思惑としては、レッツ!カダス聖教打倒!
その為にマスターは召喚されたっすよ!天空神の思惑としては、カダス聖教主導
の人族中心の世界秩序維持!って事っす。天空神の使徒は現存してるんで、初回
以降は本来、星母神様の使徒を召喚する儀式っす。ただ色々条件があって、この
世界の種族への転生者がいる場合もあるっす。人族は毎回転生してるっすね。
天空神のゴリ押しっす。人族は体制側の種族っすからね。他の種族は毎回違う
らしいっす。前回は人族以外はいなかったので、他の種族の転生者の役割は、
ボクには良く分からないっすね」
しかし何なの?このゲームの終盤で語られるような世界の秘密!
やっぱお前スゲー奴だったよ。俺は天空神のカダス聖教に対抗する方向で行動すればいいのか?チャラ男は敵になりそうだが、OL、JKと老人はどうするんだろうね。あと気になる事がある。
「なあ、最終的な勝利って天空神の使徒を倒さないとだめなのか?
コウエイ様はどう考えていたんだ?」
黒猫が、ちょっと考えてから答えた。
「コウエイ様が、考えていたのは話し合いっすね。あの頃は王国、教会と
戦争状態になってたっす。ただ、流石に物量では到底勝てないっすからね。
ある程度の戦いで勝利して、王国や教会側にこれ以上戦うのはしんどいと
思わせて、天空神の使徒と直接交渉しようとしてたっす。建国は無理でも、
諸族協和の自治領を認めさせようとしてたっす。その後徐々に、諸族協和の理念
を人族にも浸透させようと考えていたっすね」
なんかちょっと、前世での俺の国の敗戦の歴史を思いださせるな。
諸族協和、八紘一宇か。初戦で叩いて敵国を交渉のテーブルに着かせようと
考えたのも似てる。
「なあ、コウエイ様は他種族の地域を侵略したりはしなかったのか?」
黒猫がタンタンと長靴を踏み鳴らして憤慨している。
「何言ってんすか!コウエイ様は、見捨てられた辺境を開拓してただけっすよ!
段々色々な種族が集まってきて、村になり、町になっていったっす!奴隷なんか
もいなかったっす。そもそもコウエイ様が奴隷の様に働いてたっす!侵略なんて
する暇なんか、なかったっすよ」
コウエイ様は最初は開拓民だったって事か。
「じゃあ戦争は王国や教会が吹っ掛けてきたって事だな?」
黒猫が引き続き飛び回って興奮している。少し落ち着きなさいよ。
「そうっす、奴らは無茶苦茶っす。最初は少数でやって来て、住民を強制的に
連行しようとしてたっすけど、コウエイ様が撃退し続けたら、段々大勢になって
きて、コウエイ様も仕方なく建国しようと決意したっす」
何そのコウエイ様の強さ!俺には到底無理だな。それに孤島でボッチな俺は、
今の状況からは考えられないな。取り合えずここで生き抜かなきゃ。
しかし天空神側はあんなチャラ男を利用する気なのだろうか?
まあいざとなれば、銀髪の天空神の使徒が出張ってくるんだろうな。
だが、星母神様の使徒は何で悪魔扱いされてんだ?仮にも、もう一柱の神の使徒
だろうに。
「星母神様の使徒なのに、俺は何で悪魔なんだ?星母神を崇める宗教とか無いのか?あと色々な事情って何だ?」
「星母神様は元々、全種族に崇められてたっすよ。特に教団とかもなく、
村々でそれぞれ祠を建てて崇めていたみたいっす。カダス聖教会が出来てからは、
人族は大半が天空神側になったっす。人族は人口が一番多いっすからね。
カダス聖教の教義に従って他の種族は自治領や辺境にどんどん追いやられて、
星母神様への信仰は細々としたものになっていったみたいっす」
黒猫が申し訳なさそうに説明を続ける。
「それに【界審の儀】で転生した星母神様の使徒の容姿がちょっと人気が無かったそうっす、使徒の容姿は星母神様の趣味らしいっすよ。古い神様っすから、
美的感覚が違うんすかね?初代の使徒は、かなり蛇っぽい容姿だったらしいっす。全身鱗に覆われてたとか聞いたっすね~。2代目は腕が4本あった暴れん坊だったらしいっすよ。3代目は尻尾があったそうっす。コウエイ様は、マスターと
似たような感じだったっす。共通点は角と翼っすね」
うん、そもそも見た目が怖いからだろうね。俺の今の見た目も怖いけど、
鱗だらけとか、腕が4本とか、尻尾とか無くて良かったよ。
見た目の調整出来なかったのかな?天空神側にとっては有利だよね、
あの銀髪の使徒は気味悪さの印象はともかく、美女だったし。
星母神の使徒の容姿は、人族には受け入れ難いだろうな。
だが他にも理由があるんじゃね?人族と違う容姿の種族もいる世界なんだし。
「....過去に、今までの星母神様の使徒が何かやらかした事はないか?」
黒猫が、首をかしげて答えた。
「ボクは前回の【界審の儀】の事しか良く知らないんすよ。
だってコウエイ様以外、選んでくれなかったんすよ!ただ伝聞によると....」
選ばれなかったのは、ふじこ?のせいだろうな?てか文字化け直せや!運営。
・初代星母神の使徒、ボッチに耐え切れずに人里に現れるが、見た目が怖いので
討伐される。転生後1年で死亡。
・2代目、盗賊団【ジード】を結成して暴れまわるが、王国に軍隊を派遣され
討伐される。転生後4年で死亡。
・3代目、未開地を開墾して人族以外の村を作る。住民からも慕われたが、
何者かに暗殺され転生後15年で死亡。
・4代目、つまり先代使徒コウエイ様。未開の土地を開発し、種族の差別の無い
国家の建国を宣言する。その後、王国および教会と戦い、最後は居館で討ち死に。
転生から62年。
星母神様!勝ちたいなら、取り合えずこの容姿をなんとかしろや!
何だ趣味って!初代はかわいそうだろ。悪魔扱いの理由は、天空神の側の意図も
あるけど、見た目の怖さと2代目の所業のせいだな。なんだよ【ジード】って、
世紀末のヒャッハーな人だったのか?先代は3代目のVer2.0って感じだな。
でも、こんな見た目でも頑張ればなんとかなるんだな。
3代目までは、ふじこ?つまりケット・シー君がいなかったから、
何をすればいいのか分からなかったんだろう。
「なあ、ケット・シー君。この見た目をなんとかしないと勝てないって、
星母神様に伝えられないかね?」
黒猫が両手?前足?の肉球を突き出して答えた。
「ムリムリ、無理っすよ!星母神様は自分の好みに文句を言われると、
ぶち切れするっす。でもコウエイ様は、ある時点から通常は人族の見た目に
なったっすよ!」
黒猫がプルプル震えながら続けた。
「星母神様の使徒は進化するっすよ。コウエイ様は2回進化して人族と同じ身体
を手に入れたっす。ただ偽装した身体なんで、本質は角と翼があるっす。
でもコウエイ様はカッコ良かったっすよ」
なんですと!
「何?じゃあこの怖い身体も変えられるのか!進化ってどうすればいいんだ?」
「ボクは使徒じゃないから分からないっすよ。コウエイ様は、魔力量が関係してるって言ってたっす。マスターも今後は魔力量を増やす修行をやって行くっすよ」
よし!見た目については何とかなりそうだ。とりあえずの目標は、人族の身体だ。
「魔力量を増やす修行については、後で詳しく説明してくれ。
大分脱線したが【界審の儀】について、他に何かあるか?」
「う~んボクも詳しくは知らないっすけど、初回の【界審の儀】の前に魔王が降臨して凄い大戦になったらしいっす」
ん?どういう事だ?続けたまえ。
「魔王は大樹海にいきなり大迷宮を作り出して、この世界に乗り込んで来た存在
らしいっす。魔物の軍勢を迷宮から吐き出して、暴れまわったそうっすよ。
この時は全ての種族が協力して魔王を討伐したらしいっす。討伐隊の人族達が、
後にマルク王国を建国して、カダス聖教会を立ち上げたらしいっす」
何その怪しげな事件。魔王って天空神そのものじゃないのか?
「魔王についてはボクには良く分からないっす。【界審の儀】が始まったのはそれ
以降っすから。ただ星母神様は関与してないと思うっすよ。
だってせっかく自分が創造した世界に、そんな暴れん坊を降臨させるっすか?
魔物が溢れたのも、魔王以降らしいっすよ。多分魔王は天空神っす」
これ確実に魔王=天空神だよね。
人族が魔王を討伐したって言ってたが、怪しいもんだな。懐柔されたか、
洗脳されたんじゃないか?討伐隊の人族がカダス聖教を作ってるし!
天空神を名乗る存在は、最初は魔王として力技で世界を侵略しようとしたが、
途中で方針を変えたのかもな。マルク王国については分からないが、カダス聖教
が天空神による洗脳媒体なのは確実だろうな。
天空神が懐柔か洗脳した人族を使って、カダス聖教を成立させて一番人口の多い
人族を教義で団結させて、他種族を圧迫して星母神への信仰撲滅を狙ったんだろうな。
全種族を洗脳しなかったのは、俺がいた地球以上に、容姿が違う種族が混在する
世界では、同じ教義の宗教でも、いずれ内紛が起こると考えたのかもな。
それを考えて星母神様は、支配的な教団とか成立させずに、ゆるふわな祠信仰に
留めたんだろう。だってみんなが共存のコンセプトの世界だしね。
ただそれを天空神につけこまれて、大勢を占める人族を取り込まれ、今の状況に
なったんだろう。宗教とかイデオロギーとか怖いね!俺もゆるふわがいいや。
十字軍とか、一向一揆とか、ジハードなんて嫌だよ。
しかしカダスってなんだっけ?どこかで聞いた覚えがあるな。
人族以外を排斥するっていうのは、銀髪女の態度を思い出すと納得出来る。あれ?
俺、転生前の状況も覚えてるぞ。
あの女は、この場での質疑応答は忘れるって言ってたよな?まあ、この際どうでもいいか。だが俺は覚えているぞ!
俺に対する非道な扱い。そして、ねちょねちょウンコの件もな!
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