Revolution Calling!俺と黒猫が異世界秩序改変に挑戦する話

猿型茄子

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この状況は?

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何か気持ち悪い。ハッと眼を開けると、照明の光で目が眩む。
えっと、俺って今どういう状態?

夢の中のような感じもする、俺は結構な頻度で明晰夢を見るのだ。
そういう夢は俺にとっては映画みたいなものだ。
俺の明晰夢は大抵、ゾンビとかヤクザとか怖いものに追いかけ回される夢だ。
これは特技なのかな?俺は夢の中でもこれは夢だと認識できるので、追いかけ回される夢も俺にとっては娯楽映画と一緒だ。

ただ、今回のはいつもの明晰夢とはちょっと感覚が違うようだ。

俺はどこかの通路の床で仰向けで目覚めたようだ。指先にはリノリウムのような、
ツルツルした床の素材の感覚がある。背中はその床の冷たさを感じる。
いくら明晰夢でも触覚や、温度を感じた事は今までない。いつもの夢とは違う?

朦朧とした感覚の中で俺は自分の状態確認を始める。
俺の名前は 毛利もうり 礼文のりふみ、独身。
年齢は32歳だったかな?某ソフトウェアハウスの所謂IT土方だ。
昨夜は某企業の次世代システムのカットオーバーが無事済んで、同僚達と居酒屋で打ち上げをした後、自宅に帰ってシャワーも浴びずに寝たはずだ。
俺の身なりを確認すると全裸だ。俺はいつも全裸で寝るのだ。

うん!いつもの夢だな!二度寝しよう。明日は休みだし。
と思ったが床の冷たさと硬さが俺を眠りの世界に戻してはくれない。

仕方がないので、普段とはちょっと違う明晰夢の世界を確認しよう。
俺は通路の行き止まりで寝ていたようで、天井には普通の照明が設置されている。
行き止まりの逆方向を見ると、20メートル程先にごく普通の扉がある。
とりあえず行って開けてみよう。今度は何に追いかけまわされるんだろう?
まあ、俺にとっちゃどんな悪夢も娯楽映画だけどな。わはは。

ガチャリ
扉を開け、中に入ると会議室の様な部屋だった。
中央の円卓に4人の男女が座っている。俺の方に向かって座っているのが二人。
一人はホストみたいな恰好をしたチャライ男。
もう一人は眼鏡をかけたOL風の若い女性。
こちらに背を向けて座っている二人は、女性の方は制服を着てるので学生だろう。
中学生か高校生かは分からない。多分JKだろう。もう一人は初老の男性で入院着を着ている。俺から見て右側の壇上では、何かスゲー煌びやかなドレスを着たの銀髪の美女が俺を見ている。というか円卓の4人も俺を凝視している!

「ぎゃはは、アンタ、なんで全裸で登場なの?露出狂か?」
チャラ男がギャハギャハ笑ってる。
うるせーな!オマエだって剥けば似たようなもんだろうーが!
まあ、いいやどうせ夢だし。

OL女子は完全に目を逸らしている。
別にいいよどうせ夢だし。

「ウチ、オッサンの全裸とか見たくない。どっか行って」
JKは俺をちらっと見ただけで髪いじりを続けた。
どうでもいいよ!夢だし。

入院着の老人は一瞥したきり、無反応だ。瞑想してるの?無視してるの?
いいよ、この人は夢の中の架空の存在だし!

「皆様お待たせしました。最後の方がいらっしゃいました。さあ貴方、
そこのお席に御着席願います」
銀髪の女が笑いながら俺を促す。なんか美人だけど気味が悪い。口も目も、
笑っているように見えるが、ただ弧を描いてるだけの様に見える。
ぶっちゃけ怖い。

円卓の4人は、それぞれノートPCの前に座っている。入院着の老人の右隣の席が空いている。そこが俺の席か?仕方なく席に座ると、銀髪の気味悪い女が両腕を広げて演説を始めた。

「全員揃いましたね!おめでとうございます。貴方達はこれから新たな世界で生を受ける事になりま~す!」

ハァ?まあ夢なら楽しもう。

銀髪女が説明を続ける。
「貴方達は前の世界では、ほぼ同時刻に亡くなった方々で~す。その中から
【界審の儀】の幾多の条件に合致したのが貴方達で~す。従ってこちらに転生して頂き、己の種の則に拠って、より良き世界の構築をお願いしま~す。ちなみに今の貴方達の現在の服装は死亡時のもので~す」

「現状について、何かご質問はありますか~?来世については別途質問タイムを設けま~す」

まず、チャラ男が銀髪の女に食って掛かった。
「おい!死んだってどういう事だ?俺はなんで死んだんだよ!」

「う~ん?まず皆さんから、個別に今の様な質問を受けるのは面倒なので、皆さんの前世での死因を開示しま~す」

あ、何か情報が頭に流れ込んで来た....

俺、急性心不全。まあデスマーチとかやってたし。飯も適当だったしなあ。
大学の頃が懐かしい。ゲテ村との共同生活は普通のメシじゃなかったけど、
旨かったな。つーか俺寝たまま心不全かよ。だから今全裸か!
でもどうせ夢だし!夢だよな?

周りを見渡すと、左隣の入院着の老人以外、沈み込んでる。
そうか自分の死因を知ったんだな。
でも俺の夢の中の架空の存在だし、どうでもいいよねー。

チャラ男は、卓に伏して泣いている。
「なんだよ、チャリー!そんなに俺の事好きだったんなら言ってくれよ!」
ぷっ、チャラ男にチャリー、色恋沙汰で刺されでもしたんだろ。
まあどうせ夢さ!ははっ。

OL女子はなんか下を向いて、ぶつぶつ呟いてるが、時々聞こえる。
「課長殺す!」とか「タカシさん、どうして!」とかが怖い。
でも夢だから。リアルで知り合いなら転職を勧めると思う。

女子学生も卓に伏して泣いている。「ウチ、ケンジのとこ戻るからね!」
まあ夢だよ。夢。

左にいる入院着の老人に話しかけてみる事にした。
「あなたは俺の夢の登場人物の中では凄く落ち着いていますね?」

老人は目も開けずに答えた。
「アンタも自分の死因を見たんだろ?何だったんだ?」
「はー、急性心不全らしいですよ。どうせ夢ですけどね。ははっ」

「これは夢ではない。夢ではないと思いたい!ワシは末期癌で入院中だった。
先程あの銀髪の女が言っていただろ。死んだ時の恰好だと。ワシは病院で死んだのだろう。アンタ以外の連中が打ちひしがれているのは、自分が死んだ状況に心当たりがあるからだろう。ワシは日本でも少なくなった刀鍛冶だ。日本以外の国、いや、別の世界でもまた鋼を叩きたい!まだやりたりないんだ!」

そうか、俺は寝ながら死んだから現実感が無いんだな。
でも、今もまだ夢だと思ってるし。

「これは夢ではありませんよ~」
銀髪女が俺の方を向いてニヤニヤしながら言った。

「貴方達には選択肢があります。まず宣告しておきます。貴方達が今居るのは夢の世界ではないで~す。貴方達の前世での肉体は崩壊しておりま~す」

「そして次の来世の種族を確定してもらうフェーズが次の世界に転生するか、
前世の輪廻に留まるかの最終確認で~す。では目の前のノートPCを起動して進路を選択してくださ~い」
 
とりあえず、来世の進路をを選択するしかないようだ。
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