16 / 70
十六話 夏の日の朝
しおりを挟む
ジリジリとなる機械音、のろのろとベッドから起き上がった七川浅利はけたましくなる自身の携帯のアラーム音をオフにした。
眠気まなこであたりをゆっくりと見わたす。
部屋は明るく白を基調とした壁紙は夏の朝日を浴びサンサンと輝いて見える。
部屋の中央に置いてある丸い白台に至ってはもう眩しいほどだった。
ふとベッドの横を見ると少女漫画が二冊ほど積まれていた。
「なおし忘れてたな」
浅利はそうつぶやくと本を手に取りベッド横の本棚にしまう。
再び携帯を手に取り時間を確認すると午前7時38分だった。
約束の時間までは約3時間半、そろそろ起きるべきだろう。
そう思い彼女は部屋をあとにしたのだった。
「ママ、おはよ」
「うん、おはよう浅利ちゃん」
未だ眠気まなこの浅利の気の抜けた挨拶に母である七川久江はにこやかに答える。
その手には洗いかけのお皿が握られており、部屋にはコーヒーの香りが漂っていた。
「パパは仕事?」
「ええ、三十分くらい前には出かけたわよ」
「ふ~ん、休日なのに大変だね」
「まぁ、この不景気に忙しいのはいい事なのかもしれないけどね。それよりあんたも今日は出かけるんでしょ?朝ごはんなんにする?」
「パパと一緒でいいよ」
そう言って出されたのは、昨日の残りのポテトサラダを食パンで挟んだサンドイッチだった。
あさりはそれを頬張りながら一緒に出てきたホットコーヒーを飲む。
ミルクが少なめなのでほろ苦かったが脳を覚醒させるにはちょうどいいきつけ薬になった。
「今日は何時ぐらいに出かけるの?」
久江は自分の分の食事を持ってきて、浅利の目の前に座り、テレビをつけた。
内容はよくわからない政治問題の報道だった。
「十時半には出るよ」
「帰りは?」
「わかんないけど、夕方くらいかな?」
「アンタ、遊ぶのはいいけど程々にしなさいよ。今の世の中平和ってわけじゃないんだから」
そう、いつになく真剣なに語る母の言葉を浅利は笑って流す。
「大丈夫だって、そんな簡単に危ない目なんかに合うわけないもん」
「アンタ、そう能天気だと本当に・・・」
「じゃあ、私準備あるから。ごちそうさま」
まだ何か言いたげな母を振り切り浅利は階段を駆け上がる。
(ママは心配性だよ。私だってちゃんと考えてるんだし。いつまでもうるさいんだから)
ボスリとベッドに勢いよく腰を下ろしながら不満げにそう思う。
前はさほど気にならなかった親のいいつけがここ最近はやけに煩わしく感じ、だんだんとストレスが溜まってきているのが自分でも感じられていた。
それに応じるように浅利の外出は増え続けそれにともない両親の小言は増えていくという悪循環に陥ってしまっているのだった。
「やめよう」
浅利はそう一言つぶやくと、家族への不満を無理やり胸の内へとしまいこんだ。
せっかく遊びに行くのにこんな暗い気持ちじゃ楽しめない。
そう心を入れ替えて浅利はお気に入りの白のワンピースに着替え始めたのだった。
灼熱の太陽とういスポットライトの下、ミンミンと盛大なる合唱を奏でるアブラゼミたち一体どこからそんな元気が湧いてくるのだろうか?
その元気を私にも分けてくれ、そんな愚痴をこぼしたくなるような暑い夏の日、浅利は待ち人の約束の場所、三丸公園のベンチに腰掛けていた。
つい五分ほど前に自販機で買ったファンタグレープは今やただのアキカンとかしている。
「暑っ」
本当にうだるような暑さだ、これで本当にまだ六月なのか。
せっかく心を切り替えて来たというのにこんな環境にさらされてはまた鬱憤が積もってしまう。
「全部地球温暖化のせいだ」
そんな愚痴をこぼしながら飲み終えたファンタグレープを近くのゴミ箱に投げ入れようとしてコーンと若い男にぶつかった。
「やば!」
咄嗟に目を背けるがもはや遅い、金髪の男は恐ろしい形相でズカズカトこちらに歩み寄ってくる。
(ああ、こっち来ちゃうよ。どうしよう)
自身に非があるとはいえ怖くてたまらず、不意に今朝の母の言葉を思い出し泣きそうになる。
周りには人もいるがみんな見て見ぬふり、もしくは本当にただ面白がって見ているだけの人だけ。
当然だ、多分立場が違ったら自分だってそうしただろうから。
誰だって自分が一番で、自分と無関係の事件なんかは野次馬心が湧くもの。
それは、私も例外じゃない。
それはわかっている、わかっているけど・・・。
(やっぱり怖いよ)
ギュッと唇をかみしめて、身を縮こませて固くする。
そんな時再び男の頭にスコーンと空き缶がぶつかった。
「痛っ!!誰だコラ!!!」
あたりの怒鳴り散らす男、けれど次の空き缶は人ごみからぶつけられたため誰だかわからない。
男は今度は人混みの方へと向かい怒鳴り散らし出す。
そんな様子を浅利が少し呆けた顔で眺めていると。
「行くよ!」
と、急にだれかに腕を引かれた。
「うぁ!」
驚きながら浅利は手の主を見る。
「恵子ちゃん!?」
「何してるの!早く逃げるよ!!」
そう、言われるがまま浅利は恵子に連れ去られる。
一体どれだけ走ったのだろうか?
細い路地裏を抜け人目がなくなったところで恵子はその足を止めた。
息も切れ切れの浅利に対し恵子は軽く頬が火照っている程度だった。
「もぉ!ビックリしたよ。浅利、アンタ、何絡まれてんの!?」
「い、いや、その、ってか、あの空き缶あてたの恵子ちゃんなの?」
驚きと、乱れた呼吸のせいでまだうまく言葉を発せない浅利が切れぎれにそう尋ねる。
「当たり前じゃん。じゃないとああも都合よく現れないでしょ。でもあんなことになるなら待ち合わせじゃなくて現地集合か家に迎えにでも行けばよかったね」
失敗したな~と、ぼやく恵子に浅利はブンブンと首を振る。
「そんなことないよ、待ち合わせにしようって言い出したのは私だし、私が悪いんだよ。恵子ちゃんさっきは本当にありがとう!!」
深々と頭を下げる浅利に恵子は少しだけ目を伏せ、
「いいよお礼なんて。ってか、そんなにかしこまらないでよ私まで恐縮するじゃん」
と苦笑を交え言った。
「うん、でもあのお兄さんには悪いことしたな」
「あんなの気にしない気にしない。別に怪我をさせたわけじゃないんだし、それにああしないとアンタがひどい目に遭ってたかもしれないんだから、自己防衛ってことでいいじゃん」
「いいのかな?」
「いいの!はい、これでこの話は終了です。それより浅利、今日の目的忘れてるわけじゃないよね」
手を胸の前でパンと叩く恵子、おそらく彼女なりの話題変更のためのパフォーマンスなのだろう、それに若干驚きつつ浅利が答える。
「もちろんわかってるよ」
「じゃあ、ちゃんとアレも用意した?」
こくりと頷く浅利、その反応に満足したのか恵子は大きく頷く。
「よし、なら急ごう!多分みんな集まってると思うから」
そして小走りで移動し始めた恵子に再び引っ張られるように浅利も新たな待ち合わせ場所へと移動を始めるのだった。
眠気まなこであたりをゆっくりと見わたす。
部屋は明るく白を基調とした壁紙は夏の朝日を浴びサンサンと輝いて見える。
部屋の中央に置いてある丸い白台に至ってはもう眩しいほどだった。
ふとベッドの横を見ると少女漫画が二冊ほど積まれていた。
「なおし忘れてたな」
浅利はそうつぶやくと本を手に取りベッド横の本棚にしまう。
再び携帯を手に取り時間を確認すると午前7時38分だった。
約束の時間までは約3時間半、そろそろ起きるべきだろう。
そう思い彼女は部屋をあとにしたのだった。
「ママ、おはよ」
「うん、おはよう浅利ちゃん」
未だ眠気まなこの浅利の気の抜けた挨拶に母である七川久江はにこやかに答える。
その手には洗いかけのお皿が握られており、部屋にはコーヒーの香りが漂っていた。
「パパは仕事?」
「ええ、三十分くらい前には出かけたわよ」
「ふ~ん、休日なのに大変だね」
「まぁ、この不景気に忙しいのはいい事なのかもしれないけどね。それよりあんたも今日は出かけるんでしょ?朝ごはんなんにする?」
「パパと一緒でいいよ」
そう言って出されたのは、昨日の残りのポテトサラダを食パンで挟んだサンドイッチだった。
あさりはそれを頬張りながら一緒に出てきたホットコーヒーを飲む。
ミルクが少なめなのでほろ苦かったが脳を覚醒させるにはちょうどいいきつけ薬になった。
「今日は何時ぐらいに出かけるの?」
久江は自分の分の食事を持ってきて、浅利の目の前に座り、テレビをつけた。
内容はよくわからない政治問題の報道だった。
「十時半には出るよ」
「帰りは?」
「わかんないけど、夕方くらいかな?」
「アンタ、遊ぶのはいいけど程々にしなさいよ。今の世の中平和ってわけじゃないんだから」
そう、いつになく真剣なに語る母の言葉を浅利は笑って流す。
「大丈夫だって、そんな簡単に危ない目なんかに合うわけないもん」
「アンタ、そう能天気だと本当に・・・」
「じゃあ、私準備あるから。ごちそうさま」
まだ何か言いたげな母を振り切り浅利は階段を駆け上がる。
(ママは心配性だよ。私だってちゃんと考えてるんだし。いつまでもうるさいんだから)
ボスリとベッドに勢いよく腰を下ろしながら不満げにそう思う。
前はさほど気にならなかった親のいいつけがここ最近はやけに煩わしく感じ、だんだんとストレスが溜まってきているのが自分でも感じられていた。
それに応じるように浅利の外出は増え続けそれにともない両親の小言は増えていくという悪循環に陥ってしまっているのだった。
「やめよう」
浅利はそう一言つぶやくと、家族への不満を無理やり胸の内へとしまいこんだ。
せっかく遊びに行くのにこんな暗い気持ちじゃ楽しめない。
そう心を入れ替えて浅利はお気に入りの白のワンピースに着替え始めたのだった。
灼熱の太陽とういスポットライトの下、ミンミンと盛大なる合唱を奏でるアブラゼミたち一体どこからそんな元気が湧いてくるのだろうか?
その元気を私にも分けてくれ、そんな愚痴をこぼしたくなるような暑い夏の日、浅利は待ち人の約束の場所、三丸公園のベンチに腰掛けていた。
つい五分ほど前に自販機で買ったファンタグレープは今やただのアキカンとかしている。
「暑っ」
本当にうだるような暑さだ、これで本当にまだ六月なのか。
せっかく心を切り替えて来たというのにこんな環境にさらされてはまた鬱憤が積もってしまう。
「全部地球温暖化のせいだ」
そんな愚痴をこぼしながら飲み終えたファンタグレープを近くのゴミ箱に投げ入れようとしてコーンと若い男にぶつかった。
「やば!」
咄嗟に目を背けるがもはや遅い、金髪の男は恐ろしい形相でズカズカトこちらに歩み寄ってくる。
(ああ、こっち来ちゃうよ。どうしよう)
自身に非があるとはいえ怖くてたまらず、不意に今朝の母の言葉を思い出し泣きそうになる。
周りには人もいるがみんな見て見ぬふり、もしくは本当にただ面白がって見ているだけの人だけ。
当然だ、多分立場が違ったら自分だってそうしただろうから。
誰だって自分が一番で、自分と無関係の事件なんかは野次馬心が湧くもの。
それは、私も例外じゃない。
それはわかっている、わかっているけど・・・。
(やっぱり怖いよ)
ギュッと唇をかみしめて、身を縮こませて固くする。
そんな時再び男の頭にスコーンと空き缶がぶつかった。
「痛っ!!誰だコラ!!!」
あたりの怒鳴り散らす男、けれど次の空き缶は人ごみからぶつけられたため誰だかわからない。
男は今度は人混みの方へと向かい怒鳴り散らし出す。
そんな様子を浅利が少し呆けた顔で眺めていると。
「行くよ!」
と、急にだれかに腕を引かれた。
「うぁ!」
驚きながら浅利は手の主を見る。
「恵子ちゃん!?」
「何してるの!早く逃げるよ!!」
そう、言われるがまま浅利は恵子に連れ去られる。
一体どれだけ走ったのだろうか?
細い路地裏を抜け人目がなくなったところで恵子はその足を止めた。
息も切れ切れの浅利に対し恵子は軽く頬が火照っている程度だった。
「もぉ!ビックリしたよ。浅利、アンタ、何絡まれてんの!?」
「い、いや、その、ってか、あの空き缶あてたの恵子ちゃんなの?」
驚きと、乱れた呼吸のせいでまだうまく言葉を発せない浅利が切れぎれにそう尋ねる。
「当たり前じゃん。じゃないとああも都合よく現れないでしょ。でもあんなことになるなら待ち合わせじゃなくて現地集合か家に迎えにでも行けばよかったね」
失敗したな~と、ぼやく恵子に浅利はブンブンと首を振る。
「そんなことないよ、待ち合わせにしようって言い出したのは私だし、私が悪いんだよ。恵子ちゃんさっきは本当にありがとう!!」
深々と頭を下げる浅利に恵子は少しだけ目を伏せ、
「いいよお礼なんて。ってか、そんなにかしこまらないでよ私まで恐縮するじゃん」
と苦笑を交え言った。
「うん、でもあのお兄さんには悪いことしたな」
「あんなの気にしない気にしない。別に怪我をさせたわけじゃないんだし、それにああしないとアンタがひどい目に遭ってたかもしれないんだから、自己防衛ってことでいいじゃん」
「いいのかな?」
「いいの!はい、これでこの話は終了です。それより浅利、今日の目的忘れてるわけじゃないよね」
手を胸の前でパンと叩く恵子、おそらく彼女なりの話題変更のためのパフォーマンスなのだろう、それに若干驚きつつ浅利が答える。
「もちろんわかってるよ」
「じゃあ、ちゃんとアレも用意した?」
こくりと頷く浅利、その反応に満足したのか恵子は大きく頷く。
「よし、なら急ごう!多分みんな集まってると思うから」
そして小走りで移動し始めた恵子に再び引っ張られるように浅利も新たな待ち合わせ場所へと移動を始めるのだった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる