アバオアクーは今日もテッペンを目指したい。

サラリーマンの坂城悠人はこの日、いつもとは違う景色を眺めていた。
新卒で入社して以来はじめて連休をとって、帰郷するために新幹線に乗っていた。
出社して朝一に「有給休暇をとる」と上司に言ったものだから、さぞ周りには奇行に走ったように見えたことだろう。

彼がそんな行動を起こした理由は叶えなければいけない約束があるのを思い出したからだ。

顔も名前も知らない親友と交わした約束を守るために――。
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