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驚愕の真実その2

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「もうよろしそうですね。それではこれからリアム様をある場所にご案内いたします。私について来ていただけますでしょうか?」
「――分かった。でも、案内とか終わったらイデアがここにいた理由とか諸々、全部隠さず教えてもらう」
「えぇもちろんでございます。では、参りましょうかリアム様」

 イデアはそう言葉を返すと、先行しゲートを通過してはエレベーター前まで歩いて行った。その様子を見ていたリアムもまた同じようにゲートを通過すると、イデアが待つエレベーターに向かった。
 リアムがエレベーター前に移動するとすぐに、ポンと到着音が鳴りエレベータードアが開いた。そしてイデアに促されるままエレベーターに乗り、さらに地下深くへと降っていった。

 地上につながるエレベーターとは違い、こっちは行先階ボタンもインジケーターも非常ボタンも全て完備していた。ボタンを見る限りエントランスを一階として、階層は全部で地下三階まであった。

 各階層でどんな研究開発がされているのかまでは、アナウンスで聞かされなかったし、ガイドブックにもその詳細までは載っていなかったこともあって、珍しくリアムは緊張していた。インジケーターを見ても昇り降りの矢印しか表示されないため、どこに向かっているかは到着し開扉するその瞬間まで分からず、同乗したイデアも未だに受付嬢スタイルを維持しているため、いつもと雰囲気が異なり非常に話しかけづらいというのも、その緊張を発生させた要因かもしれない。
 
 そんな気まずく重たい空気は一分も満たずに、ポンという音とともに終わりを告げた。おもちに話しかけようにも、あの提案をしてすぐにまた夢の世界に旅立ってしまっていたので、その僅かな時間ですらリアムにとっては、とても長く感じた。

 地下三階に到着すると、イデアはドアが閉まらないように開扉ボタンを押しながら、リアムに先にエレベーターから出るように促した。
 リアムは周囲を見回し歩きながら「――ここは保管庫?」と初見の感想を述べた。

 地下三階はエントランスを三倍、四倍ほど広くした空間に、点々と左右に数多くの部屋が作られていた。部屋扉の上部には、それぞれ横幅三十センチ高さ十五センチの名札が取り付けられていて、その部屋の用途について一目でわかるようになっていた。それとは別にエントランス内には、天井ギリギリ二十メートル近くまでラックが高々に積み重ねられていて、そこに大量の物資が置いてあった。そのラックが何十と横に奥にと一定間隔で配置されていた。

 その衝撃的な光景を見たことで、リアムはある疑問が浮かんだ。一段目はまだいいとして、二段目、三段目と上部に置いているのは、一体どうやって回収するんだろうという素朴なものだった。だが、その答えはすぐに判明することになる。というのも、歪な見た目をした機械がラックから物資を取り出しているのを見たからだ。頭部も胴体も腕部もない代わりに、一メートルほどの四角い台座に無限軌道キャタピラーのみ、その機械は物資を回収するための腕部がないにもかかわらず、どういう技術なのか不明だが、物資が自ら浮遊し台座の上に移動していた。その際、機械もまた物資を少しでも安全に受け取るためなのか、謎技術によって無限軌道を伸ばして、物資が置かれているラックの高さに台座を合わせていた。
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