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はじめての強襲その1

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 ウェッジにローファーを預けていた場面で、リアムは落雷のような轟音によって夢から連れ戻された。

 リアムは言い伝えに従い立ち上がることはせず、落葉のベッドにうつ伏せになり耳を澄ませた。状況を把握してすぐに対処しようと思ったが、密集した木々により音が反響して、どこから撃っているのか索敵できなかった。相談しようにも彼女の第二の脳であるハムスターは未だに目を覚まさず、定位置で夢の世界を満喫している。
 こちらから打って出るかと悩むリアムだったが、その悩みはすぐに解決した。ガシャンガシャンという駆動音を響かせ、木々をなぎ倒しながら近づいてくる巨大な影が見えた。その巨体が次々と木を倒してくれたおかげで生い茂った森に隙間ができた。そこから差した木漏れ日により、その全貌がハッキリと視認できた。銀色の木の正体さえ分かれば、あとはそれに合わせて対応すればいいだけのこと。

 銀色の装甲が目を引く二足歩行のモノアイロボット、全高3メートルほどで両腕にはマシンガンが取り付けられていた。言い伝えにあった銀色の木は、過去の大戦時において人間の代わりとして戦ったとされる機械兵器の生き残りだった。

 リアムは稼働している機械兵器に興味が湧いた。なぜなら、機械兵器だったものはこの旅を通して何度も見てきた。解体されありとあらゆるものに加工されたものや、再利用すらされずに砂に埋もれ放置されたものなど多数に及ぶ。それが現役で稼働しているのを特等席で拝めている。銃口からは硝煙が上がり、レンズを赤く煌めかせ侵入者を探しているようだ。迂闊にレンズの索敵範囲に入ってしまうと、あの弾幕射撃がまた実行される。だが、その射撃されるという恐怖、不安は彼女にはなかった。
 それよりも興味が失せつつあった、十分以上経っても変化しない状況に飽きはじめていた。というのも、地面に伏せているからといって、数メートルまで近づいても発見できないようなオンボロレンズ。あぶり出そうと制圧射撃をしようものなら、その反動を制御できず無駄に弾丸を消費するだけ。同じ場所を行ったり来たりと、機械兵器とは名ばかりのブリキの玩具。

「ガッカリ、本当にガッカリ。本に書いてあったのはもっとカッコ良かった、もういいや。はい、これでリアムに気づけるやろ?」

 リアムは首を数回左右に振っては、玩具の視界に入るようにわざとその場で立ち上がった。ここまでお膳立てしないと、索敵すらこなせないような玩具に人間はどうしてやられたのだろう。そんなことを思いつつ、彼女はマシンガンによって蜂の巣にされた。思っていたとおり火力も不足しているし、命中精度も良くない。正直なところこの程度であれば、無視して進むのもありかもしれない。ただ森にいる間、ずっと付き纏われて背後から撃たれるのは、ほんの少しだけ鬱陶しいかもしれない。駆動音とか銃声やらこの玩具から奏でられる騒音も睡眠妨害になるし、年代物で現役だからあまりやりたくはないが、他に選択肢はなさそうだ。この思考中も撃たれ続けているのだが、衣服に穴が開くこともなく彼女自身もかすり傷一つ付いていなかった。
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