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姉妹のような関係その3

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「ちょ、ちょっと待ってくれ。あれが最後なのは納得いかない。だから、僕たちもお前を、見送ることにした。異論はないよな?」
「――肯定、無いです」
「はぁ、ふぅ~、ただそうは言っても、僕からは特に言うこともないんだよな。強いて言うなら、あれだな。演技するなら最後までやり遂げろ。お前、途中からマジで雑になってたぞ」
「リアムの演技が下手?」
「なんだその完璧でしたけど? みたいな反応は。今朝とかもう完全に隠す気なかっただろ……それかあれか、打ち解けた証拠ってやつか」
「くっ、レイも同類なくせに」
「おい、また出てるぞ……」

 レイとの会話が終わるとすぐにライが矢継ぎ早に話しかけてきた。また抱き着かれるのかと警戒したがその気配はなく、それどころか両手を背後に回して自制しているように思えた。

「あの……さっきは我がまま言ってごめんね」
「――問題ない」
「あのね、これ……リアムにあげる」

 そう言うとライは色鮮やかな小箱をリアムに手渡した。これは昨日ライが夢中で眺めていたあの化粧箱。自分用ではなくて、リアムに渡すために用意した贈り物。旅の途中で何度かもらう機会はあったが、これは何かが違う特別な気がした。右胸あたりがポカポカするというか、お母さんに褒められた時の感覚に似ている。

「こ、これって?」
「わたしからのプレゼント。リアムに似合うと思って、昨日イデアさんのお店で買ったんだ」
「リアムは何も用意していない、貰えない」
「もらって欲しい。もらってくれないと、もう一緒に寝てあげないよ!」
「それは交渉材料として正解? うん、分かった。有難く受け取る。ありがとう、ライ」
「いいえ、どういたしまして。ぐすっ……あれ、もう泣かないって決めたのに」

 ライは口角を上げ無理に笑顔を作ろうとすればするほど、相反して涙が溢れ頬を濡らしていく。
 その姿を見たリアムは無意識のうちにライを抱き寄せていた。事あるごとにお母さんがしてくれたこと、これをしてもらうと安心した。その懐かしい記憶が眼前で涙するライを見て呼び起こされたことで、自然と行動してしまったのかもしれない。

「……リアム?」
「今だけ許可する」
「じゃー、わたしも許可する!」
「うっ、今までで一番強力なんやけど」
「毎日できなくなるから、今のうちにいっぱいやっとかないとダメだからね!」

 それはライが満足するまで、リアムはされるがままの抱き枕となることを意味していた。これが長引くとまた出発時間が遅れてしまうのだが、泣き止みいつもの笑顔で抱き返してくるライを見て、少しだけなら遅くなってもいいかなと思ってしまうリアムであった。

 結局、リアムたちが集落を旅立つ頃には薄明を迎えていた。
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