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第39話 決戦開始3
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「終わりではない。始まりだ。多少強くなったようだが……水月。お前は自分の力を過信している」
そう言って、再び御堂宗一は、二匹の大蛇の鎌首で、水月に襲い掛かる。今度はフェイントを織り交ぜて、時間差で攻撃をする。
しかしそれも行動を読んでいた水月の『斬手刀』によりあえなく切断され、鎌首2つとも下に落下した。
御堂宗一は「ぐうっ!」と苦痛に顔を歪めた。
時間をかけている意味はない。もし空気中に麻痺毒を撒かれている場合、厄介になる。
水月は陰陽流の歩法で、一気に距離を詰める。
御堂宗一の伸ばした首のない大蛇の腕。左腕が一気に縮む。接近戦に備えてのことだろうか。
しかし今更、拳だろうが蛇の顔だろうが何が来ようが関係ない。切断して御堂宗一を倒すだけだ。そう水月が考えてあと2mのところまで宗一に接近した時だった。
「水月ひさしぶり~元気?」
その場にそぐわない、明るい声が聞こえた。
この声はまさか……。
水月の歩法が止まる。
御堂宗一が縮めて引き戻した左の大蛇の胴体。そこについていたのは、明日香の首だった。明日香の首に変化したのだ。
「また会えて嬉しいな。私ね。先生の体の一部になったの」
水月の中に怖気が走る。違う。これは明日香じゃない。そんなはずはない。
「明日香の真似をして……明日香をもてあそぶな。父さん……」
水月の怒りの感情が噴き出す。
「彼女は自殺してしまったが、あの後に葬儀をおこなったのは、水月の知っている通り神聖千年王国だ。そして私は彼女の頭を保管しておいた。彼女の死後も愛せるようにね」
宗一は嬉しくてたまらないという表情で話す。
「彼女もまた、私の肉体の一部として蘇生したということさ。もちろん最初は嫌がって死にたがったがね」
「先生、そんな事もありましたね。でも私も先生のやっていることを見ている内に、だんだんと理解出来て、私も快楽を感じる様になったんです」
「支配する。蹂躙する。そういう欲望がたまらないんです」
明日香はうっとりしたような口調で言葉を紡いだ。
水月はそれを聞いて、自分の立っている足の力が、ガタガタと抜けていくのを感じた。
(嘘だ。これは父が作った、勝手に作っている人形だ。めくらましだ。なのに……)
「だからねえ水月。先生と私と、一緒に暮らそ? 先生は水月のことが大好きなの。愛したくて愛したくてたまらないのよ」
明日香は、生前と変わらない声色で、尋ねる。
「黙れ……」
水月は、再び『斬手刀』を構えた。なんとか呼吸を整える。
「お前は明日香じゃない。そして父の言う愛は、愛情なんかじゃない」
仮にこれが本当の明日香だとしても、酷い洗脳をされているのだろう。殺して解放してあげるのが……情けだ。
そう考え、再び呼吸を整えて、間合いをつめようとした時だった。
水月の左足首に激痛が走った。
視線を向けると、落とした大蛇が再生し、牙を水月の足首に突き立てていた。
続いて右足首も、もう一匹の大蛇が、水月の足首を噛む。
何かが注入されていく感覚があった。
「うおああああ!」蹴りで足首の大蛇を蹴り飛ばす。
(再生能力か……迂闊だった……体の力が……)
水月はそのまま両膝を突いてしまった。
体に力が入らないのだ。
(しまった。これが麻痺毒……!)
「ふふふ……どうします先生?」
「麻痺毒が効いてきているか、きちんとテストする必要があるだろうな。なにせ力の強い娘だから」
そう言って宗一は右腕をいじる。右腕の先端は2つの大蛇の頭に再生していた。
2つの大蛇の鎌首は、10メートルある体をスルスルっと伸ばし、そのまま水月の足首を噛んだ。
そしてそのまま水月を持ち上げる。
「おいたをすれば罰が下る。水月よ。痛いと思うがこれはお前に対する愛情だ」
大蛇はそのまま水月の足首を噛んだまま、10メートルの体を遠心力を使って、水月の体の前面を、檻に叩きつけた。
轟音が響き渡る。
「うぐうっ……」なんとか水月は、腕でガードした。しかし麻痺毒のせいか、腕の力が抜けていく。
(まずい……これで気絶したら『因果拳』が使えない)
水月の焦りだけが募る。
「これはお前が慈悲を乞うまで続く」
再び、同様に水月は檻に叩きつけられる。
3回、4回、もう腕も上がらなくなった。
5回、6回、顔面が檻にめり込み、鼻骨が折れ、歯が折れた。
「……」
(芽衣……ごめん)
激痛の中、水月は芽衣の顔を思い出していた。
「先生、あまりやりすぎると、きれいな水月の顔が傷むわよ」
明日香が心配しながら、それでもうっとりしながら忠告した。
「そうだな。念のためあと10回にしておこう」
陰惨な轟音が10回響き渡った。
そして、水月はズルズルと、御堂宗一の近くに引き寄せられる。
顔はうっ血し、折れた鼻骨からは鼻血が出ている。
水月は、麻痺毒の影響か、気絶したのか焦点の合わない虚ろな目をして、黙っている。
「ああ、可哀想に」明日香は首を伸ばし、水月の鼻血を舐めると、そのまま水月にキスをした。
「さて、娘もだいぶこれで反省をしたことだろう」
御堂宗一は残忍な笑みを浮かべた。
一旦、水月を地面におろし、大蛇の鎌首で、今度は両手を噛ませて宙づりにする。
そして大蛇の鎌首一本が、水月の上着を切り裂いた。
虚ろな目をした水月は、Tシャツとズボンの恰好で、両手を大蛇の鎌首に噛まれ、宙づりにされている。
「さて、愛し合う時間だ」
御堂宗一は嬉しくてたまらないという表情をした。
大蛇の内、一匹を普通の自分の腕に戻し、水月のズボンのベルトを外した。
そう言って、再び御堂宗一は、二匹の大蛇の鎌首で、水月に襲い掛かる。今度はフェイントを織り交ぜて、時間差で攻撃をする。
しかしそれも行動を読んでいた水月の『斬手刀』によりあえなく切断され、鎌首2つとも下に落下した。
御堂宗一は「ぐうっ!」と苦痛に顔を歪めた。
時間をかけている意味はない。もし空気中に麻痺毒を撒かれている場合、厄介になる。
水月は陰陽流の歩法で、一気に距離を詰める。
御堂宗一の伸ばした首のない大蛇の腕。左腕が一気に縮む。接近戦に備えてのことだろうか。
しかし今更、拳だろうが蛇の顔だろうが何が来ようが関係ない。切断して御堂宗一を倒すだけだ。そう水月が考えてあと2mのところまで宗一に接近した時だった。
「水月ひさしぶり~元気?」
その場にそぐわない、明るい声が聞こえた。
この声はまさか……。
水月の歩法が止まる。
御堂宗一が縮めて引き戻した左の大蛇の胴体。そこについていたのは、明日香の首だった。明日香の首に変化したのだ。
「また会えて嬉しいな。私ね。先生の体の一部になったの」
水月の中に怖気が走る。違う。これは明日香じゃない。そんなはずはない。
「明日香の真似をして……明日香をもてあそぶな。父さん……」
水月の怒りの感情が噴き出す。
「彼女は自殺してしまったが、あの後に葬儀をおこなったのは、水月の知っている通り神聖千年王国だ。そして私は彼女の頭を保管しておいた。彼女の死後も愛せるようにね」
宗一は嬉しくてたまらないという表情で話す。
「彼女もまた、私の肉体の一部として蘇生したということさ。もちろん最初は嫌がって死にたがったがね」
「先生、そんな事もありましたね。でも私も先生のやっていることを見ている内に、だんだんと理解出来て、私も快楽を感じる様になったんです」
「支配する。蹂躙する。そういう欲望がたまらないんです」
明日香はうっとりしたような口調で言葉を紡いだ。
水月はそれを聞いて、自分の立っている足の力が、ガタガタと抜けていくのを感じた。
(嘘だ。これは父が作った、勝手に作っている人形だ。めくらましだ。なのに……)
「だからねえ水月。先生と私と、一緒に暮らそ? 先生は水月のことが大好きなの。愛したくて愛したくてたまらないのよ」
明日香は、生前と変わらない声色で、尋ねる。
「黙れ……」
水月は、再び『斬手刀』を構えた。なんとか呼吸を整える。
「お前は明日香じゃない。そして父の言う愛は、愛情なんかじゃない」
仮にこれが本当の明日香だとしても、酷い洗脳をされているのだろう。殺して解放してあげるのが……情けだ。
そう考え、再び呼吸を整えて、間合いをつめようとした時だった。
水月の左足首に激痛が走った。
視線を向けると、落とした大蛇が再生し、牙を水月の足首に突き立てていた。
続いて右足首も、もう一匹の大蛇が、水月の足首を噛む。
何かが注入されていく感覚があった。
「うおああああ!」蹴りで足首の大蛇を蹴り飛ばす。
(再生能力か……迂闊だった……体の力が……)
水月はそのまま両膝を突いてしまった。
体に力が入らないのだ。
(しまった。これが麻痺毒……!)
「ふふふ……どうします先生?」
「麻痺毒が効いてきているか、きちんとテストする必要があるだろうな。なにせ力の強い娘だから」
そう言って宗一は右腕をいじる。右腕の先端は2つの大蛇の頭に再生していた。
2つの大蛇の鎌首は、10メートルある体をスルスルっと伸ばし、そのまま水月の足首を噛んだ。
そしてそのまま水月を持ち上げる。
「おいたをすれば罰が下る。水月よ。痛いと思うがこれはお前に対する愛情だ」
大蛇はそのまま水月の足首を噛んだまま、10メートルの体を遠心力を使って、水月の体の前面を、檻に叩きつけた。
轟音が響き渡る。
「うぐうっ……」なんとか水月は、腕でガードした。しかし麻痺毒のせいか、腕の力が抜けていく。
(まずい……これで気絶したら『因果拳』が使えない)
水月の焦りだけが募る。
「これはお前が慈悲を乞うまで続く」
再び、同様に水月は檻に叩きつけられる。
3回、4回、もう腕も上がらなくなった。
5回、6回、顔面が檻にめり込み、鼻骨が折れ、歯が折れた。
「……」
(芽衣……ごめん)
激痛の中、水月は芽衣の顔を思い出していた。
「先生、あまりやりすぎると、きれいな水月の顔が傷むわよ」
明日香が心配しながら、それでもうっとりしながら忠告した。
「そうだな。念のためあと10回にしておこう」
陰惨な轟音が10回響き渡った。
そして、水月はズルズルと、御堂宗一の近くに引き寄せられる。
顔はうっ血し、折れた鼻骨からは鼻血が出ている。
水月は、麻痺毒の影響か、気絶したのか焦点の合わない虚ろな目をして、黙っている。
「ああ、可哀想に」明日香は首を伸ばし、水月の鼻血を舐めると、そのまま水月にキスをした。
「さて、娘もだいぶこれで反省をしたことだろう」
御堂宗一は残忍な笑みを浮かべた。
一旦、水月を地面におろし、大蛇の鎌首で、今度は両手を噛ませて宙づりにする。
そして大蛇の鎌首一本が、水月の上着を切り裂いた。
虚ろな目をした水月は、Tシャツとズボンの恰好で、両手を大蛇の鎌首に噛まれ、宙づりにされている。
「さて、愛し合う時間だ」
御堂宗一は嬉しくてたまらないという表情をした。
大蛇の内、一匹を普通の自分の腕に戻し、水月のズボンのベルトを外した。
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