カバンに飴ちゃん

わん太

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食堂編

ヌードルハラスメント -文月 凛-

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  何故こうなったのか、何故こうしてしまったのか自分で自分が分からなくなっていた

  みなで食堂にきて、蕎麦を注文し、無事にその蕎麦も目の前に届いている、割り箸も割った

  しかしそこから俺の動きは止まっている

  先ほどの原因は分からないが物凄い歓声も俺の行動に関係はない

  蕎麦が、蕎麦が問題なのだ

  今、俺の膝の上では蘭が眠っている

  そこで問題となってくるのは食事の時だ

  蘭がいくら体が小さいとはいえ抱いたままでは少々食べづらい

  なのでいつも部屋以外で食べると時はサンドウィッチなど片手で食べられるものか

 スプーンなどを使って食べられるものを選んできた

  なのに、今日に限って俺は蕎麦などというよりにもよって熱い、垂れる、すすると音がする

 食べにくさが三拍子が揃ったものを頼んでしまった

  ここで誤解しないでほしいのは決して蕎麦が悪いわけではなく俺が悪い!



  悶々と蕎麦と睨めっこしているとモゾモゾと腕の中で蘭が動いた

  目線を下げるとサングラスの中から気怠げに覗く目と目が合う

  口には見慣れた棒付き飴が入っていて隙間からはチロチロと赤い舌が見えている

   「どうしたの?」

  俺だけに聞こえるギリギリの声で蘭が聞いてくる

   「いや..蕎麦が...」

  口籠る俺と机の上の蕎麦を交互に見た蘭は何かを察したように隣に座る紘の制服を引っ張った

  紘はすでに食べ終えたていたようで、蘭だけに見せる優しい微笑みを浮かべ両手を広げると

  その腕の中にスルスルと蘭が移動していき俺の膝の上の重みがなくなった


  少し寂しさを感じているとさっきの優しい微笑みはどこに行ったのか鋭い視線で

  早く食べろと紘に急かされた


  箸を取り改めて手を合わせる

  少し冷めてしまっているが、それは自分のせいなので仕方ない

  「ズルズルズル」  「ズルズルズル」

   蕎麦をすする俺の前では華がフォークにパスタを器用に巻きつけ食べている

  「ズルズルズル」  「ズルズルズル」

  その華の横では圭が箸だけを握って落ち込んだ顔をしている

  「ズルズルズル」  「ズルズルズル」

  そういえば先ほどまで賑やかだった食堂が今は静かだ

  そのせいか蕎麦をすする音もやけに響いて大きく聞こえる

   おかしく思い汁を飲み干して顔を上げると食堂にいる他の生徒の視線が全て俺に向いていた

  いや、正確には俺の隣に立って引き攣った顔をしている数人の生徒に向けられている

  
  その中の1人、黒髪の生徒がイライラしながら言う

  「ズルズルズルズルうるせぇんだよ!!」

  
   

  俺は知らぬ間にヌーハラしていたようだ

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