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触れるな危険!

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 気持ち良いくらいに自然と目が覚めたら、ベッド脇のサイドテーブルへ置いた目覚まし時計を手に取る。

 時計の針は、ちょうど三時のおやつを指していた。

「ふん、ああ、よく寝たな。よしっ……」

 欠伸しながら身を起こせば、オレはべッドに腰掛けた。で、気合いなんて入れつつ、自分の身体を見下ろしてみたが、結果、元の姿に戻って、

「いないよな……はぁ」

 オレは、肩を落とし落胆する。眠る前と全く変化なし。いつまで、この身体でいなきゃいけないんだろうか? 考えるだけで、気が滅入ってくる。
 それにしても、寝汗が酷かったのか、着用してた服が湿って身体に貼っ付いて気持ち悪い。

「ここは、シャワーでも、浴びてサッパリするに限るな」

 自分の部屋を後にして一階へ降りる。
 一階に降りたら、急に尿意を催したので、トイレへ入った。

「ふぅ、スッキリ……した」

 トイレに入る度に、顔を赤らめて何やってんだオレは、阿保か。
 女になった事を意識し過ぎて羞恥心が過敏になってるな。ホント、面倒な身体になっちまった。
 まぁ、今は、そう言うのは置いといてシャワー浴びるか。


 脱衣所に行き、服を洗濯カゴへ脱ぎ入れて、素っ裸で洗面台を横切り、浴室のドアノブへ手を掛けた時、ふと、洗面台の鏡に写った自分を見た。
 自分で言うのもなんだけど、こうやって改めて見るとスゲぇ可愛いよな。何となしに、髪をたくし上げてみたり、胸を寄せ盛ってみたり、グラビアっぽい格好ポーズを取ってみる。

「はっ? キモッ!」

 この場に居るのが、物凄く居た堪れなくなり、オレは浴室へと逃げ込んだ。

「マジ、何やってんだ、オレ」

 沈んだ気分を一心すべく、シャワーの蛇口を捻る。

「ひゃん! つっ、冷た!」

 カン高い声が浴室に反響した!
 シャワーヘッドから出たのは、お湯で無く冷水。すぐさま、蛇口を閉めてシャワーを止める。

「ああ、もうっ、何なんだよ」

 オレはどうにもならない、苛立ち吐き出す。

 それより、浴室に反響した声が自分の耳に入った時、女になったと尚も実感させられた。 
 再度、シャワーの蛇口を捻れば、シャワーヘッドより湯気が立ち上る。お湯が出たのを確認したら、壁に付いた一番上の取手にヘッドを引っ掛け、そして、頭からシャワーを浴びた。
 女になったからなのか、毛量が増えて伸びたような気がする。それと男の時より髪質が変わったのか、指通しが良くサラサラヘアになり艶が出てきたっぽい。
 頭を洗い終えると、バスチェアに腰を落として、石鹸を染み込ませたボディタオルで身体を洗い始める。

 浴室の鏡に写る自分と目が合った。当然なのだけども、なぜか恥ずかしくなり、咄嗟に目を伏せてしまう。

「ああ、もう!」

 かぶりを振って、茹だる頭をスッキリさせる。
 再び、身体を洗い始めて、ボディタオルで二の腕を擦ったなら、少し肌がヒリヒリしたので確認のため、二の腕を見ると白い肌が朱に染まっていた。
 さて、どうしたもんか、何時もなら気にすることもないけど、今は女だからな。
 一応、気は使うべきか? オレはボディタオルを使わずに素手で身体を洗う事にした。

「まったく面倒な身体になったよな……」

 石鹸を手に付けブクブク泡立て、身体を撫でるように洗ってやると、少し躊躇ってしまう部分がある。

「自分の身体だろ! ナニ遠慮してんだよ」

 そう強く言葉を吐けば、そこに手を持って行き、その物体を優しく持ち上げてやり、ゆっくりと撫で洗う。

 うっ、プルプルッして……

「やっ、やわらけぇ!」

 なんとも間抜けな声が浴室に響く。自分の胸に感動するってやばいな、オレ。
 そんな思いを他所に、もにゅ、もにゅ、と白く盛り上った二つの果実を揉み洗っていれば、次第に手にも力が入り興奮を覚える。夢中でおっぱいを洗ってたら、指がプックリ膨らむ突起に掠った瞬間!

「はっ……んはぁ……んんっ」

 背筋がビリリッとふるえてしまう!

 変な声出てくる。ヤバイ気持ちいい……この感じ、絶対マズイな。
 さっさとカラダ洗って風呂場を出ないと大事な物を失くしそうだ。

「んぐっ……ハアハア」

 息切らせながらも、なんとか浴室を出れば、身体を拭いて早々と着替えを済まし、リビングへと向かった。


 オレは黒い革張りのソファへうつ伏せに倒れ込んだら、白いクッションの上にバフッと顔を埋めた。

「ああっ! 最悪、ああああっ」

 脳裏に浮かぶ思いを振り払うべく大声を上げた。マジでこのままじゃダメだな。

 オレは姿勢を正してソファに腰掛けると、

「スウゥゥ、ハァァ」

 深い深呼吸で気を沈めた。
 ソファの前にあるウォールナット材のローテーブル、その上へ置いたリモコンを手に取ったら気分を紛らわせる為、テレビを点けた。
 テレビをあれやこれやとザッピングしながら目を惹く番組を探すも、さっきのことが頭に焼き付いて離れない。
 ダメだぞ。絶対に! 一線だけは越えてはいけない。心の中で自分に言い聞かせる。

「そ、そういや! 朝から何も食べてなかったな。腹が減ってるから余計な事を考えるんだ」

 ソファから立ち上がり、台所キッチンへ行き食料を探す。

 まず、冷蔵庫を開けたが……。

「おいおい、食いもんが全くないな。この家、マジで大丈夫か?」

 冷蔵庫の中身に唖然とした。
 可哀想な冷蔵庫、本来の目的を果たせず、白い置物と化してる。
 冷蔵庫を閉めて、オレは隣にある棚を物色し始めれば、あるじゃないの食いもんが!
 カップラーメンを見つけた。では、早速、戴くとしますか。
 カップラーメンの蓋を捲り、お湯を注ごうとポットの注ぎ口へカップラーメンを置きボタンを押す。

「ん? お湯は? まさか!」

 急ぎポットの給水口を開けたら、中は空っぽで水が入ってない。

「ああっ! どうなってんのこの家は!」

 オレは頭を抱え憤り声を上げた。
 しょうがないので、ヤカンに水を入れてガスコンロでお湯を沸かす。
 その間、リビングのソファに座り込みヤカンの水が沸騰するのを待つ。
 手持ち無沙汰を解消しようとするが、何もする事がない。
 色々考えを巡らし、リビングを見回していたら、壁に掛けてあった姿見が目に入る。
 オレは徐にソファから立ち上がり姿見の前へ立った。
 姿見には、少しダボついたTシャツに短パン姿のオレが写っている。

「やっぱイイナな。スゲぇ好み何だよな、実際」

 鏡に写る姿をみてボソッと呟いた。

 これが、自分じゃなきゃ言う事なしなのに……。

 鏡に写った自分を見ながら、胸の膨らみに、ふと軽く手のひらを添えてみる。ジワッと暖かさを感じとると、ゆっくり円を描くように撫でてやった。
 ううっ、おいおい、ふわふわだな。
 鏡越しのオレ、エロくねぇ? 頬を紅く染めて悩ましげな表情を作り、自然と身体を少しくねらせてしまっている。
 オレは自分の姿に欲情してしまった!
 もうダメだ……二つの乳を両手で、むにゅっと形が変わるほど寄せ上げ揉みしだく。

「ハア……ハアハア……」

 興奮して吐息が荒くなり、自分が乱れて行くのを感じた。あの風呂場での快感を得たいのに、中々そこへ辿り着けなくもどかしい思いをしている。
 あの時の状況を思い出す為に、オレはTシャツを捲り上げれば、ぷるんっと張り詰めた純白の肉まんが二つ飛び出す。

「ハアハア……こうだったかな?」

 丸く盛り上がった乳房の先にツンと張り出た桃色のちくびを指で撫でてみた。

「はひゃ! なっなに……」

 背筋がビリッと震える、あの時と似た快感に襲われた。ちくび、めちゃ気持ちいい! 
 それがもっと欲しくなり、ちくびを指で摘まんでやる。

「ふはぁ……これスゴイ……はひっ」

 身体がビクッと震るえたら、快感が全身に駆け巡った。癖になりそう、男の時にした自慰オナニーが可愛く見える。
 もっと快感が欲しくなり、より強く、ちくびを摘み引っ張り上げた!

「んあっ……力抜ける……やば」

 全身がピクピク震えだし、立ってられない。オレはその場にヘナヘナと座り込んでしまう。
 気持ち良過ぎてこんなのダメでしょ。

「んんっ、頭……変になりそう」

 瞳が潤み、口をだらしなく半開きにした状態の自分が鏡に写った。
 我ながらスケベな面を晒してやがる。
 オレは両足をガバッと拡げてM字開脚をしてみた。これはいかんでしょ。ヤバッ、恥ずかしい。
 身体の芯が熱く火照り、アソコがキュンキュンして、まだ足りないとオレに知らせてくる。
 ちくびを嬲った手で身体を弄びながら、M字に拡げた下腹部へと手を留めた。短パンの上からでも分かるくらい股間が湿めっている。

 コレって、まさか! 愛液ってやつ? 男で例えると我慢汁カウパーみたいなもんかな?

 愛液により短パンが股間にピタピタ貼り付けば、いやらしく露わになる、むっちりと肉肉しいワレメ。
 オレは、自分の白く細長い指でスーッとワレメをなぞってみた。

「はぁぁんんっ……さっきより……」

 自分の甘ったるい声が耳に入る。ピクピクッと腰が浮き、身体中で痙攣起こし今まで以上の快感にヤられる。

「はぁ……はぁはぁううっ、オンナって……」

 ヤバくね。流石にこれ以上は。
 頭では止めようとするも、手が勝手に動いてしまう。
 さらなる快感を求めようとし、手が短パンの下に潜り込もうとした時、ピィィィィ!
 ヤカンから沸騰を知らせる音が鳴り響いた!

 はっ! オレは何やってた! 

 その場から勢い良く立ち上がるが、少しふらついてしまう。

「うっ、早く火を止めないと」

 オレは急ぎ台所キッチンへ向かったーーーー



「フーフー、ズルズル」

 オレはムスッとしながらカップラーメンを啜っている。
 ああ、最低だ。クソクソ、うぅぅっ。
 あれ以上やってたら、たぶん……余計な事を考え過ぎる。
 こ、これは何としても、元に戻らないと。
 オレは決意を新たにして目の前のカップラーメンを平らげた。

「ふぅ、美味かった。ご馳走様でした」

 ぽんぽんっと腹を摩り、手を合わせ食事を終えた、その時、

 ピンポーン!
 呼び出しベルが鳴った。

 ん? 誰か来たな?
 俺は室内ホンの受話器を取り呼びかける。

「はい? どちら様?」

「あっ! 樹里イツキ悪いけど玄関開けてくれない」

 受話器の向こうから聞き覚えのある声がする。
 あ?! 樹乃タカノか。

「タカ姉か、ドアくらい自分で開けろよ」

「いいから早く! 荷物がいっぱいで手が離せないのよ」

 樹乃タカノは声色を強め少し不機嫌になる。

 あ、マズイ、早く行かねば。

「ああ、わかったから。すぐ行く」

 急ぎ玄関へ向えば、サムターンを回し開錠してドアを開けてやる。

「おかえり、タカ姉」

「ただいま! ハイ、これ持って」

 ドアを開けると、同時に樹乃タカノは両手いっぱいに提げた紙袋やビニール袋を俺へと渡してきた。

「おっ、重い! 何、買ったんだ?」

 予想以上の重さに戸惑ってしまう。

「落とさないでね。卵入ってるから」

 オレに注意を促すと、樹乃タカノは玄関の段差に腰掛けると、編み上げのサンダルを脱いだ。
 サンダルを脱ぎ玄関を上がった樹乃タカノは、オレが持つ荷物の紙袋だけを選び取る。

「着替えてくるから、いつき、その荷物、冷蔵庫に入れて置いて」

 そう言い残し樹乃タカノは、二階へ上がって行く。
 オレは手に持ったビニール袋を覗き込んだ。
 ああ、今日の晩飯か。ビニール袋には、肉や野菜、卵など食材が入っていた。


 オレは台所キッチンへ行き、冷蔵庫に食材を詰め込んだ。
 おお! これこれ、冷蔵庫ってのはこうでなくちゃ。
 さっきまで、置物と化していた冷蔵庫が本来の目的に目覚めたな。
 何か嬉しくなってしまう。

「上機嫌じゃない。いつき」

 リビングへ降りて来たタカノが、台所キッチンに居るオレを見て声を掛けてきた。

「えっ、ああ、そうか」

 オレは少し素っ気く返答する。

「もっと、落ち込んでると思ってだけど、意外と大丈夫そうね」

 台所キッチンでの、オレの様子を見たなら誰もがそう思うだろうな。
 まあ、自分でも不思議と落ち着いてると思う。
 ちょっと前まで、あんな事してたしな……あっ?! 違う違う、アレは一時的、気の迷いだから。

 忘れろ! オレはブルブルと頭を振った。

「なに? 急に気持ち悪い」

 オレの様子にタカノは、顔を曇らせて気味悪がる。

「ごめんごめん。何でもないから気にしないで」

 オレは手をパタパタさせてタカノに謝った。

「まあいいわ。今から夕飯の支度するから」

 タカノはエプロンを着けながら、台所キッチンへと歩いてくる。

「いつき、それで、父さんが帰ったら私から事情を話すわ。いつきは、それまで部屋に篭ってて、変わり果てたあんたを目の前にして話なんかしたら、父さん混乱しそうだからね。話が済み次第、一階に呼ぶから。悪いけど、それまで、部屋で待ってて、それに、色々と順序立てて話した方が父さんも理解しやすいだろうしさ。樹里イツキいいわね?」

 ここは、タカノの言う通りにした方が上手くいきそうだ。

「わかった。タカ姉に任せるよ」

「よし、話は終わり。それじゃあ、夕飯作りますか!」

 樹乃タカノは腕を捲り気合い入れたならば、台所キッチンへと立つ。


 しばらくして、自室に戻ってきたのは良いけど、暇だな、やる事がなくなった。自分の部屋で漫画読んだりゲームしたりして、時間を潰していたが、もう限界だ。

 オヤジは既に帰宅している。

 オヤジが帰宅して一時間以上経ってるのに、一向に呼ばれる気配がない。
 早くして欲しいんだけどな。

 ピロピロロッ!

 机の上に置いてあるスマートフォンが鳴った。
 スマートフォンを手に取って着信相手を見ると。
 おっ、樹乃タカノか。

「はい、もしもし」

 電話向こうから。

「いつき、話が終わったから降りて来て」

「おっ、うん、わかった」

 少し吃りがちに返事したら電話を切る。
 二階から一段一段、階段を降りる度に緊張感が増していく。
 ああ、嫌な感じだ。何でこんな緊張しなきゃいかんのだ。
 階段を降り廊下へ出ると、俺はリビングに入る扉の前で立ち止まった。

「スウゥゥ、ハアァ」

 一度、深呼吸して気分を落ち着かせる。

 よし、行くか!

 意を決して、リビングの扉を開き中へと入った。
    
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