青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第二章 燃え上がる日々

第十一話 女という生き物 1

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 なんとか伯亜が事情を説明したため、修羅場にはならなかった。しかし、恵弥には「喧嘩に凶器を使うな」と怒られた。やがてホームルームが始まるが、そこでは香織が保健室にいることと麗花が付き添っていること、明良が体調不良で午前中は病院に行っていることが報告された。

「貴哉と伯亜、ホームルーム終わったらちょっと来なさい。」

 2人は嫌な予感がした。ホームルームが終わり、取り敢えず前田先生のもとへ向かう。

「ねぇ、香織が怪我した時、あんたたち教室にいたんでしょ?」
「....そうだけど?」

 貴哉は観念したように答える。

「あの子、転んで椅子の角にぶつけたって言ってるけど、本当にそうなの?」

 貴哉は驚いた。てっきりチクられたと思っていたからだ。

「....あぁ、そうだよ。足滑らせて××××ぶつけてた....」
「こら、あんまりそんなこと大きな声で言わないの!」

 隣で伯亜が笑っている。大爆笑だ。

「貴哉くん、先生の前で××××って、ぎゃはははは!」
「静かにしなさい!」

 前田先生が怒る。

「とにかく、あんまり人に言うじゃないよ。」

 そう言って教室から出て行った。伯亜はまだ笑っている。それを眺めてる恭典が恵弥に言う。

「なぁ、恭典。伯亜ってああ見えて結構あれだな。」
「あぁ、ちょっとおかしいな。」

 時は流れ、昼休み。貴哉が恵弥たちと教室から出ると桃子がいた。

「ちょっと貴哉借りるわよ。」

 そう言って貴哉の肩を掴んだ。

「あれ、お姉ちゃん何してるの?」

 伯亜が桃子の姿を見て教室から出てきた。

「伯亜、あんたも来なさい。」
「えっ?」
「いいから来なさい。」

 こうして2人して桃子に捕まった。行き先はバレー部の部室だ。部室に入ると、香織と明良以外のメンバーが勢揃いしていた。

(ヤバい、殺される!)

 貴哉はそう思った。しかし、何やら違うようだ。

「ちょっとあんたたち、何してるの?」
「私が呼んだんだよ。」

 朱里が答える。

「ちょっとこれからのことで話し合いを持ちたくてね。なんなら、そこのおチビちゃん2人も交えて、ね?」

 伯亜は震えているが、入学してから既に2回、今朝を含めると3回の暴力沙汰を経験している貴哉はそうでもない。なぜなら、朱里からは音也や将紘のような殴りかかってくるオーラ、即ち殺気というものが感じられない。むしろ、授業中怒り出した先生たちに近い。

「私はこの2人からまず事情を聞きべきだと思うけど?」
「そんなのここで話させればいいじゃない?」
「この2人が柄の悪い姉さんたちに囲まれてもはっきり喋れるように見える?」
「....分かったわよ。あんたたち、外で待ってなさい。」
「はい!」

 朱里以外が外へ出ていく。桃子と朱里は椅子に座るが、チビ2人はその前で立たされた。

「さぁて、おチビちゃんたち。今朝の教室で何があったか教えてもらいましょうか。」

 朱里が始める。

「香織さぁ、保健室でずっと泣いてたんだってよ。しかも、××××真っ赤に腫れ上がってたもんだから病院行ったんだって。」

 朱里が2人を睨らんでいる。

「まぁ、幸い、どこにも異常はないらしいけどさ、しばらくおしっこする時に痛むかもしれないんだって。」

 遂には立ち上がった。手にはカッターが握られている。

「何があったか本当のこと言いなさいよ!さもないとあんたたちも同じ目に遭わせるわよ!」
「朱里!」

 桃子が朱里の尻を蹴飛ばす。

「....あんたも外に出なさい。話が進まなくなるわ。」
「けっ、分かったわよ。」

 朱里が外に出ようとした時、伯亜が叫んだ。

「待ってください!本当のこと言います!」

 こうして、朝の出来事が語られた。桃子と朱里の2人は驚きを隠せないようだ。

「それは本当なの?」
「はい!」

 伯亜は震えている。朱里は伯亜を抱き締めた。

「怖かったねぇ、ごめんね。」

 伯亜は朱里の胸の中で泣いているようだ。桃子が立ち上がり、貴哉を抱き締めた。

「貴哉、あんた結構男になったじゃん。昔は麻耶にも泣かされてたのに。」
「....そんなことねぇよ。」
「ふふっ、照れちゃって。あんた伯亜の次に可愛いわ。」
(変わってねぇな、この女....)

 ちなみに貴哉も怖かった。いくらなんでも、カッターで性器を傷つける旨の脅迫は初めてされた。だから何も言えなかったのだ。

「はい、もう泣くのはおよし。それにしても、あの馬鹿女、どうしてやろうかしら。」
「朱里やめな。伯亜が怖がっちゃうでしょ。ほら、泣き止んでたのにまた泣いちゃってるじゃない。」
「あらら、ごめんね~。あ~もう、この子可愛いわね~。お姉さんにいっぱい甘えな~。」
(お前らの豹変ぶりの方が怖ぇよ。)

 しばらく抱き締められた後、男2人は部室から出た。

「なぁ、伯亜。お前途中から嘘泣きだったろ?」
「えへへ、バレてた?」
「アホ。お前、よくあんなことできるな。怖くないのかよ?」
「そりゃあ、最初は怖かったよ?でも、抱き締めてくれたから....」

伯亜が真っ赤っ赤になる。

「要領いいやつだな、お前。」
「えへへ、どうも。」
「褒めてねぇよ。」

 しばらく歩くと、先ほど部室から退散したバレー部がいた。何やらこっちを見ている。

(うわぁ、めんどくせぇ....)

つづく
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