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第一章 それぞれの出逢い
第二話 クラスメイト 1
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入学式が終わって各々のクラスへ移動し、学級開きが始まる。担任は「前田 優里」とかいうベテランの国語教師のようだ。生徒たちの自己紹介が始まる。
「荒川小出身の池宮城 貴哉です。」
特に大したことは言わない、あまりにも普通な自己紹介だった。それは他の生徒も大して変わらない。初日はこんなものだろうか。
学級開きが終わったらあとは家に帰るだけだ。貴哉が帰ろうとした時、伯亜が声をかけてきた。
「貴哉くん、吹奏楽部の見学行こうよ!」
「吹奏楽?なんでだよ?」
「え、だってさ、部活入った方がさ、学校生活楽しいじゃん!」
「だからってなんでまた吹部なんだよ?」
「運動部よりは楽そうじゃん!んで、どうする?」
「いや、俺はいいよ。」
「えー、行こうよ。」
「気が向いたらな。」
「はーあ、分かったよ。また、明日ね。」
その会話の後、貴哉は1人で教室を出ると次は明良に声をかけられた。
「なんだお前、部活見に行かないのかよ?」
「え、お前は行くの?」
「行くも何も、春休みの間から女バレの練習に顔出してるよ。」
「へ?」
貴哉はキョトンとした。
「女バレってお前、マネージャー?」
「なわけないじゃん、選手だよ」
「いやいや、それこそなわけねぇだろ、お前が女子の部活なんて規則的にっつーかなんつーか無理だろ。」
その瞬間、貴哉の頭に割と強めの手刀が飛んできた。
「調子乗んな!チビ!死ね!」
「だって本当のことじゃん」
「うるさい!蹴るぞ!」
そんな会話をしてる最中、横から1人の女子が声をかけてきた。同じクラスの「金城 香織」、バレー部だ。
「明良ー、早くしないと先輩たち怖いよー」
「あー、待って今行くー!」
「マジなのかよ」
「うるさい!今度なんか言ったら許さねーからな!」
明良はそう言い残して体育館の方へ歩いていった。やることのなくなった貴哉は、大人しく1人で帰ることにした。帰り道、頭の中でずっと考えていたことがある。
(あれがブルマ履いてバレーなんて信じられねーな。世も末だ、、いや、待て、意外と絵になってるかも。あれ、なんでちょっと興奮してんだろ。)
いつの時代も思春期はクラスメイトの異性をそういう目で見るようになるものだ。
一方の明良の方はというと、
「さっきのあいつ、確か6年の時あんたと同じクラスじゃなかったっけ?」
「そーなんだよ、あんなのと6年間も同じクラスでさー、おまけに中学でも一緒って、本当に参っちゃうよ」
「ん?仲良くないの?」
「冗談じゃないよ、あんなチビで猫背で、しかも目なんて片方だけ二重なんだぜ?見た目もそんなんだしさ、しかも口答えはするし女として見てくれないし!」
「、、、あんた、あいつのこと好きなのね。」
「な、そ、そ、そんな訳!」
慌てる明良の言い訳が可笑しくて、香織はクスッと笑った。
つづく
「荒川小出身の池宮城 貴哉です。」
特に大したことは言わない、あまりにも普通な自己紹介だった。それは他の生徒も大して変わらない。初日はこんなものだろうか。
学級開きが終わったらあとは家に帰るだけだ。貴哉が帰ろうとした時、伯亜が声をかけてきた。
「貴哉くん、吹奏楽部の見学行こうよ!」
「吹奏楽?なんでだよ?」
「え、だってさ、部活入った方がさ、学校生活楽しいじゃん!」
「だからってなんでまた吹部なんだよ?」
「運動部よりは楽そうじゃん!んで、どうする?」
「いや、俺はいいよ。」
「えー、行こうよ。」
「気が向いたらな。」
「はーあ、分かったよ。また、明日ね。」
その会話の後、貴哉は1人で教室を出ると次は明良に声をかけられた。
「なんだお前、部活見に行かないのかよ?」
「え、お前は行くの?」
「行くも何も、春休みの間から女バレの練習に顔出してるよ。」
「へ?」
貴哉はキョトンとした。
「女バレってお前、マネージャー?」
「なわけないじゃん、選手だよ」
「いやいや、それこそなわけねぇだろ、お前が女子の部活なんて規則的にっつーかなんつーか無理だろ。」
その瞬間、貴哉の頭に割と強めの手刀が飛んできた。
「調子乗んな!チビ!死ね!」
「だって本当のことじゃん」
「うるさい!蹴るぞ!」
そんな会話をしてる最中、横から1人の女子が声をかけてきた。同じクラスの「金城 香織」、バレー部だ。
「明良ー、早くしないと先輩たち怖いよー」
「あー、待って今行くー!」
「マジなのかよ」
「うるさい!今度なんか言ったら許さねーからな!」
明良はそう言い残して体育館の方へ歩いていった。やることのなくなった貴哉は、大人しく1人で帰ることにした。帰り道、頭の中でずっと考えていたことがある。
(あれがブルマ履いてバレーなんて信じられねーな。世も末だ、、いや、待て、意外と絵になってるかも。あれ、なんでちょっと興奮してんだろ。)
いつの時代も思春期はクラスメイトの異性をそういう目で見るようになるものだ。
一方の明良の方はというと、
「さっきのあいつ、確か6年の時あんたと同じクラスじゃなかったっけ?」
「そーなんだよ、あんなのと6年間も同じクラスでさー、おまけに中学でも一緒って、本当に参っちゃうよ」
「ん?仲良くないの?」
「冗談じゃないよ、あんなチビで猫背で、しかも目なんて片方だけ二重なんだぜ?見た目もそんなんだしさ、しかも口答えはするし女として見てくれないし!」
「、、、あんた、あいつのこと好きなのね。」
「な、そ、そ、そんな訳!」
慌てる明良の言い訳が可笑しくて、香織はクスッと笑った。
つづく
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