青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第一章 それぞれの出逢い

第一話 始まりの日

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2009年4月6日(月)

 この日、沖縄県の南部、咲島市の伊志凪中学校では入学式が行われる。
 校門を入ってすぐの広場では新入生たちのクラス表が設置され、それを我先にと見たがる新入生と保護者たちで溢れかえっていた。
 
 その新入生たちの中に、この物語の主人公となる少年、「池宮城 貴哉いけみやぎ たかや」はいた。春休みの間はあまり外で遊ばなかったのか色が周りに比べて少々白く、髪も長めだ。というより、彼はもともと運動や体育の授業が苦手で滅多に自分から体を動かそうとしない。その為か、周りよりも身長も小柄な上、細身でもある。
 貴哉はまだクラス表に自分の名前を探しきれておらず、後ろの方で困り顔をしていた。

「貴哉く~ん!」

 前の方から彼を呼びながら1人の少年が小走りでやって来た。幼なじみの「平田 伯亜ひらた はくあ」だ。彼もまた貴哉と似たタイプの少年だ。

「貴哉くん!僕たち同じクラスだよ!1年1組!」
「まじかよ」
「何それ、もっと喜んでよ!」
「はいはい」

 貴哉はつれない返答をしたが、内心は安心していた。彼は若干人見知り気味で少々ヒヤヒヤしていたからだ。伯亜はそんな貴哉の性格をよく分かっていたので、彼もまた話を続ける。

「他はね、ほら、隣のクラスに香織って子いたじゃん?あのバレー部だった子!あと、麗花って子!」
「喋ったことないんだけど、」
「そうだったっけ?」
「たぶん、おそらく、そんな感じ」
「ふーん。あとは、えーと、誰がいたっけ??」
「私もいるよ」

 伯亜が悩み始めた時、短髪で赤い眼鏡をした子が後ろから彼の肩をポンと叩いた。「勝連 明良かつれん あきら」だ。明良もまた彼らの幼なじみであり、この小柄で運動音痴なイマドキ男子2人とは対称的に、活発でよく男女混じって外で遊ぶタイプの子だ。

「なぁ、明良。」
「なんだよ貴哉、変な顔して?」
「セーラー服似合わないな。」
「余計なお世話だよ、バーカ!」
「僕はそんなことないと思うよ、明良くん。」
「お前はいい加減、明良くんってやめろよな!」

 この男2人は、どうやら明良を女として見てないようである。そんな微笑ましい会話をしてる時、先生から号令がかかった。体育館の隣にある、武道場に集合するらしいので、移動することにした。

「いやー、それにしても、これから楽しみね!」
「そうだな!なっ、貴哉、お前もそう思うだろ?」

 貴哉はそう問われると、少々間をおいてからボソッと答えた。

「あぁ、そうだな」


つづく




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