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2章 領地での暮らし
死の女神の理由
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【悪いが断らせてもらう。今は、浄化の女神の試練を受けている最中だ】
あんな馬鹿見たいな試練を受けるとか絶対にいやだから。アイビリアン様は、死の女神さまよりも強そうだしもしもの時には任せよう。(他力本願)
【生意気いうではないぞ?小僧。お前なんぞ妾は一ひねりで殺せるのだ。一応タイムリミットを長くしてやっているのだから、早く試練を受けて死ね】
狂気に染まった真っ黒な双眸が、俺を見据える。金色の扇に隠された口元から紡ぎだされる言葉は、濃厚すぎる殺意を含み俺の背筋を凍り付かせた。
【狂信者、その発言ばっちり聞きましたよ。これであなたはもう終わりですね。神子殺害目的試練強制受理罪で、妖精落ちは確実ですね】
妖精落ち……。神界最大の罰を受けるってことか。
【別に良い。少しは破壊神様のお役に立てれば、妾はそれでよい】
……どういう意味?
【こんなことをしても過去に戻れるわけではないですよ?狂信者。神界裁判にかけられて最高刑になるだけです】
過去に戻れるわけがない、か。重たい言葉だな。
【知ってるぞ。妖精となって永遠に世界をさまようか、創造神の愛人として永遠に犯されるか、妾の未来はそのどちらかだ】
永遠に犯される……。
【わかっているならなぜ?】
アイビリアン様が、複雑そうな面持ちで死の女神を見つめた。かつて兄神の彼女、弟神の彼女として親交があったと思うから複雑な思いを抱いてしまうんだと思う。俺だって、昔の友達が罰を受ける覚悟ですごい犯罪者になってましたってなったらそうなる。だが、死の女神は覚悟を決めたように金色の扇をパチンと閉じた。
【好いておるからだ。妾は破壊神様のことをすいておる。だから、破壊神様のお望みは叶えてあげたいのだ。破壊神様のために、妾は罰を受ける覚悟もしとるしどうなっても構わないと思っておる。犬、笑ってもよいしさげすんでもかまわん。だが、好いておるものは好いておる。ただ、それだけだ】
狂気の黒が、俺とアイビリアン様を見つめた。紅を塗ったように赤い赤い唇から紡ぎだされた言葉は、恋であり、盲信であり、ただの好意であるそれは、まっすぐで、受け止めることができないほどに強くて、幼稚で、愚かで、純粋で、美しい。そう、美しい。狂気に取りつかれたように破壊神への盲信を、恋を、まっすぐに伝えてきた十二単をまとった女神は、神々しくあり、禍々しくあり、不吉であり、美しかった。
【あいかわらず愚かですね、死の女神。あんなに手痛く振られたというのに、まだそんなに恋情を募らせているなんて】
不気味なほどの美をものともせず、まっすぐにすべての緑の瞳で狂気の瞳を見返す。手痛く振られたというのに、あそこまで盲信できる死の女神は、尊敬に値するかもしれない。どんなふうに振られたかはわからないけど、姉に恋情を抱いたから別れを切り出されたのだろうとは推測できる。それなのに、あそこまでまっすぐに思えるのはすごい。
もし、俺がゲームのように断罪されてアリス様に振られたら、絶対に恨む。確実に恨む。だから今も、どことなくぎこちない態度になってしまっている。だけれど、死の女神はひたすらに破壊神を愛している。不確定な未来の出来事で、アリス様への態度がぎこちなくなっている俺よりも、ずっと立派だと思う。
【愚かでもよい。妾はただ好いておるだけだ】
まっすぐと、悠然と、ひたすらに、狂気の黒で見つめ返している。俺は、この女神が、妖精落ちしたり創造神へ永遠に犯されるような罰が与えられてほしくない。殺されそうになったいや普通に殺されそうだけどけど、そう思わずにはいられなかった。
あんな馬鹿見たいな試練を受けるとか絶対にいやだから。アイビリアン様は、死の女神さまよりも強そうだしもしもの時には任せよう。(他力本願)
【生意気いうではないぞ?小僧。お前なんぞ妾は一ひねりで殺せるのだ。一応タイムリミットを長くしてやっているのだから、早く試練を受けて死ね】
狂気に染まった真っ黒な双眸が、俺を見据える。金色の扇に隠された口元から紡ぎだされる言葉は、濃厚すぎる殺意を含み俺の背筋を凍り付かせた。
【狂信者、その発言ばっちり聞きましたよ。これであなたはもう終わりですね。神子殺害目的試練強制受理罪で、妖精落ちは確実ですね】
妖精落ち……。神界最大の罰を受けるってことか。
【別に良い。少しは破壊神様のお役に立てれば、妾はそれでよい】
……どういう意味?
【こんなことをしても過去に戻れるわけではないですよ?狂信者。神界裁判にかけられて最高刑になるだけです】
過去に戻れるわけがない、か。重たい言葉だな。
【知ってるぞ。妖精となって永遠に世界をさまようか、創造神の愛人として永遠に犯されるか、妾の未来はそのどちらかだ】
永遠に犯される……。
【わかっているならなぜ?】
アイビリアン様が、複雑そうな面持ちで死の女神を見つめた。かつて兄神の彼女、弟神の彼女として親交があったと思うから複雑な思いを抱いてしまうんだと思う。俺だって、昔の友達が罰を受ける覚悟ですごい犯罪者になってましたってなったらそうなる。だが、死の女神は覚悟を決めたように金色の扇をパチンと閉じた。
【好いておるからだ。妾は破壊神様のことをすいておる。だから、破壊神様のお望みは叶えてあげたいのだ。破壊神様のために、妾は罰を受ける覚悟もしとるしどうなっても構わないと思っておる。犬、笑ってもよいしさげすんでもかまわん。だが、好いておるものは好いておる。ただ、それだけだ】
狂気の黒が、俺とアイビリアン様を見つめた。紅を塗ったように赤い赤い唇から紡ぎだされた言葉は、恋であり、盲信であり、ただの好意であるそれは、まっすぐで、受け止めることができないほどに強くて、幼稚で、愚かで、純粋で、美しい。そう、美しい。狂気に取りつかれたように破壊神への盲信を、恋を、まっすぐに伝えてきた十二単をまとった女神は、神々しくあり、禍々しくあり、不吉であり、美しかった。
【あいかわらず愚かですね、死の女神。あんなに手痛く振られたというのに、まだそんなに恋情を募らせているなんて】
不気味なほどの美をものともせず、まっすぐにすべての緑の瞳で狂気の瞳を見返す。手痛く振られたというのに、あそこまで盲信できる死の女神は、尊敬に値するかもしれない。どんなふうに振られたかはわからないけど、姉に恋情を抱いたから別れを切り出されたのだろうとは推測できる。それなのに、あそこまでまっすぐに思えるのはすごい。
もし、俺がゲームのように断罪されてアリス様に振られたら、絶対に恨む。確実に恨む。だから今も、どことなくぎこちない態度になってしまっている。だけれど、死の女神はひたすらに破壊神を愛している。不確定な未来の出来事で、アリス様への態度がぎこちなくなっている俺よりも、ずっと立派だと思う。
【愚かでもよい。妾はただ好いておるだけだ】
まっすぐと、悠然と、ひたすらに、狂気の黒で見つめ返している。俺は、この女神が、妖精落ちしたり創造神へ永遠に犯されるような罰が与えられてほしくない。殺されそうになったいや普通に殺されそうだけどけど、そう思わずにはいられなかった。
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