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2章 領地での暮らし

神子様と、歓迎会

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『湿っぽい話は、終わりじゃ。そなた、何か甘いものを持っておるじゃろ?精霊たちが騒いでおる。この場は、そなたの歓迎会じゃ。

 宴を始めるのじゃ』

神々の言葉ではなく精霊たちの言葉にもどして、歓迎会の開始を宣言すると、さっきまで一言も話さずに、信徒黙っていた精霊たちが、ぺちゃくちゃと話し始めた。さっきまで、完全なる静寂だったから、ちょっとびっくり。

「なんで、甘いものを持っているってわかったのですか?」

俺、一言も言ってなかったと思うけど?

『その甘味、神技を使って作ったものじゃろ?神力の匂いがが残っておる。それも、精霊神と同種のじゃ。それは、精霊にとっては、最もおいしいごちそうじゃからな。100メートル以内に、そんな甘味が入ったら、最下級精霊でさえ気づくからな。それで、知っておったのじゃよ』

精霊って、敏感すぎる。100メートル以内に、お菓子が入ってきたら気づくって……、それも最下級精霊で。もっと、高位の精霊だったらどうなるんだろう?ホオジロザメレベルだったりして……。

「なるほどです」

精霊も、意外と残念なところがあるんだな……。

『納得したのならよい。それよりも、はよ甘味を出すのじゃ。精霊たちは、今か今か止まっておるのじゃ』

本当だ。なんか、めっちゃワクワクした目で見てる。おい、エン、ジエイド、スピネル。お前らは、家で食べただろ。

「わかりました。ジエイド、出して」

大量に作ったクッキーは、ジエイドの魔法でしまってもらっていた。こうすると、いつでも、焼き立てのままらしい。凄いな魔法。ずるいな魔法。

『かしこまりました。

 黒き小箱よ その小さきふたを開け 魔法のお菓子を出してくれ』

黒いシンプルな小さい箱がスピネルの手に現れて、クッキーがドバドバって出てきた。入るときも、ドバドバって入っていったよな。俺も、早く使えるようになりたい。


『精霊神様とおんなじ気配がする』

『おいしそー』

『早く食べたーい』


ちっこい、色々な精霊たちが、わらわらときっきーの周りを囲んでいた。可愛い。ものすごく可愛い。

「早く食べくれ」

こんなに可愛らしい生き物を待たせる理由など、絶対にない。あるわけがない。

『ありがとうございます』

『ありがとうございます』

『感謝いたします』

ぱたぱたとお辞儀をしていって、急いでクッキーに駆け寄る。うん、めっちゃかわいい。超かわいい。また、つくってこよう。絶対に。


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