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2章 領地での暮らし

神子様、お菓子を作る

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『もらってきましたのー』

ふらふらとしながら、ジエイドが帰ってきた。って、どんだけもらってきたの?凄い大きさの袋なんだけど……。

「ジエイド、すごい量だね…‥」

精霊って、何人来るの?

『全部小麦粉ではありませんの。その他の材料も、神子様の名を出したら、ブラウニーたちは、素直に差し出しましたの』

‥‥それって。うん、気にしないことにしよう。

「ありがとう、とりあえずクッキーの生地を作ろう」

そして、改変で焼く。状態変化は、温度変化パターンが多いから焼くこともできるはず……たぶん。

『神子様、クッキーの生地の作り方、わかりますか?』

前世と同じ材料なら、たぶん大丈夫。

「多分わかる」

よくわからなかったら、スピネルかジエイドに聞けばいい。

『わからなかったら、私に聞いてくださいの』

さすがジエイド、頼りになる。

「わからなかったらお願い。材料類出して」

『はいですの』

砂糖、バター、卵、小麦粉。材料は、前世と同じだな。

「量る道具ってある?」

なかったら、どうしよう。はかる道具が無かったら、この世界の人はどうやって、お菓子を作ってるんだ?

『ブラウニー曰く、材料はこのまま量らなくても、おいしいクッキーができるそうなので、卵白と卵黄を分ける以外は、材料に手を加えなくて、大丈夫って言っていましたの』

ブラウニーたち、ありがとう。これで楽々にクッキーが作れる。

「助かるな。ボールとかってないの?」

それが無かったら、どうやってクッキーを作ればいいの?

『あ……もらってくるのを、忘れておりましたの』

……どうすんの?

『フェルディナンド様、植物の精霊王様に金属をいくつかもらっていましたから、それを改変して、ボールなどを作っては、いかがでしょうか?』

なるほど!その手があったか。希少な金属らしいけど、背に腹は代えられない。

「ミスリルを改変するか」

ごめんね、伝説の宝具とかを作ることのほうが、相応しいのに。

『精霊神の神子フェルディナンドが命ずる 世界よ 我が望む姿へ 改変せよ 
 
 改変 形状変化 ミスリル』

ミスリルの塊が、ボールとお皿になった。すっごく勿体ないから、クッキーづくりが終わったら、元の塊に戻そう。

『神子様、ボールとお皿だけでいいですの?人間たちが、クッキーを作るときはもっと複雑な道具をいろいろ使っていましたの』

普通は、泡だて器とか色々いるけど…‥。

「エンに、手伝ってもらうから」

後で、めん棒と型抜き用のクッキー型も作るけど、今はこれだけでいい。

『何故ですの?』

「内緒」

昔、ネットで見つけた超簡単クッキーを作ることにしよう。





「まず、バターを溶かす」

『精霊神の神子フェルディナンドが命ずる 世界よ 我が望む姿へ 改変せよ 
 
 改変 状態変化 個体→液体』

うわーこの能力超便利。神子万歳。

『改変は、そんな使い方もあるんですね!さすが神子様です』

「ありがとう、スピネル」

ほめられるとうれしい。

「次、砂糖を入れる。エン、小さい風を起こせる?」

前世、ネット小説で見た。

『起こせますよ?』

「じゃあ、これを小さい風で混ぜて」

こういう時に、精霊を使うべし。

『わかりました。
 小さき風よ 集まり 回れ』

楽々ー。エン、お菓子作りの才能あるかもな。

「卵黄投入するよー」

白身、どうしよう…‥。今から、改変ボールを作るか。

『神子様、ここに捨ててください。
 闇よ 小さな 穴を作れ  -ブラックホールー』

ちょっけ10センチくらいの、小さいブラックホール?が開いた。もっと大きのがあったら、地球のごみ問題、これで解決しそう。

「ありがとう、スピネル」

ポイっと、卵の殻+白みを捨てた。

『どういたしまして』

スッと、マナーの先生もびっくりのお上品な礼をした。これなら、一発合格しそうだなぁ。

「エン、もういいよ」

『わかりました。楽しいですね、お菓子作り』

小さな竜巻で、ボールをかき混ぜる作業が気に入ったらしい。また、一緒に作ろう。

「次に小麦粉を入れる。そして手でもむ」

もみもみ、もみもみ、もみもみ、もみもみ。


「こんな感じの、棒状にする」

そして、これを伸ばしていろんな形にするんだけど…‥面倒だな。切るやつでいっか。

「そして、凍らせる」

『精霊神の神子フェルディナンドが命ずる 世界よ 我が望む姿へ 改変せよ 
 
 改変 温度変化 常温→0度』

普通は、冷凍庫に寝かせて凍らせるけど、スキップして氷点下にした。

「神子様、質問です。なんで、凍らせるんですか?」

「これを切るから、へにゃってなったら困るでしょ?だから、凍らせて固くする。スピネル、これを1枚5ミリの厚さで切ってくれる?」

『かしこまりました。
 闇の刃よ わが手に 宿れ』

スパパパパンって、黒い刃が凍った生地を切った。

「ありがとう、スピネル。これを焼く』

『精霊神の神子フェルディナンドが命ずる 世界よ 我が望む姿へ 改変せよ 
 
 改変 状態変化 生→焼き』

どう表現すればいいかわからなかったから、そのままにした。ミスリル製のお皿にたくさんのクッキーが乗っている。

「これで完成」









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新連載始めました。

こっくりさんの遊戯~私と遊びましょ~ 

ホラー・ミステリー小説大賞に、応募しています。ぜひ見ていってください。
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