ギャルゲーの悪役子息に転生しましたが、主人公の邪魔をする気はないです。 それよりも領地に引きこもってのんびり魔道具開発を行いたいです。

みゅう

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2章 領地での暮らし

王宮にて

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三人称風に書いてみました。

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「王女殿下、大変です。今から神子様がいらっしゃるようです」

勉学が終わり、自由時間になっていたので、精霊様たちが出てくる絵本を読んでいた私に、侍女が慌てた声でそう告げた。だが、それはありえない。

「マリー、神子様は、カルリオン家の領地に行ったのよ。王都に来られるわけはないでしょう?」

神子様は、今はこの王都にいない。出発の前に一度会いたかったのだが、その願いは叶わなかった。

「精霊様のお力を借りて、神子様単身で、こちらにいらっしゃるようです」

「どういうことかしら?」

精霊様のお力は、偉大だ。高位の精霊が、一度その力を振るえば、人間など、塵芥にも等しい。その力を借りて、王都に来る。流石は神子様だ。

「詳しいことは、わかりません。ですが、我が国の守護精霊である、太陽の精霊様から、伝えられたのです。今から、王女殿下の顔色をうかがいに来ると」

「守護精霊様からお伝えされたのですか?」

どのような事だろうか?偉大なる我が国の守護精霊 太陽のマルグリットでさえ、神子様の前では、ただのメッセンジャーに過ぎないとは……同じ神々の加護を受けたものとはいえ、流石は神子、流石は精霊神。畏怖の念を感じざる負えない。

「そのようです。『コンコンコン』「王女殿下、お入りしてよろしいでしょうか?」

「下がりなさい、マリー。どうぞ、メイド長」

神子様に、お会いするにはこの豪奢だが、シンプルなドレスは、あわないだろう。どのような、ドレスにしようか?



____________________________________________________

「ふぅ、やっと出れた」

私、マリーは、大きく深呼吸をした。第二王女付き侍女になってからは、王女殿下に、退室を命じられた時ほど、安堵する瞬間はない。

王女殿下は、決して暴君ではない。むしろ、おっとりしていて優しい、理想な主だとも言える。だが、立ち上る雰囲気は、決して心安らぐものではない。呼吸ができないほどの、神々しさで、顔を直視することすらできない。王女殿下を直視することができる人物は、両親である陛下と妃殿下、婚約者である神子様だけだ。

「今日は神子様が、おいでするんだよなぁ」

物凄く気が重い。別に、神子様が、どこぞの甘やかされた令息たちみたいな傲慢で、わがまま放題な性格をしているから、というわけではない。王女殿下と一緒でいや、それ以上の神々しさで、呼吸が止まりそうになる。ほかの侍女は、神子様に会えて羨ましいと言ってくるが、あった瞬間倒れると思う。

容姿能津久井差は、美しい容姿が多いとされるこの国でも随一、だが、そんなことは関係ない。本当に人間ですか?実は神だったりしませんか?と聞きたくなるような、呼吸が止まるほどの神々しさの前で、立っていられる人間がどれくらいいるのか、と聞きたくなる。あの神々しさの前だと、まだ王女殿下は、人間の範疇だ。神子様のように、神々のほうに近い感じはしない。

「マリー、神子様が、いらっしゃるお茶会の準備早く手伝って」

「今から行くー」

こっそりのぞいて、倒れる侍女が出ないといいけど・・・・・。
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