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Spirituality
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アキバから進路をまっすぐ北に取り、徒歩で御徒町の街並みを抜け上野駅前のオーバーパスを渡れば、上野公園はもうすぐ。
だがそうして大都会にある数少ない緑あふれる憩いの地に足を踏み入れると、どういう訳かそこは大量の外国人であふれかえっていた。
(お、なんだ…?)
一瞬なにかの催しでも開催されているのかと思ったが、どうもそうではない様子。どの外国人も特になんの目的もない感じで、駄弁っているか煙草を吸っている。
と、そんな彼らを前に立ち止まったオレをみとめ、そのうちの何人かが近寄ってきた。
「ヘイ、シアコ!」
「シガ、シガ!」
「お、なんだ?いきなり集ってくるんじゃない。ええい、煙草なんて持ってないぞ!」
しかしそんなやり取りの間にもどんどんと人は増え、すっかり周りを囲まれてしまう。
「「バクシーシ!バクシーシ!」」
するとそのなかからアキバで買い物をした袋の口を広げ勝手に中を覗きこんだり、背後からオレの財布を掏ろうとする者まで現れる。
「この、いい加減にしろ!」
そこで財布を掏ろうとしていた男の首をムンズと掴んで吊あげると、反撃できぬようそのまま脳みそシェイク。ソレを見た他の外国人らは、いきなり日本人から攻撃されるとは思ってなかったらしくひどく驚いて囲みを広げた。
しかし、外国人だからかガタイがいいのは見慣れてるのだろう。それまでは一切の遠慮や気後れがみられなかった。これはもう、おもいきり日本人が舐められている証といえよう。
「日本人だからといって舐めるなよ!取り囲めばどうとでもなると思ったかッ!」
そこでシェイクしていた男を囲んでいる外国人たちに投げつけると、「あ、コイツはカモれないな」といった感じで渋々囲みは解け、仲間らしいのがグッタリした男をひきずっていった。
(ふぅむ…。だがよもや上野公園がこんなことになっていたとは…。あ、そういえば職にあぶれた外国人がホームレス化し問題になっていると、ニュースでもやってたか。するとこの連中が、そのホームレス外国人か?)
うむ、平日の真昼間だというのに、こうして何するでもなく油を売っているのだ。しかも油を売るだけでなく集団で1人を取り囲んでの集ってくるとは、これではもう強盗とかわりない。
(でも、下手したらジェロームたちも、このなかに混じっていたかもしれないんだよな…)
オレの伝手で、この不景気でも働き口をみつけられたジェロームたち。でもそんな幸運はこの場を見るに、ごく一握りらしい。そういった思いで彼らに改めて眼を向ければ、少々のやりきれなさも感じる。うん、そう、感じなくもない。
だが、オレから言わせればこんなとこでウダウダ駄弁って煙草吸ってるくらいなら、さっさとハロワ行けだ。
国が正式にビザなんかを発行して国内に受け入れているのだから、ハロワで職探しする権利もまた彼らにはあって然るべし。だからハロワ行けばその在留資格に応じた職業相談や職業紹介なんかを、ちゃんとしてくれるはずなのだ。
それをそういったこともせず、苦労してます大変ですなどと言って泣きつこうとするようでは、考えモノだ。
オレなんか毎日クソきったない下水に潜ったうえ、トイレのウンコみたいに流される目に遭いながらも懸命に働いているのだぞ。苦労してますだなんだというのなら、それくらい頑張ってから言ってもらいたい。
ああ、あと生ポの権利なんざ、ハナから外国人にはない。
あの制度は日本国憲法の3つの原則のひとつ、基本的人権の尊重で『国民だれもが人間らしく生きる権利をもつ』と謳っているのを裏打ちする為のモノ。であるからして日本国民でない者は、まったくの対象外だ。
が、そんなことを言うと人種差別だなんだと論点のすげ替えをしようとするヤツが、必ず出てくる。
しかしコレがたとえばアメリカで、日本人が向こうの役所で、「生活に困ってます助けてください!」などと言ったところで、職員に鼻で笑われすぐさま警備員を呼ばれるのがオチというもの。それが世界の常識だ。
その辺をはき違えてる者が、実に多過ぎる。
生ポは日本国民で、どうにも止む無い理由で働けず生活に困っている人の為の制度だということを、忘れてはならない。故にガメついどこぞの外国人が、お得なライフハックといった調子でポンポン申請していいモノではないのだ。
もし、どうしても生活が立ちゆきませんといった外国人がいたのなら、生ポではなく強制送…ゲフンゲフン、帰国する為のお金を出してあげるべきであろう。
そして、諸々の制度の穴なのか、こういった大量の外国人らを警戒し公園を巡回しつつも、それ以上のことができないでいる警察の姿を認め、それでもまた溜息が出てしまう。
かように巡回警邏こそしているものの、よく言われるように、彼らは問題が起きねば動かない。
もっと抑止力として機能してくれればいいのに、と常々思うのだが、防犯の為に働いて問題を未然に防いだとしても、それはなんの手柄にも功績にもならないから、そうしないのだろうか?
よく聞くストーカー問題なんかは、ソレが顕著であろう。警察に相談したのにたいした対処もしてくれなくて、結果相談していた女性が後で死ぬような事件に発展してしまったなんて、よくニュースになっている。
果たして本当のところは、動けないのか動かないのか、そのどちらであろう?
ストーカーしているヤツなんか警察が容赦なく家に二度三度と突撃訪問し『アンタ、しつこく女性につきまとってるらしいね?もし何かあったら、解かってんだろうな…?』と、釘を刺していれば、そういった事件になることを未然に防げたのでは?と、思わざるを得ない。
仮にもし、こういった意見に反発を感じるのならば、それこそそう言われぬようにすべきではなかろうかと思うのだが。なんて人前で言ってしまうと強い反発も受けそうであるが、そう思うのが実情でもある。
ともあれふたり連れの警察官は、オレがここに来たことで起きた騒動のあとに姿をみせただけ。なので騒動のあった事は何も知らぬまま、ただ通り過ぎて行ったのだった。
…。
公園を歩きながら、オレはなおもやるせなさを感じていた。
(う~む、日本人というだけで、完全に舐められてるな…)
歩を進めるオレをみとめた外国人は、ジロジロと値踏みする視線を向けてくる。隙あらば奪ってやろう、と感じさせる視線で、眼を光らせているのだ。そんな視線を真っ向から見据え睨み返してやると、「お、なんだコイツ。日本人のくせに」といった見るからに不快といった態度をみせてくる。それは「日本人は気弱。だから高圧的にゴリ押しすれば必ず折れる」とでも思い込んで、高を括っている顔にみえる。
しかしそれは多少はあってはいるのだろうが、正鵠を射ているともいえない。
たしかに他民族からは、日本人はひどく気弱に見えるだろう。だが、それは日本人がなによりも和を尊び謙虚であることを美徳とする精神性を持っているからこそ。それを理解できないが故に、そうとしか見えぬだけではなかろうか。
なんて、この方向で追及していくと他民族叩きみたいになってしまうのでココまでに。でもなぜ、日本人は世界でも珍しいそんな気質や精神性を持つようになったのだろうか?
オレはその謎を解くカギは、縄文時代にあるのではと考えている。
うん、縄文時代。バッサリ年代なんかは省くが、近年の研究では縄文時代は約1万年以上と超長かったのに、その間ほとんど争いといった争いが起きなかった、とても平和な時代だったそうな。
ではなぜ、縄文時代はそんなにも平和だったのだろう?
ここもザックリと、学校で習った縄文時代のことなんかを思い返してみよう。縄文時代の日本人は竪穴式住居に住んでいて、貝塚がいっぱい発見されることからも分かるように、貝をたくさん食べていた。また米や麦といった穀物がまだ入ってきていないことから主食はおもにドングリで、狩猟も行っていた。
うん、こう聞くと、一見のどかで平和そうではある。が、逆に言うと容易に手に入る食料が、貝とドングリしかなかったという話。
狩りをしていたといっても、常に獲物が手に入るとは限らない。
初期装備に毛が生えた程度の石斧や槍を手に、いくら鹿や猪を追いかけまわしたしたところで碌な道もなく深く険しい山野で獣を捕えるのは、相当困難であったはず。コレが弓でも使ってバンバン獲物を獲れていたのなら、獣の骨塚というのも貝塚と同じくらい発見されているはずだ。
すると当然、そんな不安定な食料事情では栄養不足で人は簡単に死んでしまう。
赤ん坊の出生率は低く、育った子供も、ちょっとした病でコロッと逝ってしまう。大人だって無事ではない。なんの医療もなければ病気や怪我の治療ができないのだから、これまたコロッと死んでしまう。
それに、縄文時代では動物だって恐ろしい脅威。
物理的に人を殺傷しうる攻撃力を持った熊や狼にはじまり、蛇に咬まれたって毒で死んでしまうし、キツネや犬に噛まれたって死んでしまう。
今ならば医学の進歩により、ああそれはエキノコックスだ狂犬病だなどと判断もつくが、そんなのまったく知らない縄文人には、山の神を怒らせた恐ろしい祟りとしか思えなかっただろう。しかも基本まわりには自然しかないので、そういった動物がわんさと人の集落を取り囲んでいる環境。
だから、のどかなイメージのするドングリ拾いだって―
「警戒1班はそのまま直進!2班3班は左右に展開!木の棒を打ち鳴らして回収班に獣を近づけるな!ドングリ回収班、作業開始!今のうちに拾えるだけひろえぇ~~ッ!!」
「こ、こちら警戒3班!山の中腹から山犬の群れが!わ、ぎゃあああ!」
てな感じでドングリ拾いも、命がけだったかもしれないのだ。
ともあれ、そんなこんなで人がたくさん死ぬ。それはもうコロコロと死んでいく…。すると、無事に生き残っている人の価値というのが、それによりどんどんと高まっていく。
狩りに、採集に、建築に子育てに。過酷な自然環境のなかで生活するには、どうしたって人は力を合わせねば生きていけない。そうしなければまた、どんどん人が死んでいってしまうのだから。
故にこうなると、「生きてるだけでエライ!」状態だ。
自分も大事だけど、力を合わせる人がいなければ、途端に困って死んでしまう。すると人は、「貴方がいるから、私もこうして生きられています。これからも一緒に、力を合わせ生きていきましょう」といった、他者に対する感謝の念や労わりの心を持つように。
自然はとても過酷で、近しい者同士で争っている余裕などないのだから。
そんな風に、自然の脅威で人がコロコロと死ぬムッチャ厳しい縄文時代が長く長くあったからこそ、無駄な争いを避ける為に日本人は自然と和の大切さを知り、協力して働けるよう互いに相手を尊重し謙虚であることを美徳とする精神性を持つようになっていったのではなかろうか。
ゆえに、『日本人の精神性の起源は、縄文時代にあり』という仮説だ。
…ま、ソレも稲作が浸透するにつれ崩れていき、寸地尺土を奪い合い争うようになっていくのだけど。
だがそうして大都会にある数少ない緑あふれる憩いの地に足を踏み入れると、どういう訳かそこは大量の外国人であふれかえっていた。
(お、なんだ…?)
一瞬なにかの催しでも開催されているのかと思ったが、どうもそうではない様子。どの外国人も特になんの目的もない感じで、駄弁っているか煙草を吸っている。
と、そんな彼らを前に立ち止まったオレをみとめ、そのうちの何人かが近寄ってきた。
「ヘイ、シアコ!」
「シガ、シガ!」
「お、なんだ?いきなり集ってくるんじゃない。ええい、煙草なんて持ってないぞ!」
しかしそんなやり取りの間にもどんどんと人は増え、すっかり周りを囲まれてしまう。
「「バクシーシ!バクシーシ!」」
するとそのなかからアキバで買い物をした袋の口を広げ勝手に中を覗きこんだり、背後からオレの財布を掏ろうとする者まで現れる。
「この、いい加減にしろ!」
そこで財布を掏ろうとしていた男の首をムンズと掴んで吊あげると、反撃できぬようそのまま脳みそシェイク。ソレを見た他の外国人らは、いきなり日本人から攻撃されるとは思ってなかったらしくひどく驚いて囲みを広げた。
しかし、外国人だからかガタイがいいのは見慣れてるのだろう。それまでは一切の遠慮や気後れがみられなかった。これはもう、おもいきり日本人が舐められている証といえよう。
「日本人だからといって舐めるなよ!取り囲めばどうとでもなると思ったかッ!」
そこでシェイクしていた男を囲んでいる外国人たちに投げつけると、「あ、コイツはカモれないな」といった感じで渋々囲みは解け、仲間らしいのがグッタリした男をひきずっていった。
(ふぅむ…。だがよもや上野公園がこんなことになっていたとは…。あ、そういえば職にあぶれた外国人がホームレス化し問題になっていると、ニュースでもやってたか。するとこの連中が、そのホームレス外国人か?)
うむ、平日の真昼間だというのに、こうして何するでもなく油を売っているのだ。しかも油を売るだけでなく集団で1人を取り囲んでの集ってくるとは、これではもう強盗とかわりない。
(でも、下手したらジェロームたちも、このなかに混じっていたかもしれないんだよな…)
オレの伝手で、この不景気でも働き口をみつけられたジェロームたち。でもそんな幸運はこの場を見るに、ごく一握りらしい。そういった思いで彼らに改めて眼を向ければ、少々のやりきれなさも感じる。うん、そう、感じなくもない。
だが、オレから言わせればこんなとこでウダウダ駄弁って煙草吸ってるくらいなら、さっさとハロワ行けだ。
国が正式にビザなんかを発行して国内に受け入れているのだから、ハロワで職探しする権利もまた彼らにはあって然るべし。だからハロワ行けばその在留資格に応じた職業相談や職業紹介なんかを、ちゃんとしてくれるはずなのだ。
それをそういったこともせず、苦労してます大変ですなどと言って泣きつこうとするようでは、考えモノだ。
オレなんか毎日クソきったない下水に潜ったうえ、トイレのウンコみたいに流される目に遭いながらも懸命に働いているのだぞ。苦労してますだなんだというのなら、それくらい頑張ってから言ってもらいたい。
ああ、あと生ポの権利なんざ、ハナから外国人にはない。
あの制度は日本国憲法の3つの原則のひとつ、基本的人権の尊重で『国民だれもが人間らしく生きる権利をもつ』と謳っているのを裏打ちする為のモノ。であるからして日本国民でない者は、まったくの対象外だ。
が、そんなことを言うと人種差別だなんだと論点のすげ替えをしようとするヤツが、必ず出てくる。
しかしコレがたとえばアメリカで、日本人が向こうの役所で、「生活に困ってます助けてください!」などと言ったところで、職員に鼻で笑われすぐさま警備員を呼ばれるのがオチというもの。それが世界の常識だ。
その辺をはき違えてる者が、実に多過ぎる。
生ポは日本国民で、どうにも止む無い理由で働けず生活に困っている人の為の制度だということを、忘れてはならない。故にガメついどこぞの外国人が、お得なライフハックといった調子でポンポン申請していいモノではないのだ。
もし、どうしても生活が立ちゆきませんといった外国人がいたのなら、生ポではなく強制送…ゲフンゲフン、帰国する為のお金を出してあげるべきであろう。
そして、諸々の制度の穴なのか、こういった大量の外国人らを警戒し公園を巡回しつつも、それ以上のことができないでいる警察の姿を認め、それでもまた溜息が出てしまう。
かように巡回警邏こそしているものの、よく言われるように、彼らは問題が起きねば動かない。
もっと抑止力として機能してくれればいいのに、と常々思うのだが、防犯の為に働いて問題を未然に防いだとしても、それはなんの手柄にも功績にもならないから、そうしないのだろうか?
よく聞くストーカー問題なんかは、ソレが顕著であろう。警察に相談したのにたいした対処もしてくれなくて、結果相談していた女性が後で死ぬような事件に発展してしまったなんて、よくニュースになっている。
果たして本当のところは、動けないのか動かないのか、そのどちらであろう?
ストーカーしているヤツなんか警察が容赦なく家に二度三度と突撃訪問し『アンタ、しつこく女性につきまとってるらしいね?もし何かあったら、解かってんだろうな…?』と、釘を刺していれば、そういった事件になることを未然に防げたのでは?と、思わざるを得ない。
仮にもし、こういった意見に反発を感じるのならば、それこそそう言われぬようにすべきではなかろうかと思うのだが。なんて人前で言ってしまうと強い反発も受けそうであるが、そう思うのが実情でもある。
ともあれふたり連れの警察官は、オレがここに来たことで起きた騒動のあとに姿をみせただけ。なので騒動のあった事は何も知らぬまま、ただ通り過ぎて行ったのだった。
…。
公園を歩きながら、オレはなおもやるせなさを感じていた。
(う~む、日本人というだけで、完全に舐められてるな…)
歩を進めるオレをみとめた外国人は、ジロジロと値踏みする視線を向けてくる。隙あらば奪ってやろう、と感じさせる視線で、眼を光らせているのだ。そんな視線を真っ向から見据え睨み返してやると、「お、なんだコイツ。日本人のくせに」といった見るからに不快といった態度をみせてくる。それは「日本人は気弱。だから高圧的にゴリ押しすれば必ず折れる」とでも思い込んで、高を括っている顔にみえる。
しかしそれは多少はあってはいるのだろうが、正鵠を射ているともいえない。
たしかに他民族からは、日本人はひどく気弱に見えるだろう。だが、それは日本人がなによりも和を尊び謙虚であることを美徳とする精神性を持っているからこそ。それを理解できないが故に、そうとしか見えぬだけではなかろうか。
なんて、この方向で追及していくと他民族叩きみたいになってしまうのでココまでに。でもなぜ、日本人は世界でも珍しいそんな気質や精神性を持つようになったのだろうか?
オレはその謎を解くカギは、縄文時代にあるのではと考えている。
うん、縄文時代。バッサリ年代なんかは省くが、近年の研究では縄文時代は約1万年以上と超長かったのに、その間ほとんど争いといった争いが起きなかった、とても平和な時代だったそうな。
ではなぜ、縄文時代はそんなにも平和だったのだろう?
ここもザックリと、学校で習った縄文時代のことなんかを思い返してみよう。縄文時代の日本人は竪穴式住居に住んでいて、貝塚がいっぱい発見されることからも分かるように、貝をたくさん食べていた。また米や麦といった穀物がまだ入ってきていないことから主食はおもにドングリで、狩猟も行っていた。
うん、こう聞くと、一見のどかで平和そうではある。が、逆に言うと容易に手に入る食料が、貝とドングリしかなかったという話。
狩りをしていたといっても、常に獲物が手に入るとは限らない。
初期装備に毛が生えた程度の石斧や槍を手に、いくら鹿や猪を追いかけまわしたしたところで碌な道もなく深く険しい山野で獣を捕えるのは、相当困難であったはず。コレが弓でも使ってバンバン獲物を獲れていたのなら、獣の骨塚というのも貝塚と同じくらい発見されているはずだ。
すると当然、そんな不安定な食料事情では栄養不足で人は簡単に死んでしまう。
赤ん坊の出生率は低く、育った子供も、ちょっとした病でコロッと逝ってしまう。大人だって無事ではない。なんの医療もなければ病気や怪我の治療ができないのだから、これまたコロッと死んでしまう。
それに、縄文時代では動物だって恐ろしい脅威。
物理的に人を殺傷しうる攻撃力を持った熊や狼にはじまり、蛇に咬まれたって毒で死んでしまうし、キツネや犬に噛まれたって死んでしまう。
今ならば医学の進歩により、ああそれはエキノコックスだ狂犬病だなどと判断もつくが、そんなのまったく知らない縄文人には、山の神を怒らせた恐ろしい祟りとしか思えなかっただろう。しかも基本まわりには自然しかないので、そういった動物がわんさと人の集落を取り囲んでいる環境。
だから、のどかなイメージのするドングリ拾いだって―
「警戒1班はそのまま直進!2班3班は左右に展開!木の棒を打ち鳴らして回収班に獣を近づけるな!ドングリ回収班、作業開始!今のうちに拾えるだけひろえぇ~~ッ!!」
「こ、こちら警戒3班!山の中腹から山犬の群れが!わ、ぎゃあああ!」
てな感じでドングリ拾いも、命がけだったかもしれないのだ。
ともあれ、そんなこんなで人がたくさん死ぬ。それはもうコロコロと死んでいく…。すると、無事に生き残っている人の価値というのが、それによりどんどんと高まっていく。
狩りに、採集に、建築に子育てに。過酷な自然環境のなかで生活するには、どうしたって人は力を合わせねば生きていけない。そうしなければまた、どんどん人が死んでいってしまうのだから。
故にこうなると、「生きてるだけでエライ!」状態だ。
自分も大事だけど、力を合わせる人がいなければ、途端に困って死んでしまう。すると人は、「貴方がいるから、私もこうして生きられています。これからも一緒に、力を合わせ生きていきましょう」といった、他者に対する感謝の念や労わりの心を持つように。
自然はとても過酷で、近しい者同士で争っている余裕などないのだから。
そんな風に、自然の脅威で人がコロコロと死ぬムッチャ厳しい縄文時代が長く長くあったからこそ、無駄な争いを避ける為に日本人は自然と和の大切さを知り、協力して働けるよう互いに相手を尊重し謙虚であることを美徳とする精神性を持つようになっていったのではなかろうか。
ゆえに、『日本人の精神性の起源は、縄文時代にあり』という仮説だ。
…ま、ソレも稲作が浸透するにつれ崩れていき、寸地尺土を奪い合い争うようになっていくのだけど。
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