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nenshin

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それはオレがダンジョン前室に籠り、粘液生成を行なっていた時に起きた。

『(とろぉ…ぬたぁ…)』

「違う、こうじゃないッ!粘液ってのは何者をも縛りつけ、でも自由で!もっとこう…滑らかで満たされてなきゃあダメなんだ…ッ!」

瑠羽のお父さんとの約束で、愛する瑠羽に会えない日々を送っているオレ。そんな瑠羽に遠慮してか、最近は瀬来さんもオレと距離をとっているようで会いには来てくれない。

そこで淋しい心を紛らわすため、独り技の研鑽に打ち込んでいたのだった。

『きゅわ~、ぱわわ~!』
「ハッ…なんだ今の輝きはッ!?」

身体に異常はない…。とすると何か変化があるとするならば、ステータスか?

レベル   19        
種族:半妖人間
職業:教師

能力値
筋力:   740      
体力:   753      
知力:   671      
精神力:  702      
敏捷性:  638      
運:    712      
やるせなさ:234      

加護:
【塩精霊】奇御霊・【小妖精女王】幸御霊・【赤粘性生物】準奇御霊・【空間猿】眷属・【格闘蛙】眷属・【大蛞蝓(オオナメクジ)】眷属

技能:
【強酸】2・【俊敏】2・【病耐性】7・【簒奪】・【】・【空間】6・【強運】1.4・【足捌】・【瞑想】・【塩】7・【図工】・【蛆】2・【女】・【格闘】6・【麻痺】4・【跳躍】9・【頑健】8・【魅惑】

称号:
【蟲王】・【ソルトメイト】・【蟲女王】・【女殺し】・【ムシムシフレンズ】・【ダンジョンクリアマン】
【しょっぱい男】:情報隠蔽効果あり。ただし敵意を持った相手からは非常に舐められる。

そう思いステータスを確認してみると、そこには【超粘液】というスキルが。

「超粘液だと…!?たしか前は、【粘液】の7だったはず…」

だが【粘液】のスキルが消え【超粘液】となっているということは、そういうことなのだろう。

『とろりらぁ~ッ(ぱぁあ!)』
「おお、これは…なんという輝きッ!」

そこで試しに超粘液を生み出してみると、バナナで釘の打てる極寒の世界でも決して凍ることのないような、なんとも艶やかな輝きを放つめっさスゴイ粘液が生み出されたのだった。

「これが、これが超粘液かッ!!」

まったりとしていながらそれでいてしつこくない滑りと、重厚で奥の深い粘りが渾然一体となって、それはもう凄まじい収縮力すらをも生み出している…。

『ぬちゃんッ!とろ~り…ッ!!』

こ、これは…なんて粘液なんだ!!

…。

こうして新たな粘液を手に入れたオレは、整体学校の帰りに渋滞に嵌っていた。

(うぅむ、なんなんだこの渋滞は…ムッ!?)

すると前方の車群の先に、モンスターの影。

(今のは…?)

そう目を凝らしていると、動けないでいる車の屋根をボコベコと凹ませながらバタバタ走るモンスターの姿。

(アレはトカゲ…いや、どっちかっていうとヤモリか!?)

と、そんなお化けヤモリが歩道に突っ込み、背後から背広姿のオッサンを丸飲みするのを目撃。近くに大きな川もあるので、どうやらそこに潜んでいたのが這い出て来たようだ。

(ふ~む、本来なら関わり合いにはならないところ。だが、今日はひさびさに気分が良い。よってオレがおまえの相手をしてやろう)

そこでまずは、渋滞から抜けるためバイクを抱え歩道へと。

(よっと、熱ッ!あっついな、もぉ~)

が、ガードレールを超えるのにもう一段高く抱え上げたら、灼けたマフラーに肘が接触し熱い目に。ともあれこうして渋滞の車道から脱出すると、人気のない裏路地へと駆けこんだ。

「よし、この辺でいいだろう。ぬぅん…粘・身・ッ!」
『きゅばぁあッ!』


ぬらめく粘液、身に纏い、オレは戦うひとになる。

そう、非常にキレのある超粘液ならば、衣類に付着することも恐れず使用できるようになったのだ。ま、そのぶん蟲王スーツのフィット感は落ちてしまうのだが。

「さぁいくぞ化け物め。いま引導を渡してくれる!」


と、そうして駆け出てきた江月の姿を、多くの運転手が「うわ、こっちにも化け物が!」と驚きつつ見送ったのだった。
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