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dead & reverse
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目に滲みる太陽の光。そして、頬を撫ぜる涼しげな風。
「ヒィーヨ!ヒィーヨ!チチチチ…」
「あぁ、鳥の鳴き声…。音が、聞こえ…。そうか、生き返れたのかオレは…ごほっ!?ごえっふ!えっふッ!」
真っ白に燃え尽きることもなく、馬糞で足を滑らせ死亡したオレ。
しかしどうやら塩太郎とピクシークィーンの助けにより、無事復活ができたようだ。
(でも、視界が悪い…。それに身体も動かない??)
ただ眼はしっかりと開いているはずなのに、景色が映らずなにかの影が視界の大半を占めている。それに起き上がろうにも手足に痺れが走り、思ったように動かせない。
(ああ、そうか…)
どうも馬に蹴られたせいで、身体の方も脳内出血を起こしたりと色々不味い状態らしい。
だがそんな手も覚束無いオレに代わり、義足から這い出てきたレッドスライムが万能回復薬を口元にそえてくれる。ああ、いざという時の為にと、レッドスライムに預けていた万能回復薬が早速役に立ってくれた。
(スマン…。助かるよレッドスライム)
塩太郎とピクシークィーンだけでなく、まさに手足なって働いてくれるレッドスライムにも大感謝。
そうしてレッドスライムの介護を受け、回復薬を飲み下す。すると甘い液体が喉を通り過ぎ、胃の腑に落ちて待つこと5分…。視界を覆っていた影は次第に薄くなって消え、痺れていた手足にも力が戻ってきた。
「ハァ…。よし、どうやらもう大丈夫のようだな…」
ゆっくりと肘をついて状態を起こしてみても、カラダに痛みもないし視界がグラつくこともない。脳内に起きていた出血にも、万能回復薬がしっかりと効いてくれたようだ。
「おまえ、よくもやってくれたな」
「ブルル…」
オレのことをおもいきり蹴とばしてくれた黒い馬。
ソイツの尻を見上げつつも、身を転がしてエスケープ。また蹴られては堪らないので、蹴りの攻撃範囲からは逃れておく。で、そこからようやく起き上がろうとしていると、不平混じりにオレを呼ぶシャークの声が聞こえた。
「お~い!なにやってんだよジャングぅ、もう仔馬生まれちまったぞ~?」
「ああ、スマン。コイツの馬糞で滑って、転んでしまったんだ」
さすがについさっきまで馬に蹴られて死んでました、などとは言えない。うん、死因としてはとっても恥ずかしいし。そこで顔についてた血は手で拭って隠し、軽くおどけて誤魔化した。
「うわ、きったねェ!なんだよジャング、糞まみれじゃねぇか!」
「む…?あぁ、参ったなこりゃ…」
馬糞で転倒した上に盥の水をぶちまけ、さらにその上を転がったのだ。おもいっきりウンコまみれになってしまった。まぁでも、コレは致し方ないだろう。
そうだ。オレはたった今、ウンコマンとして復活したのだ。
「うへへ、ウンコマンだぞぉ~~」
「ぎゃ~~~ッ!おいばかっ!ふざけんな!糞まみれで近づいてくんなよッ!」
そうして緑美しい牧場に、シャークの汚い悲鳴が木霊したのだった。
……。
と、なんだかんだと色々あったが、仔馬は無事生まれオレはウンコマンとして復活した。
シャーク達の話によれば、お爺さんは途中で詰まってしまった仔馬をもう一度母馬の腹に押し込め、出産のやり直しをさせたそうな。うむむ、なんという荒業。でも道理で難産だという話だったのに、あっさり生まれた訳だ。
しかしそれも、人生経験豊富なお爺さんなればこそ。他の者ではこうはいかなかったろう。
帰りの車中でもシャークと結月ちゃんは、その様子を興奮気味に語っていた。ふたりも女性だけあって、出産については思う事があったのだろう。そんなふたりがいい経験のできたのなら、幸いだ。
で、ウンコマンとして復活したオレはというと、ステータスに変化があった。
現在 前回
レベル 19 19
種族:半妖人間 人間??
職業:教師 教師
能力値
筋力: 740 740
体力: 753 753
知力: 671 671
精神力: 702 702
敏捷性: 638 638
運: 712 712
やるせなさ:234 234
加護:
【塩精霊】奇御霊・【小妖精女王】幸御霊・【赤粘性生物】準奇御霊・【空間猿】眷属・【格闘蛙】眷属・【大蛞蝓(オオナメクジ)】眷属
技能:
【強酸】2・【俊敏】2・【病耐性】7・【簒奪】・【粘液】7・【空間】6・【強運】1.4・【足捌】・【瞑想】・【塩】5・【図工】・【蛆】2・【女】・【格闘】6・【麻痺】4・【跳躍】9・【頑健】8・【魅惑】
称号:
【蟲王】・【ソルトメイト】・【しょっぱい男】・【蟲女王】・【女殺し】・【ムシムシフレンズ】・【ダンジョンクリアマン】
レベルはアップもダウンもしていないので、能力値的な変化はない。
ゲームのようなデスペナルティによる弱体化は、起きなかったようだ。ただ日々のバイオリズムなんかで微妙な上下動はあるのだろうけど、能力値のカウントはレベルに変化があった時だけのよう。なのでホントのところはまた数値が変化するまで解らない。そして同様に加護や技能なんかも変化なし。
だが、どういう訳か種族が『半妖人間』となっている。
半分怪しい、と書いて半妖…。
そういう意味なのだろうが、これ如何に??オレは、人間をやめてしまったのだろうか?それとも人間とついてるから、まだ辛うじて人間なのだろうか?
(う~む、解らん…)
ウンコまみれになった汚れは川に飛び込み流してきたが、まだ匂うとのことで一番最後にまわされた風呂に浸かり、独り考えてみる。
五右衛門風呂に浸かった身体にはなんら変化は無く、別に角や尻尾も生えていない。ジッと動かぬことで静めた湯に映る顔も、口が裂けたり目玉が増えたりもしていない。
「ふ~む。どっからどう見ても、変化はない…よな?」
種族名が変わったことには、面喰った。が、これならば女性化した時の方が、よほど衝撃的だった。
(ということはアレか。この変化は縁的なことが要因か?)
まずもってオレは、塩の精霊である塩太郎や妖精であるピクシークィーンと魂の共有化をしている。な感じで互いに魂を分け合いっこをしてるので、そういった意味ではオレもまた精霊であり妖精ともいえる。
さらにいえば、妖怪である鬼婆娘やニホンオオカミ娘がオレの嫁であるため、同じ一族になったという意味でいえば、オレも妖怪的な方面に籍があってもおかしくはない。
「ふ~む…、そういったアレコレが総じた結果、今のオレを表現するにふさわしいのが半妖人間という種族名なのか?」
ただ、復活した時はダメージを負っていたからよく解らなかったが、こうして落ち着いてみるとなんとなく変化は感じる。
それは大きな変化ではないものの、わずかではあるが視界がクリアでスッキリとした感じ。それは眼鏡を新調した時のような気分にも、どこか似ている。
「うむむ…。どうもスッキリしないが、気分はすごくスッキリしてるんだよな~。なんだろうコレ…」
ま、以前よりも、より塩太郎とピクシークィーンの感情の波がハッキリと感じられる。
だから、コレはきっといい事なのだと前向きに受け止めておこう。うん、とりあえずそれ以外には、どうしようもないもんな。
「ヒィーヨ!ヒィーヨ!チチチチ…」
「あぁ、鳥の鳴き声…。音が、聞こえ…。そうか、生き返れたのかオレは…ごほっ!?ごえっふ!えっふッ!」
真っ白に燃え尽きることもなく、馬糞で足を滑らせ死亡したオレ。
しかしどうやら塩太郎とピクシークィーンの助けにより、無事復活ができたようだ。
(でも、視界が悪い…。それに身体も動かない??)
ただ眼はしっかりと開いているはずなのに、景色が映らずなにかの影が視界の大半を占めている。それに起き上がろうにも手足に痺れが走り、思ったように動かせない。
(ああ、そうか…)
どうも馬に蹴られたせいで、身体の方も脳内出血を起こしたりと色々不味い状態らしい。
だがそんな手も覚束無いオレに代わり、義足から這い出てきたレッドスライムが万能回復薬を口元にそえてくれる。ああ、いざという時の為にと、レッドスライムに預けていた万能回復薬が早速役に立ってくれた。
(スマン…。助かるよレッドスライム)
塩太郎とピクシークィーンだけでなく、まさに手足なって働いてくれるレッドスライムにも大感謝。
そうしてレッドスライムの介護を受け、回復薬を飲み下す。すると甘い液体が喉を通り過ぎ、胃の腑に落ちて待つこと5分…。視界を覆っていた影は次第に薄くなって消え、痺れていた手足にも力が戻ってきた。
「ハァ…。よし、どうやらもう大丈夫のようだな…」
ゆっくりと肘をついて状態を起こしてみても、カラダに痛みもないし視界がグラつくこともない。脳内に起きていた出血にも、万能回復薬がしっかりと効いてくれたようだ。
「おまえ、よくもやってくれたな」
「ブルル…」
オレのことをおもいきり蹴とばしてくれた黒い馬。
ソイツの尻を見上げつつも、身を転がしてエスケープ。また蹴られては堪らないので、蹴りの攻撃範囲からは逃れておく。で、そこからようやく起き上がろうとしていると、不平混じりにオレを呼ぶシャークの声が聞こえた。
「お~い!なにやってんだよジャングぅ、もう仔馬生まれちまったぞ~?」
「ああ、スマン。コイツの馬糞で滑って、転んでしまったんだ」
さすがについさっきまで馬に蹴られて死んでました、などとは言えない。うん、死因としてはとっても恥ずかしいし。そこで顔についてた血は手で拭って隠し、軽くおどけて誤魔化した。
「うわ、きったねェ!なんだよジャング、糞まみれじゃねぇか!」
「む…?あぁ、参ったなこりゃ…」
馬糞で転倒した上に盥の水をぶちまけ、さらにその上を転がったのだ。おもいっきりウンコまみれになってしまった。まぁでも、コレは致し方ないだろう。
そうだ。オレはたった今、ウンコマンとして復活したのだ。
「うへへ、ウンコマンだぞぉ~~」
「ぎゃ~~~ッ!おいばかっ!ふざけんな!糞まみれで近づいてくんなよッ!」
そうして緑美しい牧場に、シャークの汚い悲鳴が木霊したのだった。
……。
と、なんだかんだと色々あったが、仔馬は無事生まれオレはウンコマンとして復活した。
シャーク達の話によれば、お爺さんは途中で詰まってしまった仔馬をもう一度母馬の腹に押し込め、出産のやり直しをさせたそうな。うむむ、なんという荒業。でも道理で難産だという話だったのに、あっさり生まれた訳だ。
しかしそれも、人生経験豊富なお爺さんなればこそ。他の者ではこうはいかなかったろう。
帰りの車中でもシャークと結月ちゃんは、その様子を興奮気味に語っていた。ふたりも女性だけあって、出産については思う事があったのだろう。そんなふたりがいい経験のできたのなら、幸いだ。
で、ウンコマンとして復活したオレはというと、ステータスに変化があった。
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種族:半妖人間 人間??
職業:教師 教師
能力値
筋力: 740 740
体力: 753 753
知力: 671 671
精神力: 702 702
敏捷性: 638 638
運: 712 712
やるせなさ:234 234
加護:
【塩精霊】奇御霊・【小妖精女王】幸御霊・【赤粘性生物】準奇御霊・【空間猿】眷属・【格闘蛙】眷属・【大蛞蝓(オオナメクジ)】眷属
技能:
【強酸】2・【俊敏】2・【病耐性】7・【簒奪】・【粘液】7・【空間】6・【強運】1.4・【足捌】・【瞑想】・【塩】5・【図工】・【蛆】2・【女】・【格闘】6・【麻痺】4・【跳躍】9・【頑健】8・【魅惑】
称号:
【蟲王】・【ソルトメイト】・【しょっぱい男】・【蟲女王】・【女殺し】・【ムシムシフレンズ】・【ダンジョンクリアマン】
レベルはアップもダウンもしていないので、能力値的な変化はない。
ゲームのようなデスペナルティによる弱体化は、起きなかったようだ。ただ日々のバイオリズムなんかで微妙な上下動はあるのだろうけど、能力値のカウントはレベルに変化があった時だけのよう。なのでホントのところはまた数値が変化するまで解らない。そして同様に加護や技能なんかも変化なし。
だが、どういう訳か種族が『半妖人間』となっている。
半分怪しい、と書いて半妖…。
そういう意味なのだろうが、これ如何に??オレは、人間をやめてしまったのだろうか?それとも人間とついてるから、まだ辛うじて人間なのだろうか?
(う~む、解らん…)
ウンコまみれになった汚れは川に飛び込み流してきたが、まだ匂うとのことで一番最後にまわされた風呂に浸かり、独り考えてみる。
五右衛門風呂に浸かった身体にはなんら変化は無く、別に角や尻尾も生えていない。ジッと動かぬことで静めた湯に映る顔も、口が裂けたり目玉が増えたりもしていない。
「ふ~む。どっからどう見ても、変化はない…よな?」
種族名が変わったことには、面喰った。が、これならば女性化した時の方が、よほど衝撃的だった。
(ということはアレか。この変化は縁的なことが要因か?)
まずもってオレは、塩の精霊である塩太郎や妖精であるピクシークィーンと魂の共有化をしている。な感じで互いに魂を分け合いっこをしてるので、そういった意味ではオレもまた精霊であり妖精ともいえる。
さらにいえば、妖怪である鬼婆娘やニホンオオカミ娘がオレの嫁であるため、同じ一族になったという意味でいえば、オレも妖怪的な方面に籍があってもおかしくはない。
「ふ~む…、そういったアレコレが総じた結果、今のオレを表現するにふさわしいのが半妖人間という種族名なのか?」
ただ、復活した時はダメージを負っていたからよく解らなかったが、こうして落ち着いてみるとなんとなく変化は感じる。
それは大きな変化ではないものの、わずかではあるが視界がクリアでスッキリとした感じ。それは眼鏡を新調した時のような気分にも、どこか似ている。
「うむむ…。どうもスッキリしないが、気分はすごくスッキリしてるんだよな~。なんだろうコレ…」
ま、以前よりも、より塩太郎とピクシークィーンの感情の波がハッキリと感じられる。
だから、コレはきっといい事なのだと前向きに受け止めておこう。うん、とりあえずそれ以外には、どうしようもないもんな。
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