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make a trap
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今日も胸いっぱいに夏の香りを吸いこみ気持ち良くポーション作りに勤しんでいると、遠くから車の近づいてくる音が。
「ぴ!」
「「ぴぴ!」」
するとすぐさま作業を手伝ってくれていたピクシーたちは、魔法で姿を消したり飛んでいって建物に身を隠す。
そうして庭にオレしかいなくなったところに、笹山さんの運転する林業トラックが乗りつけてきた。山のモンスターも駆除できたことで、風通しを良くするのに今日は正門も開けていたのだ。
「こんにちは笹山さん」
「おお、江月くん。ん…なんでまた冷却水なんて煮てるんだ?」
おうふ…。鍋で火にかけていた万能回復ポーションが、笹山さんにはラジエターの冷却水に見えたらしい。うん…まぁそうも視えるか。
「ああいや、これはちょっとした耐久テストというか。で、お爺さんに用事ですか?」
「ん~まぁ、清兵衛さんにもお願いしなきゃならないんだが、またキミ達にもな…」
おっと、これはまた食料の無心ですか。
「あらおじさん、いらっしゃい」
「こんにちは~、いい天気ですねぇ」
と、そこへ蔵へとポーションを収めに行っていた瀬来さんたちが戻ってきた。
「やぁ万智ちゃん。それに静ちゃんも」
…。
そうしてお爺さんも交え5人でお茶しながら話した結果。笹山さんのお願いは、またしても食物の無心だった。
「う~む、こりゃキリないぞ…」
「ですよねぇ」
再三に渡る無心に、流石のお爺さんも渋い顔で唸ってみせる。いくら農戦士のお爺さんでも、無限に米や野菜を生み出せる訳ではないのだから、そりゃ当然だ。
「でもおじさん、前に来た時からも、そう日が経ってないでしょ。なんでまたそんなに早くなくなっちゃったの?」
「せやね、今度は持たすようにするっていう話やったのに」
「う~ん、痛いところを突かれたな。それを言われると弱いんだが…」
そういって再び事情を話し始めた笹山さん。
それによるとまた避難民以外にも肉が欲しいと頼み込んでくる人がいたり、各施設に振り分けたはずの肉が消え、なぜか離れた町で売られていたりもしたそうだ。
「え?それって私たちの肉が盗まれて、転売にかけられたってこと??」
「せやな、それしか考えられへんやろねぇ…」
なんとまぁ、肉の転売ヤーまで登場か。もうなんでもありだな。
「知り合いのハンターが出所の解らない肉を肉屋やスーパーに持ちこんでるのがいるって連絡をくれてな。それで解ったんだ…」
あらま、それじゃあ笹山さんもその連絡をもらうまで、事態に気付けなかったのか。
「俺も自分の仕事があるから常に目を光らせておくって訳にもいかなくてな…。すまん」
そういって笹山さんは頭を下げるが、べつに笹山さんが悪い訳ではないのでオレ達もどうしたものかと顔を見合わせてしまう。
「それはしょうがないわよ、おじさんだって忙しいなか頑張ってるんだし。だから気にしないで」
しかしそんななかにあって、瀬来さんだけは笹山さんに優しかった。
「万智ちゃん…」
「うちいっつも食事が野菜ばっかりだったから、おじさんの持ってきてくれるお肉がすっごく楽しみだったもん」
ああ、幼き頃の餌付けは偉大なり。そして愛しき孫娘の食事が野菜ばっかり発言に、お爺さんが軽く動揺を覚えているのがちょっと可哀そうでもある。
「でも、それやったらどないするん?」
「ふぅむ…、ではそうだな。背油豚足のヘイト作戦でいこう」
「ヘイト作戦?」
「ああ。前と同じように肉を分けてやっても、きっとまた同じことが起きるだろ?なら今回は肉をちょっぴりにして、ほとんどを扱い難い背油と肢の皮にしてやるんだ」
「なるほど!それやったら調理するにも手間かかるし、おいそれとは片付けられんね!」
うむ、ご実家が中華料理屋な仁菜さんは、すぐそこに気付いたか。
そう、背油はソレ単体では頂けないし、調理するのだって面倒。ま、そのままでも頂けるなんて剛の者もいるかもしれないが、そんなヤツは例外で良いだろう。
そして肢の皮も癖があるので、好き嫌いが別れるところ。
それに豚足って、焼肉の時にちょこっと食べるから美味しいんだよね。それを周りが肉焼いて食ってるのに自分は豚足だけしか食えなかったら、それはそれでちょっと悲しくなると思う。
まぁ世の中には豚足大好きって人もいるだろうから、これはオレの主観だけど。
「え、でも肉もちょっぴりだけどあるんでしょ…?あ、それを転売目的で盗んだりしたら、今度は前よりも周りから恨みを買うって事ね!」
ふふふ、そういうことだよ明智君。じゃなくて瀬来さん。
「そうだ。そうして内と外から、盗人転売ヤーを追い詰めていく。笹山さん。ハンター仲間に連絡して、狩猟免許もないのに盗んだ肉を売ろうとしてるヤツがいるって廻状まわしてもらえますか?」
「ああ、それなら直ぐに出来る」
狩猟免許を持ってる本職のハンターさんなら、獲った肉を卸す馴染みの肉屋さんだってあるはず。
だからそういったハンターさんたち伝手に、肉屋さんへも注意するよう促してもらうのだ。できればそうして出所不明の肉を売りに来たヤツの人相もチェックできると、なお良しである。
オレ達の分けた肉を盗み、面倒見のいい笹山さんの心の安寧を妨げたこの落とし前。盗人転売ヤーにはキッチリとつけてもらおうじゃないのさ。
「ぴ!」
「「ぴぴ!」」
するとすぐさま作業を手伝ってくれていたピクシーたちは、魔法で姿を消したり飛んでいって建物に身を隠す。
そうして庭にオレしかいなくなったところに、笹山さんの運転する林業トラックが乗りつけてきた。山のモンスターも駆除できたことで、風通しを良くするのに今日は正門も開けていたのだ。
「こんにちは笹山さん」
「おお、江月くん。ん…なんでまた冷却水なんて煮てるんだ?」
おうふ…。鍋で火にかけていた万能回復ポーションが、笹山さんにはラジエターの冷却水に見えたらしい。うん…まぁそうも視えるか。
「ああいや、これはちょっとした耐久テストというか。で、お爺さんに用事ですか?」
「ん~まぁ、清兵衛さんにもお願いしなきゃならないんだが、またキミ達にもな…」
おっと、これはまた食料の無心ですか。
「あらおじさん、いらっしゃい」
「こんにちは~、いい天気ですねぇ」
と、そこへ蔵へとポーションを収めに行っていた瀬来さんたちが戻ってきた。
「やぁ万智ちゃん。それに静ちゃんも」
…。
そうしてお爺さんも交え5人でお茶しながら話した結果。笹山さんのお願いは、またしても食物の無心だった。
「う~む、こりゃキリないぞ…」
「ですよねぇ」
再三に渡る無心に、流石のお爺さんも渋い顔で唸ってみせる。いくら農戦士のお爺さんでも、無限に米や野菜を生み出せる訳ではないのだから、そりゃ当然だ。
「でもおじさん、前に来た時からも、そう日が経ってないでしょ。なんでまたそんなに早くなくなっちゃったの?」
「せやね、今度は持たすようにするっていう話やったのに」
「う~ん、痛いところを突かれたな。それを言われると弱いんだが…」
そういって再び事情を話し始めた笹山さん。
それによるとまた避難民以外にも肉が欲しいと頼み込んでくる人がいたり、各施設に振り分けたはずの肉が消え、なぜか離れた町で売られていたりもしたそうだ。
「え?それって私たちの肉が盗まれて、転売にかけられたってこと??」
「せやな、それしか考えられへんやろねぇ…」
なんとまぁ、肉の転売ヤーまで登場か。もうなんでもありだな。
「知り合いのハンターが出所の解らない肉を肉屋やスーパーに持ちこんでるのがいるって連絡をくれてな。それで解ったんだ…」
あらま、それじゃあ笹山さんもその連絡をもらうまで、事態に気付けなかったのか。
「俺も自分の仕事があるから常に目を光らせておくって訳にもいかなくてな…。すまん」
そういって笹山さんは頭を下げるが、べつに笹山さんが悪い訳ではないのでオレ達もどうしたものかと顔を見合わせてしまう。
「それはしょうがないわよ、おじさんだって忙しいなか頑張ってるんだし。だから気にしないで」
しかしそんななかにあって、瀬来さんだけは笹山さんに優しかった。
「万智ちゃん…」
「うちいっつも食事が野菜ばっかりだったから、おじさんの持ってきてくれるお肉がすっごく楽しみだったもん」
ああ、幼き頃の餌付けは偉大なり。そして愛しき孫娘の食事が野菜ばっかり発言に、お爺さんが軽く動揺を覚えているのがちょっと可哀そうでもある。
「でも、それやったらどないするん?」
「ふぅむ…、ではそうだな。背油豚足のヘイト作戦でいこう」
「ヘイト作戦?」
「ああ。前と同じように肉を分けてやっても、きっとまた同じことが起きるだろ?なら今回は肉をちょっぴりにして、ほとんどを扱い難い背油と肢の皮にしてやるんだ」
「なるほど!それやったら調理するにも手間かかるし、おいそれとは片付けられんね!」
うむ、ご実家が中華料理屋な仁菜さんは、すぐそこに気付いたか。
そう、背油はソレ単体では頂けないし、調理するのだって面倒。ま、そのままでも頂けるなんて剛の者もいるかもしれないが、そんなヤツは例外で良いだろう。
そして肢の皮も癖があるので、好き嫌いが別れるところ。
それに豚足って、焼肉の時にちょこっと食べるから美味しいんだよね。それを周りが肉焼いて食ってるのに自分は豚足だけしか食えなかったら、それはそれでちょっと悲しくなると思う。
まぁ世の中には豚足大好きって人もいるだろうから、これはオレの主観だけど。
「え、でも肉もちょっぴりだけどあるんでしょ…?あ、それを転売目的で盗んだりしたら、今度は前よりも周りから恨みを買うって事ね!」
ふふふ、そういうことだよ明智君。じゃなくて瀬来さん。
「そうだ。そうして内と外から、盗人転売ヤーを追い詰めていく。笹山さん。ハンター仲間に連絡して、狩猟免許もないのに盗んだ肉を売ろうとしてるヤツがいるって廻状まわしてもらえますか?」
「ああ、それなら直ぐに出来る」
狩猟免許を持ってる本職のハンターさんなら、獲った肉を卸す馴染みの肉屋さんだってあるはず。
だからそういったハンターさんたち伝手に、肉屋さんへも注意するよう促してもらうのだ。できればそうして出所不明の肉を売りに来たヤツの人相もチェックできると、なお良しである。
オレ達の分けた肉を盗み、面倒見のいい笹山さんの心の安寧を妨げたこの落とし前。盗人転売ヤーにはキッチリとつけてもらおうじゃないのさ。
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