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豚足ハンマー
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今日も炭焼きの番をしながら瑠羽にプレゼントするナイフを磨いていると、様子を見にきた瀬来さんがなにやらボヤき始めた。
「あ~あ。私もなにか新しい武器とか、ほし~なぁ」
そう言うと両手を頭の後ろに組んでクネクネし、こちらをチラチラ…。え、なにそのお子様チックなおねだりは?
「瀬来さんにはミスリル靴箆があるじゃない。なんでもスパスパ切れて、アレが最強だよ?」
「う~ん、あの靴ベラもいいんだけどねぇ。切れすぎて逆に怖いっていうか…、手からスッポ抜けたりしたら、危ないんだもん」
いや、そこはどんな武器だって同じですよ?ちゃんと持っていただかないと。
「ねぇ、江月さん…。あの猪の牙を武器にしたら、カッコイイと思わない??」
「えぇ!アレを…!?」
てか超巨大猪の牙なんていったら、博物館に飾られてるマンモスの牙より太いじゃない?
「たしかに今の膂力なら振り回せるかもしれないけどさ…、それでも大きすぎるでしょ?あんなの邪魔でしょうがないよ??」
「えぇ~、そっかなぁ~?」
そらおっきなモンスターをひと狩りしちゃうゲームとかなら、そんなおっきな武器もあるけどさ。あんな破城槌みたいなの、ひとりで振り回すようなもんじゃない。
…て、でも、振り回したいんだ。
「悪いことは言わないからやめときな。大きければ大きいほど、勢いがついた時には急に止まらないんだから。無理をしたら腰を悪くするよ?」
「じゃあ江月さんがもっと良いの考えてよッ!」
えぇ~、またご無体な。
でも超巨大猪の骨をどうにかしないといけないもの確か。新宅の方の庭先に置いてあるけど、お爺さんからもあんなもん早く片付けろって言われるんだよな~。ただ適当に埋めたりしたら、あとでアンデッド化して復活しそうで怖いし、困りものだ。
「ん~、ならさ。もっと小さな骨を使ってツイン鈍器とかは?」
「そんなのぜんぜんカッコ良くないじゃない!もぉ江月さんなんて知らないッ!!」
あらら、虫の居所が悪かったのかな。怒って行ってしまった。
ふぅむ、瀬来さん自身はアタッカーのつもりでも、どっちかっていうとやっぱりタンカーだ。
なんかわちゃわちゃした動きで敵の注意を誘い、攻撃を集める。慌てた時の攻撃も雑で、仁菜さんのような狙い澄ました一撃カウンターや、気配を殺して隙を突く瑠羽のような攻撃もできない。だから瀬来さんには鈍器のような武器が、一番いいと思うんだけどなぁ。
そうしてそんなことを考えつつ引き続き炭焼き番をしていると、プンスカ怒って去っていった瀬来さんが、なぜかまたニコニコしながら戻ってきた。
両手に骨をふり回しつつ…。
「コレすごく使いやすいよ!ね、江月さんも持ってみてよ!!」
「え…?」
あらま、まぁ知ってはいたけど乙女心とオータムスカイ。ほんとコロコロ機嫌が変わるのね。
ともかくニコニコとした表情で瀬来さんが特大ハンマーのような骨を渡してくるので、受け取ってみる。お、でも改めて武器として握ってみると、ずっしり重くて硬いな…。
「これは…、足の指かな?」
「そう、そのあたりだよたぶん!握りやすいし、とっても硬くて良いよね!」
そうか。脚もたくさんあったけど、あの巨体を支えていたんだ。体重のかかる部分だけあって、かなりの骨密度のよう。
「コレはいいね。重心のバランスもいいし、なにより金属並みに硬そうだ」
「でしょ~~~ッ!」
賛同されたのがよほど嬉しかったのか、瀬来さんは手に持ったもう一本の骨をブンブン振り回す。そんなに気に入ったんだ。
しかしこの骨。よく視るとファイヤーワンドの柄にも似ているな。
とするとファイヤーワンドの柄も、なにかモンスターの骨なのだろうか。う~む、それにしても硬い。まるで鋼、さっきまで磨いていたナイフと感触が変わらない。あ…てかカルシウムも金属だっけ。たしか電気も通すんだったよな。
それに回転運動抽出魔法陣を描くにのも、骨を粉にしたモノが必要って書いてあったはず。とするとアレはオカルトチックな意味合いじゃなくて、電気みたいに魔力を導通させるのが目的だったのかもしれないぞ。ふ~む、そう考えると奥が深いな。
「ねぇ江月さん。コレ、なんて名前にしよっか?」
「そうだな。形はハンマーに似ているし、猪の足の指が素材なら…ん~、豚足ハンマーがいいんじゃない?」
それを聞くと、瀬来さんはまた目を三角にして怒りだしてしまった。
「もぅ!なんでそんなカッコ悪い名前なのよ!江月さんの馬鹿ッ!!」
おうふ、また怒らせちゃった…。どうもオレのネーミングセンスは、なんともよろしくないな。
「あ~あ。私もなにか新しい武器とか、ほし~なぁ」
そう言うと両手を頭の後ろに組んでクネクネし、こちらをチラチラ…。え、なにそのお子様チックなおねだりは?
「瀬来さんにはミスリル靴箆があるじゃない。なんでもスパスパ切れて、アレが最強だよ?」
「う~ん、あの靴ベラもいいんだけどねぇ。切れすぎて逆に怖いっていうか…、手からスッポ抜けたりしたら、危ないんだもん」
いや、そこはどんな武器だって同じですよ?ちゃんと持っていただかないと。
「ねぇ、江月さん…。あの猪の牙を武器にしたら、カッコイイと思わない??」
「えぇ!アレを…!?」
てか超巨大猪の牙なんていったら、博物館に飾られてるマンモスの牙より太いじゃない?
「たしかに今の膂力なら振り回せるかもしれないけどさ…、それでも大きすぎるでしょ?あんなの邪魔でしょうがないよ??」
「えぇ~、そっかなぁ~?」
そらおっきなモンスターをひと狩りしちゃうゲームとかなら、そんなおっきな武器もあるけどさ。あんな破城槌みたいなの、ひとりで振り回すようなもんじゃない。
…て、でも、振り回したいんだ。
「悪いことは言わないからやめときな。大きければ大きいほど、勢いがついた時には急に止まらないんだから。無理をしたら腰を悪くするよ?」
「じゃあ江月さんがもっと良いの考えてよッ!」
えぇ~、またご無体な。
でも超巨大猪の骨をどうにかしないといけないもの確か。新宅の方の庭先に置いてあるけど、お爺さんからもあんなもん早く片付けろって言われるんだよな~。ただ適当に埋めたりしたら、あとでアンデッド化して復活しそうで怖いし、困りものだ。
「ん~、ならさ。もっと小さな骨を使ってツイン鈍器とかは?」
「そんなのぜんぜんカッコ良くないじゃない!もぉ江月さんなんて知らないッ!!」
あらら、虫の居所が悪かったのかな。怒って行ってしまった。
ふぅむ、瀬来さん自身はアタッカーのつもりでも、どっちかっていうとやっぱりタンカーだ。
なんかわちゃわちゃした動きで敵の注意を誘い、攻撃を集める。慌てた時の攻撃も雑で、仁菜さんのような狙い澄ました一撃カウンターや、気配を殺して隙を突く瑠羽のような攻撃もできない。だから瀬来さんには鈍器のような武器が、一番いいと思うんだけどなぁ。
そうしてそんなことを考えつつ引き続き炭焼き番をしていると、プンスカ怒って去っていった瀬来さんが、なぜかまたニコニコしながら戻ってきた。
両手に骨をふり回しつつ…。
「コレすごく使いやすいよ!ね、江月さんも持ってみてよ!!」
「え…?」
あらま、まぁ知ってはいたけど乙女心とオータムスカイ。ほんとコロコロ機嫌が変わるのね。
ともかくニコニコとした表情で瀬来さんが特大ハンマーのような骨を渡してくるので、受け取ってみる。お、でも改めて武器として握ってみると、ずっしり重くて硬いな…。
「これは…、足の指かな?」
「そう、そのあたりだよたぶん!握りやすいし、とっても硬くて良いよね!」
そうか。脚もたくさんあったけど、あの巨体を支えていたんだ。体重のかかる部分だけあって、かなりの骨密度のよう。
「コレはいいね。重心のバランスもいいし、なにより金属並みに硬そうだ」
「でしょ~~~ッ!」
賛同されたのがよほど嬉しかったのか、瀬来さんは手に持ったもう一本の骨をブンブン振り回す。そんなに気に入ったんだ。
しかしこの骨。よく視るとファイヤーワンドの柄にも似ているな。
とするとファイヤーワンドの柄も、なにかモンスターの骨なのだろうか。う~む、それにしても硬い。まるで鋼、さっきまで磨いていたナイフと感触が変わらない。あ…てかカルシウムも金属だっけ。たしか電気も通すんだったよな。
それに回転運動抽出魔法陣を描くにのも、骨を粉にしたモノが必要って書いてあったはず。とするとアレはオカルトチックな意味合いじゃなくて、電気みたいに魔力を導通させるのが目的だったのかもしれないぞ。ふ~む、そう考えると奥が深いな。
「ねぇ江月さん。コレ、なんて名前にしよっか?」
「そうだな。形はハンマーに似ているし、猪の足の指が素材なら…ん~、豚足ハンマーがいいんじゃない?」
それを聞くと、瀬来さんはまた目を三角にして怒りだしてしまった。
「もぅ!なんでそんなカッコ悪い名前なのよ!江月さんの馬鹿ッ!!」
おうふ、また怒らせちゃった…。どうもオレのネーミングセンスは、なんともよろしくないな。
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