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特異迷宮入場免許申請3
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世界にダンジョンが現れた時、人類はこの謎に満ちた迷宮におもくそビビりブッたまげた。
しかしその地下1層に存在した異形の化け物がさほど人類の脅威足りえないと知ると、今度は余裕をブチかましはじめた。
「は、ダンジョン?余裕余裕~。俺達なら楽勝ッショ」と、いうわけだ。
だがそれは浅い層だけの話であり、より深い階層まで潜り調査を行った自衛隊関係者などは、地獄を見ることになる。
しかしそれを政府がいくら危険だと説明しても、そうとは知らぬ一般人は好奇心と物珍しさからダンジョンへと入りたがった。そうして調子に乗った者達がどんどん奥へと潜り過ぎて、次々に還らぬ人となったのだ。
とはいえそれでも治まらないのが、人の浅はかさか。
勝手にダンジョンへと潜るヤツは後を絶たず、その度にそういった行方不明者を探してくれだなんだと残された家族が政府やマスコミに向け騒ぎ立てた。
するとそういったイタチゴッコに業を煮やした日本政府が「もうおまえら釣り堀みたいな場所作ってやるから、勝手にダンジョン潜らないでそこで遊べよ!」ってな感じで一般に試験解放された一部のダンジョン。
一応これには一定の効果があり、政府が未確認だったダンジョンは次第に通報されるようになり、勝手に未認可ダンジョンへと潜った還らぬ者は世間でも自業自得とみられるようになっていった。ま、その試験解放されたダンジョンも、スキルという超絶パワーが手に入るという事実が解るまでだったのだが。
しかし二度のダンジョンスタンピードが起きたことで、まさに人類ケツカッチン。もしまたダンジョンスタンピードが起きた時には、圧倒的に戦力の不足が予想されるという事態に陥ってしまった。
特に日本は大ピンチ。
ネットでの誹謗中傷やリアルな傷害事件などといった日々陰湿な争いは後を絶たないが、精々がその程度で基本平和ボケしたお国柄。それ故にいざなにか遭った時に本当に役に立つ骨のあるヤツというのが、ほとんどいなかった模様。
しかしまぁ、コレは仕方のないこと。
他国のように兵役がある訳で無し、軍国主義で染まっていたかつての日本を警戒する諸外国から徹底的に牙を抜かれた良い子ちゃんでいるようにと、何十年にも渡って睨まれ続けていたのだから。
おかげで現在の自衛隊は、損耗率2割強という全滅に近い有様らしい。
ただこれは自衛隊のみなさんが無能しだとかいうのではなく、自国の領土内に敵性存在があふれてしまいその火力を如何なく発揮できなかったことに起因する。つまり、「いくらなんでも街中で大砲はブッ放せません!」というわけだ。
そうしてその分の犠牲を、悲しいかな自衛隊は人的被害で蒙ってしまった。
すると困るのは今後の国防。佐渡島は未だC国に占領されたままだし、次のダンジョンスタンピードにも備えなければならない。
よって日本政府は特異迷宮対策省を設置し、その管理下にダンジョン能力者を置くことで非常時にはコイツらを上手いこと戦力にしてやろうと考えたらしい。
(ん~だからまぁ、イヤなんだけどさぁ。もう身バレしてるから逃げるに逃げられないんだよなぁ…)
面接を待つ廊下で、教本をパラパラとめくりつつそんなことを考える。
雲海さんに声掛けようとしたけど、スキルを手に入れてやる気に満ちてたのか講義が終わると同時に席を立って即面接会場に行っちゃったんだよね。
「次、5名の方~。入室お願いします」
で、どうやら順番が回ってきたようなので部屋へと入る。
と、そこには折り畳み式会議テーブルの向こうに、イタコみたいな装束をしたオバチャン軍団が並んで座っているではないか。しかも雰囲気とその気配から、どうやら全員がダンジョン能力者のようだ。
(ムムム…なんだこれは!もしや霊的な才能を持った人達を、鑑定装置のようにして使うつもりなのか!?)
うむ、折り畳み椅子に座っている歳のいったオバチャンたちが、自らダンジョンに潜るとも思えない。するとそういったガチ霊能力者的な人達にステータスを取得させて、向上させた能力値で背後霊から情報を聞き出すとか、なんかスピリチュアルに精神読取を行なおうという事なのだろうか。
(そうきたか、う~む恐るべし日本政府。まさかこんな隠し玉を持っていたとは…)
ときに、オレはスキル【鑑定】なんていうモノは、存在しないと考えている。
例えば高校生程度の知識しか持たないA君がスキル【鑑定】をゲット。
が、それを発動したとして「お、あれは〇〇っていうのか!」とはならないと考えている。なぜならば鑑定とは専門的な知識を持つ者が行ってこそ、はじめて意味を持つ行為だからだ。
路傍の石ころひとつとっても鉱物学や地質学に通じてなければ鑑定なんてまず無理だし、道端に生えてる草一本だって植物図鑑と照らし合わせて同定する事を考えれば、とんでもない情報量になるだろう。
だから鑑定を行うにはまず大前提として、そういった膨大な知識を事前に有していなければならない筈。
故に自身の知識には全くない情報を知り得たりできるようなスキル【鑑定】は、厳密にはそれは鑑定ではなく何らかの外的データベースにアクセスして情報を得る【神の英知】、とでもいったところだろうか。
ただそれだって流量制限などの安全装置がない状態で膨大な情報にアクセスしてしまえば、たちまち人間の脳なんて過負荷により焼き切れてしまうだろう。
でもま、あったら便利なことこのうえないだろうな【鑑定】って。
な~んて事を考えていると、〇崎駿風味入ってるキツそうな感じの婆さんがオレを手招きしているのに気が付いた。
「アンタ、背中が煤けてるヨ…」
余計なお世話である。
しかしその地下1層に存在した異形の化け物がさほど人類の脅威足りえないと知ると、今度は余裕をブチかましはじめた。
「は、ダンジョン?余裕余裕~。俺達なら楽勝ッショ」と、いうわけだ。
だがそれは浅い層だけの話であり、より深い階層まで潜り調査を行った自衛隊関係者などは、地獄を見ることになる。
しかしそれを政府がいくら危険だと説明しても、そうとは知らぬ一般人は好奇心と物珍しさからダンジョンへと入りたがった。そうして調子に乗った者達がどんどん奥へと潜り過ぎて、次々に還らぬ人となったのだ。
とはいえそれでも治まらないのが、人の浅はかさか。
勝手にダンジョンへと潜るヤツは後を絶たず、その度にそういった行方不明者を探してくれだなんだと残された家族が政府やマスコミに向け騒ぎ立てた。
するとそういったイタチゴッコに業を煮やした日本政府が「もうおまえら釣り堀みたいな場所作ってやるから、勝手にダンジョン潜らないでそこで遊べよ!」ってな感じで一般に試験解放された一部のダンジョン。
一応これには一定の効果があり、政府が未確認だったダンジョンは次第に通報されるようになり、勝手に未認可ダンジョンへと潜った還らぬ者は世間でも自業自得とみられるようになっていった。ま、その試験解放されたダンジョンも、スキルという超絶パワーが手に入るという事実が解るまでだったのだが。
しかし二度のダンジョンスタンピードが起きたことで、まさに人類ケツカッチン。もしまたダンジョンスタンピードが起きた時には、圧倒的に戦力の不足が予想されるという事態に陥ってしまった。
特に日本は大ピンチ。
ネットでの誹謗中傷やリアルな傷害事件などといった日々陰湿な争いは後を絶たないが、精々がその程度で基本平和ボケしたお国柄。それ故にいざなにか遭った時に本当に役に立つ骨のあるヤツというのが、ほとんどいなかった模様。
しかしまぁ、コレは仕方のないこと。
他国のように兵役がある訳で無し、軍国主義で染まっていたかつての日本を警戒する諸外国から徹底的に牙を抜かれた良い子ちゃんでいるようにと、何十年にも渡って睨まれ続けていたのだから。
おかげで現在の自衛隊は、損耗率2割強という全滅に近い有様らしい。
ただこれは自衛隊のみなさんが無能しだとかいうのではなく、自国の領土内に敵性存在があふれてしまいその火力を如何なく発揮できなかったことに起因する。つまり、「いくらなんでも街中で大砲はブッ放せません!」というわけだ。
そうしてその分の犠牲を、悲しいかな自衛隊は人的被害で蒙ってしまった。
すると困るのは今後の国防。佐渡島は未だC国に占領されたままだし、次のダンジョンスタンピードにも備えなければならない。
よって日本政府は特異迷宮対策省を設置し、その管理下にダンジョン能力者を置くことで非常時にはコイツらを上手いこと戦力にしてやろうと考えたらしい。
(ん~だからまぁ、イヤなんだけどさぁ。もう身バレしてるから逃げるに逃げられないんだよなぁ…)
面接を待つ廊下で、教本をパラパラとめくりつつそんなことを考える。
雲海さんに声掛けようとしたけど、スキルを手に入れてやる気に満ちてたのか講義が終わると同時に席を立って即面接会場に行っちゃったんだよね。
「次、5名の方~。入室お願いします」
で、どうやら順番が回ってきたようなので部屋へと入る。
と、そこには折り畳み式会議テーブルの向こうに、イタコみたいな装束をしたオバチャン軍団が並んで座っているではないか。しかも雰囲気とその気配から、どうやら全員がダンジョン能力者のようだ。
(ムムム…なんだこれは!もしや霊的な才能を持った人達を、鑑定装置のようにして使うつもりなのか!?)
うむ、折り畳み椅子に座っている歳のいったオバチャンたちが、自らダンジョンに潜るとも思えない。するとそういったガチ霊能力者的な人達にステータスを取得させて、向上させた能力値で背後霊から情報を聞き出すとか、なんかスピリチュアルに精神読取を行なおうという事なのだろうか。
(そうきたか、う~む恐るべし日本政府。まさかこんな隠し玉を持っていたとは…)
ときに、オレはスキル【鑑定】なんていうモノは、存在しないと考えている。
例えば高校生程度の知識しか持たないA君がスキル【鑑定】をゲット。
が、それを発動したとして「お、あれは〇〇っていうのか!」とはならないと考えている。なぜならば鑑定とは専門的な知識を持つ者が行ってこそ、はじめて意味を持つ行為だからだ。
路傍の石ころひとつとっても鉱物学や地質学に通じてなければ鑑定なんてまず無理だし、道端に生えてる草一本だって植物図鑑と照らし合わせて同定する事を考えれば、とんでもない情報量になるだろう。
だから鑑定を行うにはまず大前提として、そういった膨大な知識を事前に有していなければならない筈。
故に自身の知識には全くない情報を知り得たりできるようなスキル【鑑定】は、厳密にはそれは鑑定ではなく何らかの外的データベースにアクセスして情報を得る【神の英知】、とでもいったところだろうか。
ただそれだって流量制限などの安全装置がない状態で膨大な情報にアクセスしてしまえば、たちまち人間の脳なんて過負荷により焼き切れてしまうだろう。
でもま、あったら便利なことこのうえないだろうな【鑑定】って。
な~んて事を考えていると、〇崎駿風味入ってるキツそうな感じの婆さんがオレを手招きしているのに気が付いた。
「アンタ、背中が煤けてるヨ…」
余計なお世話である。
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