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ダンジョンスタンピード第二波 海唄

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塩太郎が魔力の流れに乗って、患者の身体の中へとダイブしていった。

事前にオーラ視を行ない、患者の気の波長は確認済。なので抵抗になるのは、人面瘡の放っている魔のオーラだけ。だがそれくらいならば、オレの魔力だけでも十分押し通れる。

「ムゴッ!!ごぇッ…!?」

一方でこちらの侵入を許してしまった人面瘡は、まるで不意に浣腸喰らったオッサンみたいにして驚いている。どうだ。なにも身体の中に干渉するのは、おまえの専売特許という訳じゃないんだぞ。

(ッ…ツッッ…ッツ!!!!)
(よし、いいぞ塩太郎!そうやってドスコイドスコイ、ワッショイワッショイって魔のオーラを追い詰めていくんだ)

こうして生物学的には塩の持つ毒性で、生命エナジー的には塩太郎の精霊パワーによって患者の身体を人面瘡の支配から解放していく。

「ご…ごぇ…!ごるぁぶしゃああああッ!!」
『ブシャアアア…ッ!!』

すると形勢不利を感じ取った人面瘡がその醜い顔を膨らませたと思ったら、口から盛大に臭い匂いは放つ汁をぶちまけた。むむ、なんというお下劣攻撃、これは臭汁ブシャーと名付けよう。

(フッ、だが甘い!【しょっぱい男】を舐めるなよ。ソルテックシールド!)

人面瘡の放った臭汁ブシャーは岩塩盾で受け止めオーラ念動も用いて四散を防ぐと、そのまま捕獲用に用意されていた缶バケツにポイだ。

ふふふ、塩太郎が攻めを担当してくれているから、オレはこうして防御に徹することもできるのだ。

「よし、効いとるぞ!人面瘡が暴れ出したわ、それ反撃を封じろ!ネジリンボウじゃ!!」
「「ハッ!!」」

そこに空かさず飛張医師の指示が飛び、それを受け雨合羽にゴム手姿の自衛官たちが人面瘡の口に水で硬くしぼったタオルを何本もねじ込んでいく。

「こいつ、おとなしくしてろ!」
「むがッ!?もががが…!!」

こうして何本ものネジリンボウをその大口に咥えこまされた人面瘡は反撃の手段を封じられ、その濁った眼に涙を浮かべ苦しむことに。

「…うぅ…!あぁぁ…!!」
『(ぎちっ!ぎしし…!)』

しかしここで、眠っていた患者が苦しみだした。

と同時に、きつく縛られていた左腕を動かそうと筋肉が痙攣しているのもみてとれる。うむむ…さてはまた人面瘡が肉体のコントロールを奪ったな。

(よし塩太郎!つぎは左腕に集中だ!それドスコイドスコイ、ワッショイワッショイ!!)
(ツッ…ツッ!!ッ…ッツ!!)

しかし余り長い時間身体を高濃度の塩分にさらしては、患者にダメージが残ってしまう。そこで人面瘡側には高濃度の塩分壁を作って追い立て、前線を構築するようにして取り囲む。

こうしてやれば、一度解放した側の塩分濃度は下げてやれる。

「…うむ、診えるぞ!ワシにも敵が診える!!この、筋肉の緊張が解かれていくさまでなッ!」

拘束されている患者の左腕。飛張医師がその手の先から徐々に緊張が抜けていくのをみてなにやら興奮している。医師の中でなにかの覚醒が起きてしまったのだろうか。

一方で追い詰められた人面瘡は、見るからにテンパっていた。

ギョロギョロとその濁った眼を周囲に彷徨わせ、醜く腫れた顔にはダラダラと脂汗が滲んでいる。

そしてついに…。

『(プツっ…!)』

「む!皮膚に裂目が生じたぞ!!」
「「おお…!」」

顔を盛り上がらせ患者の身体から伸びた人面瘡。その皮膚との境界に裂目が出来ると、メリメリと剥がれ始めたのだ。

その裂目からはピンク色をした患者の組織と、紫にどす黒い斑点のあるガン細胞のような人面瘡の組織が見え隠れしている。

うむ、目論見は正しかった。ならばあとは仕上げにもってゆくだけ。

「さあゆけ小僧!ほれ、あともう一押しじゃ!!」
「はい!」

よし、これで…トドメだ!

(よし、がんばれ塩太郎!はぁあああああああああ~~ッ!どっこいしょ~どっこいしょッ!)
(ツッ…ツッ!!ツッ…ツッ!!)

(あ、ソ~ラン!ソ~ラン!!)
(ツッ…ツッ!!ツッ…ツッ!!)

(ああ~どっこいしょ~どっこいしょッ!)
(ツッ…ツッ!!ツッ…ツッ!!)

(あ、ソ~ラン!ソ~ラン!!)
(ツッ…ツッ!!ツッ…ツッ!!)

(やぁぁぁぁぁぁあぁあああぁぁぁ~~レン!ソーランソーランソーランソーランソーラン!!!)
(ツッツッツッツッツッツッツッツッツッツッツッツッ!!!!)

『(ミリミリミリ…ぷち…メリリ…びしゃあああ~ッ!)』
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