おぱんつ!ぱにっく!

あまき

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後編

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「んぁっ!……っや、ふぁ…!」

 仰向けに寝かされたまま、俺の性器は透けたぱんつ越しに竜樹の大きな手が包み込まれ、先っぽを指先でくにくにと触られる。シースルー素材の生地は肌の感触をそのまま伝えてきて、まるで竜樹の手が直接触れているかのような錯覚を引き起こした。

「くっ、そ!やさしく、するな…!」

 強引な癖に触れる手は優しく介抱するようで、俺はあられもない声を出してしまう。

「なんだ、痛いのが好きなのか」
「ちっげーよ!ば、か…っ、んぁぁ!」

 そんなに優しく触れられたら、いらない勘違いをしてしまいそうだ。こいつはただの同期で、こんなことをするような関係じゃない。
 まるで、恋人に触れるような優しさを、俺に見せないでほしい。
 俺に勘違いさせないでほしい。

「ぁ、んんっ、ひゃぁぁっ!」

 ぱんつから性器だけを出して、遂には口で咥えられた。俺は両手で竜樹の頭を押さえつけながら、いやいやと首を振るが、竜樹は陰茎の裏を舌でなぞり、その間もぱんつ越しに陰嚢をもみもみと触ってくる。竜樹の口がじゅっと音を立てて亀頭を吸うと、俺は首をのけぞらせて喘ぐしかなかった。

「も、やめ…っ、ゃ…っあああん!」

 心臓がドクリと音を立てたとき、性器から白濁がどぷっと溢れ出たのが分かった。
 俺のイチモツからゆっくりと顔を離した竜樹は、そのまま喉をごくりと鳴らす。

「っ…ば、っか!の、むなよっ」

 荒い息を整えながら、俺は寝転んだまま竜樹を睨みつけた。だけど竜樹は嬉しそうに笑って、俺の足を持ち上げる。

「今度は、コッチ」
「っ!そ、こは!だめだっ……ぅ、あぁ!」

 いつの間にかローションに濡れたゴムを纏った指がぱんつの隙間から入ってきて、後ろの穴の縁をふにふにと揉んでくる。いやだいやだと体を捩りたくても、俺の足を持ち上げる竜樹の腕はびくともしない。
 ぷつっ…と、指が中に入ってくるのが分かって、俺は「ひっ」と目を見開いた。

「だ、めだって…そ、こ…き、きもちよくな…」
「気持ちよくなるから」
「な、なんか…へ、へん…!」
「いいから。千弦は喘いでろ」
「ぅ、あぁ…!」

 浅いところを竜樹の指が出たり入ったりすると、背筋にゾワゾワッとしたものが走った。初めての感覚にシーツを握りしめて耐える。
 不意に竜樹の指の平が腹側のある一点に触れると、俺の体が大袈裟に跳ねた。

 何だ今の。目の裏がチカッとするような、まるで。

「ここ…気持ちいい?」
「っうぁ、く…ぅ、ん!」
「こっちもまた硬くなってる」
「ひゃっ、い、いっしょは、だめぇ…!」
「っ…!」

 勃起した性器を、今度はぱんつを被せられたまま、大きな手でスリスリと撫でられた。腹の中では竜樹の指がごりごりといいところを掻いてくる。

「った、つきぃ…!」

 堪らなくなった俺は、顔の横でシーツを握りしめるだけだった手を、竜樹に向かって伸ばす。俺の足の間に座ったまたの竜樹に、触れたいと思った。少し離れたこの距離を縮めたいと思った。なのに。

「んぁっ…ひっ、やぁ……っあああ!」

 なのに、竜樹は俺の手を掴んでくれる訳もなく、俺の性器がシースルー生地のぱんつの中へどぷりと快感を放つまで、扱く手を止めなかった。

「ぅ…あ…っ」

 なんで、なんで。竜樹は好きなように俺に触れるのに、俺にはどうして触れさせてくれないのか。
 どうして、俺の体を高ぶらせ快楽を導くお前に、俺の手は届かないのか。

 なにをお前は、俺が手を伸ばしても届かないようなところから、俺のケツだけいじってんだ。

「な、にが…きもちいいこと、だよ…」
「は?」
「おれ、きもちよく、なんて…ねぇから…!」

 体をびくびくと震わせて、出したこともない高い声で喘いで。嘘をつくなと言わんばかりに、竜樹は冷たい目で俺を見下ろしてくる。
 だけどそんな目に俺は怯まない。また腕を伸ばして思いっきり睨んでやると、竜樹は何かに気づいたようにはっと息を呑んで、今度こそ俺の腕を掴んだ。

「っ竜樹が!そんな遠いところにいたら!おれ!誰に抱かれてるか、っ分かんねぇだろ!」
「っ…ち、づる…」

 息も絶え絶えで、整える間もなく俺は叫ぶ。

「誰かもわかんねーやつに触られて!気持ちいいわけねぇだろ!おれは…!」
「千弦」
「おれは!竜樹だから…!ぱんつを!見せたんだよっ!…っんぅ!」

 自分だけ座って、寝転がって喘ぐ俺を見下ろしていた男が、ぐっと近寄ってキスをしてきた。よっぽどその舌を噛んでやろうかと思ったのに、俺は自然と目の前の頭に腕を回して、口の中では舌を絡ませる。

「…千弦」
「っ、だれだよ、お前は!」
「竜樹だ…千谷、竜樹」
「お、おれに、なにしてんだよ!」
「たくさん触って、抱こうとしてる」
「な、んでだよ…!」

 ここまでしておいて、適当な理由なんかほざいたらただじゃおかねーぞ!と心の中で毒づいた。

「千弦が、好きだから。俺だからぱんつを見せてくれたというのなら…これからも、俺にだけ…ぱんつを、見せてくれ」
「っ…」

 そんな風に、切ない顔をしてお前が言うから。あんまりにも愛おしそうに、俺の頬に触れるから。その言葉を先に言ってくれたら、俺は、俺だって…!

「……っ、くそぅ!おぱんつ法案め!」
「…は?」
「おぱんつ法案なんてできるから!竜樹みたいなやつがのっかってくる!」
「っ……ふはっ!お前の怒りはそっちにいくのか」
「全く!世も末だ!」
「それはそうだな」

 掴まれていない方の腕で顔を隠す。本日何度目かになる「世も末だ」は、涙にまみれた挙げ句鼻声の、一番情けない捨て台詞だった。

 竜樹はくくっと喉を鳴らして笑ってから、俺の腕を優しく取って頬にキスを落としてきた。それがやたらくすぐったくて、俺は鼻をすすりながら近づいてきた竜樹の顔にすり寄る。

「言えよ、竜樹」
「…なにを」
「思ってること、全部だよ!この口下手!」

 仕事のプレゼンではあんなに饒舌なくせに。やることやっといて大事なことを言わなかった竜樹にだんだん腹が立ってくる。
 何も俺だっておぱんつ法案だけに怒っているわけじゃない。俺の体をこんなにしといて、ちゃんとはっきりしてもらわなきゃ困る。
 だってもう、竜樹のこんな表情見せられて、ただの同期になんて俺は戻れない。

「ずっと…好きだった。お前に触れたくて、抱きたかった」
「っこの!いくじなし!だからって、ぱんつを見せろなんて誘い方する奴があるか!」
「いくじなしだからな」

 弁解する気もないらしい竜樹の肩に腕を回して、俺も上半身を起こした。それでも埋まらない身長差に、精一杯下から睨みつけてやる。

「っ撤回させてやる!」
「なにを」
「いくじなしな誘い方を!」

 俺がその気になるように誘ってみろ。そして…

「俺も!お前に触らせろ!」
「は?」
「手を伸ばしたら掴め!」
「っ…」
「抱くってんなら!ちゃんと、っおれを!抱きしめとけ!」

 息切れしながら叫んだ俺を、竜樹が優しく包み込むように抱きしめた。その時俺の頭の上で竜樹が何か呟いて、それを聞き返そうと見上げてみた。
 けれど同時にドロドロに濡れたぱんつを脱がされ、割れ目には熱くて硬いものが触れて、俺は息を呑んだ。

「っ、あ…!」

 ゆっくりと俺を割り開いてくる男根に、体がガチガチに強張る。だけど竜樹が俺の頬にも瞼にも、眉毛も額も唇の端にも、何度もキスを贈ってくれるから。竜樹に触れられるだけで安心していく俺は、少しずつ体の力を抜いて竜樹を受け入れた。

「千弦」
「ぅあ、っく、んああ!」
「千弦…好きだ」
「ひゃ、ああん!」
「千弦は?」
「ひっ、お、れは…!」

 ゆっくりと時間をかけて奥まで入りきった剛直が抽挿を繰り返し、俺は喘いでるのか叫んでるのか区別のつかない声で、頭の中に浮かぶ言葉を手繰り寄せた。

「おれ、は…っ、ああん」

 竜樹の言う好きとか、今はまだよく分からないけど、竜樹ならいいと思ったのは事実だ。じゃなきゃ俺だって、あんな透けたぱんつを堂々と見せたりしない。こんな風に体を明け渡したりしない。

「…千弦」

 薄っすら目を開けると、目の前には不安そうな顔で俺を見つめる竜樹。俺をずっと抱きたかったなどと言いながら、俺のことをちっとも分かっていない竜樹に、俺は舌打ちをする。その首の後ろを掴んで、引き寄せた。

「っおまえだから!抱かせてやってんだ!」
「っ…はは。すっげー男前」

 外が明るみだして、お互いの体が体液にまみれドロドロになっても、俺たちは長い時間ずっと触れ合い抱き合っていた。目が覚めたら、この出来事が全部夢だったらどうしようなんて、似合わない不安を過ぎらせながら、俺は意識を遠のかせた。

 まぁでも、起きた俺が夢なわけがないと思えたのは、体のいたるところが筋肉痛で動けなかったから、っていうのと、それからの竜樹がこれまで同様、いやそれ以上の世話焼きとなり、溺愛が加わってあれよあれよと言うまま、毎日ぱんつを見せ合う関係になったからだが…まぁ、その話はまた追々。






「いいか千弦。約束しろ。金輪際お前は俺以外にぱんつを見せてはいけない」
「うっせー!当たり前だろ!全く!世も末だな!」

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