11 / 14
終焉は血をもって迎える
しおりを挟む
それから先のことは、悠也もあまり覚えていなかった。ただ殴る蹴るの大騒ぎで、そんな中悠也は山田の背中に齧りついて、すぐ横を通り過ぎる木片や鉄パイプの残骸、それから人のようなモノをいくつも見送っていた。それでも決して目をそらすことはしない。キョロキョロと視線を動かして、人の群れの中から雪乃を探した。
(…!いたっ…!)
雪乃は自身が汚れることも厭わずパコーンと、それはもう刻みの良い音を倉庫内に響かせながら、大の男たちを薙ぎ払っていた。
高そうな帯やその白い肌に返り血を浴びながら、楽しそうに腕を振るうその姿を見たら、悠也はもう恐怖など感じなかった。
「…きれい……っ、ぁ!」
その時、雪乃の死角から大きな鈍器を持った男が襲いかかる。
「…っ雪乃さん!!」
咄嗟に悠也が叫ぶが、こんな喧騒の中で届くわけがない。けれどなぜだか雪乃はくるりと、悠也のいる方を振り返った。
「っ!そっちじゃない!後ろ!」
ガンッ!
どこからか駆け付けた義久が、雪乃の背後に忍び寄る男を蹴り飛ばす。そして二人はとても自然な流れで背中を合わせた。もう雪乃は悠也の方を向いてなどいない。
「組長は前だけを」
「分かってる」
まるで二人で一つであったかのように、息の合った動きであっという間に雪乃の前が開いていった。
足が動かないのか、床に座り込む男の前まで来た雪乃は、金属バットを持ったまま腕を大きく振りかぶる。
「や、やめてくれ…お、おれがわるか」
「ははっ!…アッチじゃぁ、精々可愛がってもらえよな」
その後のことを、悠也は何一つ見ていない。というのも山田の手で目を覆われて、見ることが叶わなかった。
ガツンッとした鈍い音が聞こえて、悠也は山田によってそのまま攫われるように場所を移動した。山田の「ここにいて」と静かに言った声に従って、倉庫の隅で身を縮めていた。
「…生きてますか、田中様」
「よ、義久さん…」
暫くの間、悠也は喧騒を遮るようにぎゅっと目と耳を閉じていた。そこに義久の落ち着いた声が振ってきて、勢いよく顔を上げる。
まだ色んな人が慌ただしく動いているが、この人がいるということは一段落ついたということだろうか。
義久が渋い顔をして、悠也を見下ろす。
「なぜ、ここに」
「ち、ちがっ!山田さんは!悪くないんです!お、俺が…ゆ、雪乃さんに、会いたいって…っ、言ったから!」
「おかげで山田は貴方を庇うことに心血を注ぎ、今回手柄を挙げられませんでしたよ」
「ひ、え、あ…ご、ごめんなさい」
「ここはそういう世界です。好きだなんだで報われる場所ではない」
「っあ…で、でも…ゆ、きのさんが…心配、で…」
「組長の背中は俺たちが守っています。貴方の出番はない」
「…っそ、んなことくらい…」
(そんなことくらいよく分かってる、よ…)
今だって、悠也は本当にただのお荷物だったのだ。山田にしがみつきながら、己の情けなさを目の当たりにしていた。でも……
(それでも、俺にとって雪乃さんは、優しくて片付けがちょっと下手で、惨めな俺を笑ったりしなくて…俺が大事にしたいって思う人で…)
「代わりに貴方は、組長の何を守ってやれますか」
「…え?」
「背中ではないなら、何を守ってやれますか」
「お、れは………」
ジャリっと音がして、悠也は義久の後ろに目を向ける。そこには血まみれの鉄パイプを肩に担いだ雪乃がいた。その目は冷たく悠也を見下ろしている。
「…っ俺は!雪乃さんの!お部屋を守ります!」
「……は」
「書類はちゃんと分類します!散らかったお部屋は掃除します!真っ赤なお部屋も…っがんばります!」
自分の震える足を殴りつけるのは、これで何度目だろう。そう思いながら、悠也は奥歯にも力を込めて勢いよく立ち上がった。
「せ、洗濯から上がった服は、俺がすぐ箪笥にしまいます!」
「…っ、ははっ」
「だからっ!俺を、雪乃さんのっ…せ、専属!家事代行人に!してください!!」
義久も後ろにいた山田もピアス顔の男も、呆気に取られて悠也を見やる。そんな中で雪乃さんがにっこりと笑っていた。
「私に片付けの助言しようなんざ、考えるなよ」
「じ、助言…?か、片付けは、お、俺がします!」
「舐めた口きいてみろ、すぐに首切ってやる」
「は、はい!ゆ、雪乃さんは存分に!散らかしてください!!」
突然雪乃がふわりと近づいてきて、彼女から漂う花のような香りと血の匂いが悠也の鼻を掠めたとき、唇に柔らかいものが触れた。
「へ…」
何が起きたのか分からないまま、気づけばチュッとリップ音が鳴って、柔らかい温もりが離れていく。
「ばかが。生意気言ってんな」
にやりと笑う雪乃に、悠也は顔の熱がぐんぐん上がっていくのを感じていた。
「い、いいいいい、いま、ききききききき」
「うるせーよ」
なんでもない顔をして去っていく雪乃の後ろを、ため息を一つ吐いた義久が続く。その後雪乃が落としていった金属バットを山田が抱えて小走りに去るまで、悠也は呆然と立ちすくんでいた。そんな悠也にピアス顔の男がそっと近寄る。
「おい、大丈夫か?生きてるか?」
「お、おお、おれ…」
「ん?どした?気分悪いか?」
「し、しあわせ、かも…」
「………そりゃあ、よかったな」
人生で一度きりのファーストキスは、誰のかわからない血の味がした。
「……というわけで、家事代行サービス『いいね!』は我々玉城組が取り仕切ることになりましたので、田中さんはそのままお勤めいただきますようお願いいたします」
「へ」
「雇用形態につきましては大幅な変更などありません。より良く勤めていただけるよう、我々も支援いたします」
「…………あれ?」
あれから暫く経ったが、あの倉庫での出来事は新聞沙汰にもならなかったし、ニュースにあがることもなかった。本当に現実だったのかと疑ってしまうほど、世間は今も平和に満ちていた。
「それと、荒らされた田中さんのアパートですが、貴方だけに片付けを任せていたら一生かかっても終わらなさそうなので、こちらで処理班を向かわせます」
「しょ、処理班…」
「早々に終えて、田中さんには仕事に戻っていただきます」
実は悠也が薬を飲まされたあの夜、雪乃の部屋でぐすぐずと泣きじゃくっている間に、ピアス顔の男と数名が悠也のアパートに赴いていたらしい。もちろん張り込んでいる相手の組の連中をどうにかするためだったようだが、たどり着いたときにはすでに悠也の部屋の中は荒れに荒れていて、到底住めるものではなかった。義久曰く「バーから逃げ帰るのに自宅を選ばなかったのは賢い選択」だったようで、このままでは会社も辞めることになるし、住む家も仕事も一度に無くしてしまった、と悠也はまた意気消沈していた。
あの乱闘の後でそれを聞かされた悠也は、雪乃の鶴の一声で玉城組邸のふかふか布団でもう一夜を明かし、そのままずるずると邸に居座っていた。ぼちぼちとアパートの片付けも行っていたのだが、義久から見ればそれは子どもの片付けよりも下手くそで、今日ついに玉城組きっての“処理班”か動くというのだから、なんともいたたまれない。
「社内情報を見ますと、ほか2件の顧客からも随分と良い評価を頂く仕事熱心さであるとか。ぜひこのまま頑張ってください」
「そ、それは本当でしたか…」
「ですがどうぞ、住み込みでお願いしますね」
「…へ?」
「住宅も無くしてしまったことですし、ウチの専属になっていただくのであれば組員同然ですので」
「く、くく、組員…」
「福利厚生は会社に則りますのでご安心ください。それに…」
「そ、それに…?」
その時襖がスッと開いて、打掛を引きずる音が聞こえる。まるで最初の出会いをなぞるかのように、雪乃は悠也の前で一度歩みを止めた。
「私の夜の相手はお前だけなんだろう?」
「ひょえ」
「満足させてくれよ。ゆ、う、や、くん」
「あわわわわわ」
悠也が混乱を極める中、一応全ては丸く収まったらしい。しかし今後のことを考えると、前途多難とはまさにこのことだと悠也は改めて思い直した。
(…!いたっ…!)
雪乃は自身が汚れることも厭わずパコーンと、それはもう刻みの良い音を倉庫内に響かせながら、大の男たちを薙ぎ払っていた。
高そうな帯やその白い肌に返り血を浴びながら、楽しそうに腕を振るうその姿を見たら、悠也はもう恐怖など感じなかった。
「…きれい……っ、ぁ!」
その時、雪乃の死角から大きな鈍器を持った男が襲いかかる。
「…っ雪乃さん!!」
咄嗟に悠也が叫ぶが、こんな喧騒の中で届くわけがない。けれどなぜだか雪乃はくるりと、悠也のいる方を振り返った。
「っ!そっちじゃない!後ろ!」
ガンッ!
どこからか駆け付けた義久が、雪乃の背後に忍び寄る男を蹴り飛ばす。そして二人はとても自然な流れで背中を合わせた。もう雪乃は悠也の方を向いてなどいない。
「組長は前だけを」
「分かってる」
まるで二人で一つであったかのように、息の合った動きであっという間に雪乃の前が開いていった。
足が動かないのか、床に座り込む男の前まで来た雪乃は、金属バットを持ったまま腕を大きく振りかぶる。
「や、やめてくれ…お、おれがわるか」
「ははっ!…アッチじゃぁ、精々可愛がってもらえよな」
その後のことを、悠也は何一つ見ていない。というのも山田の手で目を覆われて、見ることが叶わなかった。
ガツンッとした鈍い音が聞こえて、悠也は山田によってそのまま攫われるように場所を移動した。山田の「ここにいて」と静かに言った声に従って、倉庫の隅で身を縮めていた。
「…生きてますか、田中様」
「よ、義久さん…」
暫くの間、悠也は喧騒を遮るようにぎゅっと目と耳を閉じていた。そこに義久の落ち着いた声が振ってきて、勢いよく顔を上げる。
まだ色んな人が慌ただしく動いているが、この人がいるということは一段落ついたということだろうか。
義久が渋い顔をして、悠也を見下ろす。
「なぜ、ここに」
「ち、ちがっ!山田さんは!悪くないんです!お、俺が…ゆ、雪乃さんに、会いたいって…っ、言ったから!」
「おかげで山田は貴方を庇うことに心血を注ぎ、今回手柄を挙げられませんでしたよ」
「ひ、え、あ…ご、ごめんなさい」
「ここはそういう世界です。好きだなんだで報われる場所ではない」
「っあ…で、でも…ゆ、きのさんが…心配、で…」
「組長の背中は俺たちが守っています。貴方の出番はない」
「…っそ、んなことくらい…」
(そんなことくらいよく分かってる、よ…)
今だって、悠也は本当にただのお荷物だったのだ。山田にしがみつきながら、己の情けなさを目の当たりにしていた。でも……
(それでも、俺にとって雪乃さんは、優しくて片付けがちょっと下手で、惨めな俺を笑ったりしなくて…俺が大事にしたいって思う人で…)
「代わりに貴方は、組長の何を守ってやれますか」
「…え?」
「背中ではないなら、何を守ってやれますか」
「お、れは………」
ジャリっと音がして、悠也は義久の後ろに目を向ける。そこには血まみれの鉄パイプを肩に担いだ雪乃がいた。その目は冷たく悠也を見下ろしている。
「…っ俺は!雪乃さんの!お部屋を守ります!」
「……は」
「書類はちゃんと分類します!散らかったお部屋は掃除します!真っ赤なお部屋も…っがんばります!」
自分の震える足を殴りつけるのは、これで何度目だろう。そう思いながら、悠也は奥歯にも力を込めて勢いよく立ち上がった。
「せ、洗濯から上がった服は、俺がすぐ箪笥にしまいます!」
「…っ、ははっ」
「だからっ!俺を、雪乃さんのっ…せ、専属!家事代行人に!してください!!」
義久も後ろにいた山田もピアス顔の男も、呆気に取られて悠也を見やる。そんな中で雪乃さんがにっこりと笑っていた。
「私に片付けの助言しようなんざ、考えるなよ」
「じ、助言…?か、片付けは、お、俺がします!」
「舐めた口きいてみろ、すぐに首切ってやる」
「は、はい!ゆ、雪乃さんは存分に!散らかしてください!!」
突然雪乃がふわりと近づいてきて、彼女から漂う花のような香りと血の匂いが悠也の鼻を掠めたとき、唇に柔らかいものが触れた。
「へ…」
何が起きたのか分からないまま、気づけばチュッとリップ音が鳴って、柔らかい温もりが離れていく。
「ばかが。生意気言ってんな」
にやりと笑う雪乃に、悠也は顔の熱がぐんぐん上がっていくのを感じていた。
「い、いいいいい、いま、ききききききき」
「うるせーよ」
なんでもない顔をして去っていく雪乃の後ろを、ため息を一つ吐いた義久が続く。その後雪乃が落としていった金属バットを山田が抱えて小走りに去るまで、悠也は呆然と立ちすくんでいた。そんな悠也にピアス顔の男がそっと近寄る。
「おい、大丈夫か?生きてるか?」
「お、おお、おれ…」
「ん?どした?気分悪いか?」
「し、しあわせ、かも…」
「………そりゃあ、よかったな」
人生で一度きりのファーストキスは、誰のかわからない血の味がした。
「……というわけで、家事代行サービス『いいね!』は我々玉城組が取り仕切ることになりましたので、田中さんはそのままお勤めいただきますようお願いいたします」
「へ」
「雇用形態につきましては大幅な変更などありません。より良く勤めていただけるよう、我々も支援いたします」
「…………あれ?」
あれから暫く経ったが、あの倉庫での出来事は新聞沙汰にもならなかったし、ニュースにあがることもなかった。本当に現実だったのかと疑ってしまうほど、世間は今も平和に満ちていた。
「それと、荒らされた田中さんのアパートですが、貴方だけに片付けを任せていたら一生かかっても終わらなさそうなので、こちらで処理班を向かわせます」
「しょ、処理班…」
「早々に終えて、田中さんには仕事に戻っていただきます」
実は悠也が薬を飲まされたあの夜、雪乃の部屋でぐすぐずと泣きじゃくっている間に、ピアス顔の男と数名が悠也のアパートに赴いていたらしい。もちろん張り込んでいる相手の組の連中をどうにかするためだったようだが、たどり着いたときにはすでに悠也の部屋の中は荒れに荒れていて、到底住めるものではなかった。義久曰く「バーから逃げ帰るのに自宅を選ばなかったのは賢い選択」だったようで、このままでは会社も辞めることになるし、住む家も仕事も一度に無くしてしまった、と悠也はまた意気消沈していた。
あの乱闘の後でそれを聞かされた悠也は、雪乃の鶴の一声で玉城組邸のふかふか布団でもう一夜を明かし、そのままずるずると邸に居座っていた。ぼちぼちとアパートの片付けも行っていたのだが、義久から見ればそれは子どもの片付けよりも下手くそで、今日ついに玉城組きっての“処理班”か動くというのだから、なんともいたたまれない。
「社内情報を見ますと、ほか2件の顧客からも随分と良い評価を頂く仕事熱心さであるとか。ぜひこのまま頑張ってください」
「そ、それは本当でしたか…」
「ですがどうぞ、住み込みでお願いしますね」
「…へ?」
「住宅も無くしてしまったことですし、ウチの専属になっていただくのであれば組員同然ですので」
「く、くく、組員…」
「福利厚生は会社に則りますのでご安心ください。それに…」
「そ、それに…?」
その時襖がスッと開いて、打掛を引きずる音が聞こえる。まるで最初の出会いをなぞるかのように、雪乃は悠也の前で一度歩みを止めた。
「私の夜の相手はお前だけなんだろう?」
「ひょえ」
「満足させてくれよ。ゆ、う、や、くん」
「あわわわわわ」
悠也が混乱を極める中、一応全ては丸く収まったらしい。しかし今後のことを考えると、前途多難とはまさにこのことだと悠也は改めて思い直した。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。

ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる