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緊張のしすぎは体に良くないと思います
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「……どうしてこんなことに」
悠也は自分が住むアパートの一室がすっぽりと収まりそうな広さの和室の真ん中で、一人そう呟いていた。悠也が頭を抱えてしまうのも無理はない。なぜなら今、そんな大きな座敷のど真ん中で、悠也はこれまでの人生のうち味わったことのないほどの、ふかふかでお日様の匂いのするお布団の上にいたからだ。
起きたばかりのぼーっとする頭で、悠也は何があったのか記憶を探ろうとする。その時襖が開いて現れた人に、また股間を滲ませることになった。
スッ…
「…お?なんだ兄ちゃん、起きてたのか」
「ひょえっ…ぴ、ピアス顔の人…!」
「あ?」
「いえいえいえいえ!なんでも!ありません!」
ピアス顔にスキンヘッドの男の顔は、何度見ても見慣れない。男は悠也が眠る布団の横までズカズカとやってきて、どかりとそこに腰を下ろした。
「お前、覚えてるか?姐さんの部屋で倒れたんだよ」
「…ははははははは」
「それを補佐が運んで…って、何笑ってんだよ」
そう。悠也はあの時、たどり着いた組長とやらの部屋の前でプツリと意識を失ってしまったのだった。そしてあろうことか、組長補佐というとにかく高い位にいる義久に、手ずから運んで頂くというだいそれたことをしでかしたのだった。その記憶が全てある悠也は、これの状態を笑わずにいられようか、いやない。
「…俺、どれくらい寝てましたか?」
「あ?あー…っと、そうさな、2時間くらいじゃねーか?」
「は、ははははははは」
「だから、何笑ってんだよ」
仕事に来た先で、豪勢なお部屋の究極なお布団の上で寝こけていたなんて部長に知られたら、悠也は間違いなくクビになるだろう。それ以前にあんなことをしでかした悠也は今日ここでクビを切られるんだろうとさえも思っていた。もちろんそれは物理的な意味で。
「……おれ、しぬんですか」
「はぁ?なんでだよ」
「だ、だってお、俺…何の仕事もしないで…」
「ただぶっ倒れただけだろ?体の調子が狂うこた、誰にでもあるだろ」
案外優しい言葉を掛けてくれるピアス顔の男に、本来ならば好感度が上がるはずだった。しかし今の悠也は心のHPが削り取られていて、それどころではない。
「ち、違います、お、おお、俺…っ俺!」
「ん?なんだ?」
「俺!組長さんの裸見ちゃいましたああ!!!!」
「……はっ…?…な、なななにいいいいいいいい!!?!」
「すみませんすみませんすみませえええん!!!!」
□□□
事は数時間前に遡る。善良な市民なら赤子も近づかないとされる“玉城組”のその邸にて、悠也は組長補佐の義久に続いて、屋敷の奥へと歩みを進めていた。
義久は一言も喋ることなく、その後ろを悠也は小走りになりながら、相変わらず商売道具の詰まったかばんを胸のあたりで抱きしめ、追った。
自分の心臓の音が聞こえやしないかと心配になるほどの静かな、広く長い廊下に怖じ気づく足を叱咤する。
「まず、田中様にはこれから組長に会っていただきます」
「く、組長さん…ですか」
「この家を出入りする以上、主には会っていただかないと」
「で、ですよね…っあ!でも!き、今日はお試し体験の日ですので……お、お会いするのは正式契約の折でも」
「…と、いうと?」
ふと義久の歩みが止まった。悠也は振り返ったその顔を見上げる。そして、自分の発言がこの人の機嫌を損ねてしまっていることに気づいたのだ。なぜならそのお顔もその声も物凄く、凍てついていたから。
「ひぇっ…!」
情けない声が出て、悠也は自分の口を手で押さえた。しかし、これは契約内容として伝えなければならないことなのだから、と元来真面目な性格が邪魔をして恐る恐ると口を開き直す。つばをごくりと飲み込んで、声が震えたのは致し方あるまい。
「き、今日の働きぶりを見ていただいてからの、本契約になりますのでっ!」
「それで?」
「お、おおお、俺ではない別の担当がつくことに、なるか……も……?」
体験日に来た社員がそのまま本契約になることが多いとはいえ、仕事の出来栄え次第で新規の顧客には担当を替える権利がある。ただし本契約が決まればよっぽどの理由がない限り、担当を外れることはない。それは不当な解雇を受けないよう従業員を守るためでもあった。ただ今はそれが少し恨めしく感じているのも事実である。
実は従業員の方も、正当な理由があればその顧客から外れることもできるのだが、今回の悠也のように「ただただ怖いから」という理由が、正当と受け入れられるかは定かではない。なのでぜひとも、今回は顧客側から断っていただきたい、というのが悠也の本音であった。
しかし目の前の冷ややかな目はにっこりと笑って、ゆっくりとした動作で悠也と向かい合った。その時、悠也はもうこの運命から逃げられないのだと悟った。
「なら話は簡単ですね」
「へ?」
「一度中まで引き入れた人間を野放しにするほど、ウチは小さな組ではありません。今後も田中様にお願いできるよう、本日の働きぶりに期待しております」
「は、ははははは」
“い”まで言わなかったのは防衛本能だ。返事をしなきゃ命はないが返事をしてもまた命はない。
「組長は、そうですね…少し気性の荒い方ではありますが、一般人であるあなたに手を上げるほど落ちぶれておりませんのでご安心ください」
「は、はぁ…「ただ」…?」
「この組一の力を持つお人です。失礼のないように、お願いします」
「は、ははははい…」
今度こそ“い”まで言わないと、今この瞬間に首が落ちていただろう。
コンコン…
「…組長、義久です。家事代行サービスの方をお連れしました」
ガチャッ…
「あ、おい、まて!」
「……?っ、ひょえっ?」
少し低めの、でも耳障りのいい透きとおるような声が聞こえて、悠也は伏せていた顔を上げる。ドアが空いた目の前の部屋にいた女性と目が合った。その美しさに見惚れる…かと思いきや、悠也は思いもよらぬその光景に目をぐるぐるさせることとなる。
そこには素っ裸で立ち尽くす一人の女性がいた。
ショートボブの黒髪はさらりとしていて、続く細い首や肩は白磁を思わせるほど美しい。顔の横にかかる髪は後ろより少しだけ長いようで、隙間から見えた切れ長な目元に一瞬男性かと思ったが、胸の丸みが女性であることを、悠也の脳内に叩きつけた。
だが悠也が気になったのはそれよりも、あたり一面に散らばった服の山と、何かの書類や難しい本たちだった。竜巻の発生地かと言わんばかりの散らかりように、キョロキョロと見渡そうとした。
「っうわ、ぶっ!!」
その時、悠也の目元に大きな手で現れる。悠也は頭を抱きかかえられるように引っ張られた直後、壁にぶつけたような衝撃が後頭部に走った。その壁とは、義久の鍛え抜かれた胸板であり、分厚い逞しさを持つその衝撃と言えば鈍器で頭を殴られたかのようなのだが、今の悠也にはそんなことに気を止める余裕もない。
なぜなら女性の裸を見てからその衝撃まで、わずか数秒の出来事だったからだ。
「う、ぅ…ぐらぐらする…」
「失礼しました」
悠也は人生で初めて受けた大人の男性からの抱擁にクラクラしつつも顔に少し熱が籠もりそうになった頃、未だに目元を隠されたままの悠也の頭上をドスの効いた声が飛び交った。
「なんという…組長、服くらい着てください」
「着替えてたんだよ!あとブラが見つからないんだ、どこにやった!」
「どこにもやっていません。だから片付けろとあれほど…というか真っ昼間に着替えですか」
「血みどろになった服で人様を迎えられねーだろ!というか出ろ!外に!見るな…あ、いや、ブラ探してから出ろ!」
真っ赤に染まる部屋、素っ裸の女性、受けたことのない頭の衝撃に、熱い抱擁と逞しい胸板。あとどことなくいい匂いのする義久の香り。悠也にとって前途多難とはまさにこのことだった。
そしてキャパオーバーとなった悠也の脳内は強制的にシャットアウトされて、逞しい筋肉に挟まれながら気を失ったのだった。
悠也は自分が住むアパートの一室がすっぽりと収まりそうな広さの和室の真ん中で、一人そう呟いていた。悠也が頭を抱えてしまうのも無理はない。なぜなら今、そんな大きな座敷のど真ん中で、悠也はこれまでの人生のうち味わったことのないほどの、ふかふかでお日様の匂いのするお布団の上にいたからだ。
起きたばかりのぼーっとする頭で、悠也は何があったのか記憶を探ろうとする。その時襖が開いて現れた人に、また股間を滲ませることになった。
スッ…
「…お?なんだ兄ちゃん、起きてたのか」
「ひょえっ…ぴ、ピアス顔の人…!」
「あ?」
「いえいえいえいえ!なんでも!ありません!」
ピアス顔にスキンヘッドの男の顔は、何度見ても見慣れない。男は悠也が眠る布団の横までズカズカとやってきて、どかりとそこに腰を下ろした。
「お前、覚えてるか?姐さんの部屋で倒れたんだよ」
「…ははははははは」
「それを補佐が運んで…って、何笑ってんだよ」
そう。悠也はあの時、たどり着いた組長とやらの部屋の前でプツリと意識を失ってしまったのだった。そしてあろうことか、組長補佐というとにかく高い位にいる義久に、手ずから運んで頂くというだいそれたことをしでかしたのだった。その記憶が全てある悠也は、これの状態を笑わずにいられようか、いやない。
「…俺、どれくらい寝てましたか?」
「あ?あー…っと、そうさな、2時間くらいじゃねーか?」
「は、ははははははは」
「だから、何笑ってんだよ」
仕事に来た先で、豪勢なお部屋の究極なお布団の上で寝こけていたなんて部長に知られたら、悠也は間違いなくクビになるだろう。それ以前にあんなことをしでかした悠也は今日ここでクビを切られるんだろうとさえも思っていた。もちろんそれは物理的な意味で。
「……おれ、しぬんですか」
「はぁ?なんでだよ」
「だ、だってお、俺…何の仕事もしないで…」
「ただぶっ倒れただけだろ?体の調子が狂うこた、誰にでもあるだろ」
案外優しい言葉を掛けてくれるピアス顔の男に、本来ならば好感度が上がるはずだった。しかし今の悠也は心のHPが削り取られていて、それどころではない。
「ち、違います、お、おお、俺…っ俺!」
「ん?なんだ?」
「俺!組長さんの裸見ちゃいましたああ!!!!」
「……はっ…?…な、なななにいいいいいいいい!!?!」
「すみませんすみませんすみませえええん!!!!」
□□□
事は数時間前に遡る。善良な市民なら赤子も近づかないとされる“玉城組”のその邸にて、悠也は組長補佐の義久に続いて、屋敷の奥へと歩みを進めていた。
義久は一言も喋ることなく、その後ろを悠也は小走りになりながら、相変わらず商売道具の詰まったかばんを胸のあたりで抱きしめ、追った。
自分の心臓の音が聞こえやしないかと心配になるほどの静かな、広く長い廊下に怖じ気づく足を叱咤する。
「まず、田中様にはこれから組長に会っていただきます」
「く、組長さん…ですか」
「この家を出入りする以上、主には会っていただかないと」
「で、ですよね…っあ!でも!き、今日はお試し体験の日ですので……お、お会いするのは正式契約の折でも」
「…と、いうと?」
ふと義久の歩みが止まった。悠也は振り返ったその顔を見上げる。そして、自分の発言がこの人の機嫌を損ねてしまっていることに気づいたのだ。なぜならそのお顔もその声も物凄く、凍てついていたから。
「ひぇっ…!」
情けない声が出て、悠也は自分の口を手で押さえた。しかし、これは契約内容として伝えなければならないことなのだから、と元来真面目な性格が邪魔をして恐る恐ると口を開き直す。つばをごくりと飲み込んで、声が震えたのは致し方あるまい。
「き、今日の働きぶりを見ていただいてからの、本契約になりますのでっ!」
「それで?」
「お、おおお、俺ではない別の担当がつくことに、なるか……も……?」
体験日に来た社員がそのまま本契約になることが多いとはいえ、仕事の出来栄え次第で新規の顧客には担当を替える権利がある。ただし本契約が決まればよっぽどの理由がない限り、担当を外れることはない。それは不当な解雇を受けないよう従業員を守るためでもあった。ただ今はそれが少し恨めしく感じているのも事実である。
実は従業員の方も、正当な理由があればその顧客から外れることもできるのだが、今回の悠也のように「ただただ怖いから」という理由が、正当と受け入れられるかは定かではない。なのでぜひとも、今回は顧客側から断っていただきたい、というのが悠也の本音であった。
しかし目の前の冷ややかな目はにっこりと笑って、ゆっくりとした動作で悠也と向かい合った。その時、悠也はもうこの運命から逃げられないのだと悟った。
「なら話は簡単ですね」
「へ?」
「一度中まで引き入れた人間を野放しにするほど、ウチは小さな組ではありません。今後も田中様にお願いできるよう、本日の働きぶりに期待しております」
「は、ははははは」
“い”まで言わなかったのは防衛本能だ。返事をしなきゃ命はないが返事をしてもまた命はない。
「組長は、そうですね…少し気性の荒い方ではありますが、一般人であるあなたに手を上げるほど落ちぶれておりませんのでご安心ください」
「は、はぁ…「ただ」…?」
「この組一の力を持つお人です。失礼のないように、お願いします」
「は、ははははい…」
今度こそ“い”まで言わないと、今この瞬間に首が落ちていただろう。
コンコン…
「…組長、義久です。家事代行サービスの方をお連れしました」
ガチャッ…
「あ、おい、まて!」
「……?っ、ひょえっ?」
少し低めの、でも耳障りのいい透きとおるような声が聞こえて、悠也は伏せていた顔を上げる。ドアが空いた目の前の部屋にいた女性と目が合った。その美しさに見惚れる…かと思いきや、悠也は思いもよらぬその光景に目をぐるぐるさせることとなる。
そこには素っ裸で立ち尽くす一人の女性がいた。
ショートボブの黒髪はさらりとしていて、続く細い首や肩は白磁を思わせるほど美しい。顔の横にかかる髪は後ろより少しだけ長いようで、隙間から見えた切れ長な目元に一瞬男性かと思ったが、胸の丸みが女性であることを、悠也の脳内に叩きつけた。
だが悠也が気になったのはそれよりも、あたり一面に散らばった服の山と、何かの書類や難しい本たちだった。竜巻の発生地かと言わんばかりの散らかりように、キョロキョロと見渡そうとした。
「っうわ、ぶっ!!」
その時、悠也の目元に大きな手で現れる。悠也は頭を抱きかかえられるように引っ張られた直後、壁にぶつけたような衝撃が後頭部に走った。その壁とは、義久の鍛え抜かれた胸板であり、分厚い逞しさを持つその衝撃と言えば鈍器で頭を殴られたかのようなのだが、今の悠也にはそんなことに気を止める余裕もない。
なぜなら女性の裸を見てからその衝撃まで、わずか数秒の出来事だったからだ。
「う、ぅ…ぐらぐらする…」
「失礼しました」
悠也は人生で初めて受けた大人の男性からの抱擁にクラクラしつつも顔に少し熱が籠もりそうになった頃、未だに目元を隠されたままの悠也の頭上をドスの効いた声が飛び交った。
「なんという…組長、服くらい着てください」
「着替えてたんだよ!あとブラが見つからないんだ、どこにやった!」
「どこにもやっていません。だから片付けろとあれほど…というか真っ昼間に着替えですか」
「血みどろになった服で人様を迎えられねーだろ!というか出ろ!外に!見るな…あ、いや、ブラ探してから出ろ!」
真っ赤に染まる部屋、素っ裸の女性、受けたことのない頭の衝撃に、熱い抱擁と逞しい胸板。あとどことなくいい匂いのする義久の香り。悠也にとって前途多難とはまさにこのことだった。
そしてキャパオーバーとなった悠也の脳内は強制的にシャットアウトされて、逞しい筋肉に挟まれながら気を失ったのだった。
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