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プロローグ
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ーーガタンッ プシュー
「!」
その音と揺れに目を覚ました俺は、慌てて電車から降りた。
「あっぶねー」
家から会社までの道のりはおよそ1時間30分はかかる為、いつも寝て時間を過ごす。
会社へ通勤し始めた頃は、朝6時起きの毎日が大変に思えたが慣れてしまえば問題なく、むしろ寝る前に携帯をいじったりして、気づいたら夜ふかししてしまう始末だ。
その為、通勤時間は俺にとって貴重な睡眠時間になっている。
駅から会社までは15分ぐらいだが、冷たい風が吹きつける度、身を縮ませると自然と歩くスピードも遅くなる。
ーーブーッブーッ
ふと、携帯が震えだした。画面に写った人物の名前を見て、俺は柄にもなく嬉しくなってしまう。
高坂蓮
ーー秋人ー。今日の夜、ご飯食べに行こー。行ける?ーー
メールを開くと俺は行けると返信した。
たわいもないやりとりをした後、待ち合わせ時間を決めて携帯を閉じた。
蓮とは高校の頃に知り合った。180センチ以上ある身長に鼻筋の通った整った顔、男としては羨ましいぐらいの容姿をしている。なおかつ、男女問わず誰からも好かれていて、いつも蓮の周りはにぎやかだった。
身長も容姿も至って普通で、静かに過ごしたいと思ってる俺としては、一生友達になるタイプではないかなと思っていたが、蓮から話しかけられた時は驚いた。
ミステリー小説や本が好きだった俺は暇さえあれば学校で読んでいたが、実は蓮も小説や本が好きだったらしく、そこから意気投合した。
そこから今まででもう7年の付き合いになる。
俺は普通に就職してサラリーマン、蓮はずっと夢だった作家になり仕事をしている。
そして、好きになってからもうそんな年月が流れたのかと思い返していた。
「俺も諦め悪いなー。」
当然、蓮は知らない。俺も一生言うつもりもない。
同性同士の恋愛なんてうまくいくとは思ってない。
なんせリスクが大きいし、この親友という立ち位置を失いたくない。
そばにいられればそれでいい。
蓮が幸せならそれでいい。
ちょっとした幸せを感じながら
これからも過ごしていこう。
俺はそう思いながら、再び会社へ向かって歩き出した。
その先に、何が待ち受けているかも知らずにーーーーー
「!」
その音と揺れに目を覚ました俺は、慌てて電車から降りた。
「あっぶねー」
家から会社までの道のりはおよそ1時間30分はかかる為、いつも寝て時間を過ごす。
会社へ通勤し始めた頃は、朝6時起きの毎日が大変に思えたが慣れてしまえば問題なく、むしろ寝る前に携帯をいじったりして、気づいたら夜ふかししてしまう始末だ。
その為、通勤時間は俺にとって貴重な睡眠時間になっている。
駅から会社までは15分ぐらいだが、冷たい風が吹きつける度、身を縮ませると自然と歩くスピードも遅くなる。
ーーブーッブーッ
ふと、携帯が震えだした。画面に写った人物の名前を見て、俺は柄にもなく嬉しくなってしまう。
高坂蓮
ーー秋人ー。今日の夜、ご飯食べに行こー。行ける?ーー
メールを開くと俺は行けると返信した。
たわいもないやりとりをした後、待ち合わせ時間を決めて携帯を閉じた。
蓮とは高校の頃に知り合った。180センチ以上ある身長に鼻筋の通った整った顔、男としては羨ましいぐらいの容姿をしている。なおかつ、男女問わず誰からも好かれていて、いつも蓮の周りはにぎやかだった。
身長も容姿も至って普通で、静かに過ごしたいと思ってる俺としては、一生友達になるタイプではないかなと思っていたが、蓮から話しかけられた時は驚いた。
ミステリー小説や本が好きだった俺は暇さえあれば学校で読んでいたが、実は蓮も小説や本が好きだったらしく、そこから意気投合した。
そこから今まででもう7年の付き合いになる。
俺は普通に就職してサラリーマン、蓮はずっと夢だった作家になり仕事をしている。
そして、好きになってからもうそんな年月が流れたのかと思い返していた。
「俺も諦め悪いなー。」
当然、蓮は知らない。俺も一生言うつもりもない。
同性同士の恋愛なんてうまくいくとは思ってない。
なんせリスクが大きいし、この親友という立ち位置を失いたくない。
そばにいられればそれでいい。
蓮が幸せならそれでいい。
ちょっとした幸せを感じながら
これからも過ごしていこう。
俺はそう思いながら、再び会社へ向かって歩き出した。
その先に、何が待ち受けているかも知らずにーーーーー
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