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【03】 花嫁候補生アリス
*037* ご挨拶
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驚いてはいるものの、そこはアリス…意外と普通だった。
そして、ようやくグランディア家当主に気付いたようだ。
「あ…突然お邪魔してすみません。アリスです。」
アリスは、身体を起き上がらせようとしたが、イーズがそれを止めた。
「アリス、寝たままの体勢で大丈夫だから。」
「……?」
「父上、それでかまいませんね?」
「あぁ…勿論だとも!!」
イーズの言葉の勢いに乗せられ、思わず頷いてしまう。
「あの…ここは何処ですか?」
「冬休みは僕の家で過ごすって約束していただろう?」
「そうだったわ。」
「だから、寝ている間に連れて来たんだよ。」
「まぁ…そうだったの!! 私は、どのお部屋の掃除から始めたら良いかしら?」
そこに居るアリス以外の全ての人達の頭の中に沢山のハテナマークが浮かんだ。
またしても、アリス節炸裂である。
「アリス、それはどういう意味かな?」
気を取り直したイーズは、アリスに問う。
「だって、滞在させて頂くんだもの、働くのは当然だわ!!」
アリスにしては、非常に正しい事を言っている…一般的には。
しかし、ここは魔法使いの家の中でも貴族の…しかも、階級は相当に高い家柄であった。
アリスの常識は、この家の非常識になる。
「アリス、君は、ただここに居てくれるだけで良いんだ。」
「何故?」
「それが、この家でのアリスの仕事だよ。」
イーズは、アリスに言い含めるように伝えた。
「まぁ、動くと邪魔になってしまうという事ね?」
「…う~ん、そういう事でも無いんだけれど、アリスには他にもやって貰いたい事もあるしね。」
「そうなの?」
「うん。少しずつで良いんだ…手伝ってくれるかな?」
イーズは、言葉巧みにアリスから言質を取っていく。
グランディア家当主もウィルも…その様子を見て、アリスが言い寄っているのでは無く、明らかにイーズが詰め寄っていっているという事を嫌と言う程に理解した。
これに頭を抱えるのは、グランディア家当主である。
王家に対して、どのように対応したら良いのか…全く知恵が浮かばなかった。
まずは、グランディア家当主として、目の前で起こったアリスのミラクルについて確認する事にした。
「アリス、君は風の精霊とどのように繋がっているのだね?」
「……? えっと…さっき、お友達になりました♪」
「友達? 使役ではなくて?」
「難しい事は良く解らないんですが、お友達の皆さん、とっても良くしてくれるんです。」
ここで、大切なのは、『とっても良くしてくれるんです』の枕詞に『勝手に』という言葉が入る事だろう。
それをこれから、グランディア家に関係する人々はまざまざと目にする事となる。
そして、ようやくグランディア家当主に気付いたようだ。
「あ…突然お邪魔してすみません。アリスです。」
アリスは、身体を起き上がらせようとしたが、イーズがそれを止めた。
「アリス、寝たままの体勢で大丈夫だから。」
「……?」
「父上、それでかまいませんね?」
「あぁ…勿論だとも!!」
イーズの言葉の勢いに乗せられ、思わず頷いてしまう。
「あの…ここは何処ですか?」
「冬休みは僕の家で過ごすって約束していただろう?」
「そうだったわ。」
「だから、寝ている間に連れて来たんだよ。」
「まぁ…そうだったの!! 私は、どのお部屋の掃除から始めたら良いかしら?」
そこに居るアリス以外の全ての人達の頭の中に沢山のハテナマークが浮かんだ。
またしても、アリス節炸裂である。
「アリス、それはどういう意味かな?」
気を取り直したイーズは、アリスに問う。
「だって、滞在させて頂くんだもの、働くのは当然だわ!!」
アリスにしては、非常に正しい事を言っている…一般的には。
しかし、ここは魔法使いの家の中でも貴族の…しかも、階級は相当に高い家柄であった。
アリスの常識は、この家の非常識になる。
「アリス、君は、ただここに居てくれるだけで良いんだ。」
「何故?」
「それが、この家でのアリスの仕事だよ。」
イーズは、アリスに言い含めるように伝えた。
「まぁ、動くと邪魔になってしまうという事ね?」
「…う~ん、そういう事でも無いんだけれど、アリスには他にもやって貰いたい事もあるしね。」
「そうなの?」
「うん。少しずつで良いんだ…手伝ってくれるかな?」
イーズは、言葉巧みにアリスから言質を取っていく。
グランディア家当主もウィルも…その様子を見て、アリスが言い寄っているのでは無く、明らかにイーズが詰め寄っていっているという事を嫌と言う程に理解した。
これに頭を抱えるのは、グランディア家当主である。
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まずは、グランディア家当主として、目の前で起こったアリスのミラクルについて確認する事にした。
「アリス、君は風の精霊とどのように繋がっているのだね?」
「……? えっと…さっき、お友達になりました♪」
「友達? 使役ではなくて?」
「難しい事は良く解らないんですが、お友達の皆さん、とっても良くしてくれるんです。」
ここで、大切なのは、『とっても良くしてくれるんです』の枕詞に『勝手に』という言葉が入る事だろう。
それをこれから、グランディア家に関係する人々はまざまざと目にする事となる。
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