ブラッディ・マリー

観月 珠莉

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【02】 名家グランディア

*028* お味見 (☆)

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アリスは、スヤスヤと気持ち良さそうに眠っている。
取り敢えず、今のところは、命を落とす危険は無さそうだ。
アリスの中に埋め込まれた核は、胎内に根を下ろし、これから何日もかけて胎内に張り巡らせていく。
最終的には、全身をくまなく網羅して、心臓へ到達し、アリスの身体と融合していくのだ。
通常だと、双方、同時に核を埋め込むのだが、今回は、イーズの独断で一方的に施している為、どのような結果になるのか、判断出来ない。
しかし、イーズは、今まで魔法において出来なかった事は無い為、特に作業についての心配はしていなかった。
彼にとって気に病む事は、ただただ、アリスが痛みで辛い思いをしないかどうかだけだった。
核を埋め込んだ処には、イーズの魔法紋が浮かび上がっている。
この『魔法紋』は、人間でいるところの指紋等と同じで、誰一人として、同じ紋を持つものはいない。
例え、双子等であったとしても、成長していく間に外的要因で、少しずつ、個性が形成されていく。
イーズの紋は、本人と同じようにとても美しい紋だった。

「アリス…とっても似合うよ…。」

イーズは、独り言ちながら、アリスにたった今、植え付けて浮かび上がっている魔法紋をその綺麗な指先でなぞった。

「ふ…ぅ……。」

アリスは、無意識のまま、そのイーズの指の感触に反応する。
思わず耳に入った愛らしい声に、イーズは意味不明な言い訳をする。

「少しだけだから…。」

そう言うと、先程から可愛らしくイーズを誘い続けて止まないピンク色の右側の突起をペロリと舐めた。

「ん……。」

アリスは、無意識に声を上げたが、そのまま、また寝息を立て出した。
その様子に安心したイーズは、ペロペロと執拗にアリスの突起を舐め続ける。
思わず夢中になってしまった彼は、ついうっかり…アリスの左の突起を手で揉みしだいてしまった事には全く気付いていない。
そして、一時間以上もアリスの可愛らしい突起を堪能したにもかかわらず、それを少しと定義した彼はどうなのだろうか?
アリスは、そのままぐっすりと眠り続け、翌日のクリスマスになっても彼女が目を覚ます事は無かった。
イーズは、アリスを眠らせたまま、まず、アリーを呼び出す。

「はい、イーズ様。」
「これから、アリスと共に我が家へ行く。準備は整っているかな?」
「はい。」
「それじゃあ、ここに持ってきて。」

そこまで指示を出すと、アリーを下がらせた。
次に、ウィルを呼び出す。

「はい、御前に。」
「あぁ、ご苦労様。ウィルと相談した通りに、僕が着くと同時に新居が現れるようにすれば良いんだったね?」
「御意にございます。」
「ホント、ウィルは何時もよくやってくれて感謝しているよ。」

ウットリとするような美しい笑顔を向けられ、ウィルは、もしかしてバレて無いかもしれないという儚い夢を思い描いた。
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