ブラッディ・マリー

観月 珠莉

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【02】 名家グランディア

*022* 側近の悲痛な胸の内

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自分だけの主の言葉は絶対だ!!
でも、モンターギュ家の家人としての責任もある。
ウィルは、どちらを優先すべきなのか…非常に頭を悩ませている。
通常は、グランディア家の意向と主の意向がこんなに掛け離れた決定事項になる事は無いのだ!!
それなのに…ウィルの主は、ほぼ、王家に名を連ねる事が決まっているのに、それを覆そうと仰る。
しかも、たった二週間程度で…だ!!
ウィルは、頭を悩ませていた。
人はこんなに悩めるのか? …と質問したいくらいに主からの爆弾投下で悩んでしまった。

「ほら、家の人って色々と形式ばっていて頭が固いじゃない? だから、少しでも快適に過ごせるように、敷地内に新居を作ろうと思うんだ。ウィル、出来るよね?」

イーズは、色々とすっ飛ばして、簡単に言う。
ウィルは、この主に従っていたら、間違い無く家と断絶するに違い無い…と肩を落す。

「これからデザインして建てるには、少々時間が足りないのでは無いかと思うのですが?」
「出来ないなら、僕が今直ぐにやろうか?」

イーズの能力を持ってすれば、確かに直ぐに出来るだろう。
しかし、それは彼が稀有な存在な程の天才魔法使いだからであり、普通はそんなに簡単にはいかないし、そんなに簡単にされては、敷地内にドデンとそんなに大きく違いが出来た瞬間に、即、ウィルの父親にバレる…。
バレたら一巻の終わりだ。
しかも、終わるのはイーズでは無い…ウィルだ。
以前は、イーズが王家に入ったら、自分はどうなってしまうのだろう? …等と考えていたが、そんな悩みは甘っちょろい悩みだったとたった今、痛感した。
タマゴが先かニワトリか…。
ウィルは、窮地どころか、強風吹き荒れる断崖絶壁に自殺のお膳立てをされているように立たされているのだった。

「神様に祈っても良いですか…?」
「ウィル、何か言った?」

ウィルは、頭の中で考えている事を小さい声で呟いてしまったようだ。

「いえ…何でもありません。」

魔法使いには信仰は無いし、神様など不要なのだが、ウィルは呟かずにはいられなかった。

「万事、滞り無くする必要がありますね?」
「そうだね。ウィルならば出来ると信じているよ。」

イーズは、溜め息が出る程に美しい微笑みをウィルに向ける。

「少々、お時間を頂けますか?」
「余り長くは困るよ。僕もウィルとは別にまだまだやらなければならない準備が沢山あるからね。」

ウィルは、驚愕した。
彼の知らないところで、まだまだ別の準備をする気らしい!!
恐るべし…イーズはやっぱりイーズだった。
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