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【01】 セレスチャン魔法・魔術学院
*001* 運命が廻り始める
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イーズ・C・グランディアは、古くから続く名門の魔導士の家系出身の天才魔法使いだ。
魔法歴四九〇年にセレスチャン魔法・魔術学院が創設されて以降、数千年続く今までの歴史の中で、最も有能な魔法使いだと言われている。
セレスチャン魔法・魔術学院はその資質を持つ子供が十歳の誕生日を迎えた時に、魔法緘がなされたグリーティング・カードを送る。
グリーティング・カードが届いた子供達は、喜びを胸に毎年十一月一日の入学式に向けて入学の準備を行うのだ。
それぞれの生徒達は、入学から八年掛けて真の魔法使いになる為に、全寮制で大切に育てられていく。
そんな中でも、天才魔法使いのイーズは、学生の内に宮廷魔法使いとなり、セレスチャン魔法・魔術学院の卒業と共にセレスチャン魔法・魔術学院で上級生達の必修科目『魔法増幅術』を担当していた。
しかし、天才魔法使いと言われる所以は、それだけでは無い。
優秀な学生だけが選ばれて更に四年間学ぶ事が出来る、セレスチャン魔法・魔術上級学院で、より高度な魔法・魔術の研究者として籍を置く学生でもあった。
それほどの魔法使いだ、セレスチャン魔法・魔術学院においてもセレスチャン魔法・魔術上級学院においても、同性異性に拘らず、常に羨望の眼差しの中にあった。
しかし、イーズは、誰か一人と親密な付き合いをする事は無い。
彼には、心に決めた娘が居るのだ。
未だに何の接点も無いまま…。
**********
あれは…イーズが十七歳、七年生の十二月初旬だった。
例年通り、十一月に入学した新入生達があちらこちらで、初級魔法の練習をしているのを横目で見ながら歩いていた時だ。
噴水があり、芝生に囲まれた美しい中庭で、その新入生は初級魔法の呪文を唱えていた。
例年通りの光景だ…と特に意識をしていなかったが、予期せぬ出来事が起き、天才魔法使いイーズの視線を釘付けにしたのだ。
「タジン リアーテ!!」
その新入生が唱えた呪文は、『開錠』の呪文だ。
初級の初級だな…と思いながら通り過ぎようとした時、ポンポンッと音が鳴り、芝生一面に、小さな様々な色の小花が咲き乱れたのだ。
イーズは目が飛び出る程に驚いた。
普通は、『開錠』の呪文で失敗したとしても、鍵が開かないか、せいぜい鍵を焦げ付かせる、勢いのある生徒の場合には、扉が吹っ飛ぶ程度だ。
しかし、今、呪文を唱えた新入生は、全く関係の無い、庭に花を咲かせる…という芸当をやってのけたのだ。
その場に張り付いたように動けなかったイーズだが、ハッと我に返り、その日はそのまま中庭を後にしたのだった。
魔法歴四九〇年にセレスチャン魔法・魔術学院が創設されて以降、数千年続く今までの歴史の中で、最も有能な魔法使いだと言われている。
セレスチャン魔法・魔術学院はその資質を持つ子供が十歳の誕生日を迎えた時に、魔法緘がなされたグリーティング・カードを送る。
グリーティング・カードが届いた子供達は、喜びを胸に毎年十一月一日の入学式に向けて入学の準備を行うのだ。
それぞれの生徒達は、入学から八年掛けて真の魔法使いになる為に、全寮制で大切に育てられていく。
そんな中でも、天才魔法使いのイーズは、学生の内に宮廷魔法使いとなり、セレスチャン魔法・魔術学院の卒業と共にセレスチャン魔法・魔術学院で上級生達の必修科目『魔法増幅術』を担当していた。
しかし、天才魔法使いと言われる所以は、それだけでは無い。
優秀な学生だけが選ばれて更に四年間学ぶ事が出来る、セレスチャン魔法・魔術上級学院で、より高度な魔法・魔術の研究者として籍を置く学生でもあった。
それほどの魔法使いだ、セレスチャン魔法・魔術学院においてもセレスチャン魔法・魔術上級学院においても、同性異性に拘らず、常に羨望の眼差しの中にあった。
しかし、イーズは、誰か一人と親密な付き合いをする事は無い。
彼には、心に決めた娘が居るのだ。
未だに何の接点も無いまま…。
**********
あれは…イーズが十七歳、七年生の十二月初旬だった。
例年通り、十一月に入学した新入生達があちらこちらで、初級魔法の練習をしているのを横目で見ながら歩いていた時だ。
噴水があり、芝生に囲まれた美しい中庭で、その新入生は初級魔法の呪文を唱えていた。
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その新入生が唱えた呪文は、『開錠』の呪文だ。
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しかし、今、呪文を唱えた新入生は、全く関係の無い、庭に花を咲かせる…という芸当をやってのけたのだ。
その場に張り付いたように動けなかったイーズだが、ハッと我に返り、その日はそのまま中庭を後にしたのだった。
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