63 / 65
【05】 アリスと王家
*063* 折衷案
しおりを挟む
女王陛下の夢見がちな世界はそのままに、国王陛下とアンナは、イーズの顔を見て、アリスの意思を確認するように促す。
イーズは、その意図を察して、アリスに確認した。
「アリス、名前がアイリスに変わったらイヤかい?」
「……?」
イーズは、アリスがちょっと…凄くというべきだろうか?
兎に角、変わっているという事に慣れている為、アリスがどう言ったら伝わるのかを考えてみた。
「これから、僕にアリスの事をアイリスって呼ばれたらどう思う?」
国王陛下とアンナは、ナイスな質問だと思わず頷いている。
「イーズはそう呼びたいの?」
「う~ん…そういう訳でも無いんだけれど、どうカナって思ってね?」
「渾名みたいなもの?」
「まぁ…似たようなものなんだけれど、ちょっと違うカナ? 渾名じゃなければ、イヤなのかい?」
「私、アリスって言うの。」
国王陛下、アンナ、イーズは揃って『知っています。』と思ったが、誰も口には出さない。
「そうだね。では、アリスの事を女王陛下がアイリスって呼んでも返事をしてくれるカナ?」
「うん、別に良いわ!!」
「他の人が呼ぶのは?」
「別に大丈夫!!」
「じゃあ…セレスチャン魔法・魔術学院で先生達に呼ばれるのは?」
イーズは、アリスに確信を突く質問をした。
「先生達は、名前を間違えないわ。」
「そうだね…もしも、の話だよ?」
「私は、アリスって言うのよ。」
多分…これがアリスの答えだ。
頑張って導き出た結果は、この結果であろう。
イーズは、アリスの気持ちを汲み取り、国王陛下に答えた。
「国王陛下、今のやりとりでお解りの通り、名前を変えるのは好んでいないように思われます。」
「うむ。」
「しかしながら、女王陛下が考えてくださった名前も全否定という訳では無いようですので、愛称のようにお呼びになっては如何でしょうか?」
「そうだな…それが良いようだ。」
国王陛下は、夢見たままの女王陛下を現実の世界に呼び戻すべく、声を掛ける。
「ジーナ、ジーナ!!」
国王陛下の声で、女王陛下は何とか現実の世界へと戻ってきた。
「アリスの名前なのだが…。」
「あなた、アイリスですわ!!」
嬉しそうな笑顔で答える。
「そう…その名前なのだが、今、アリスが通っている学校の問題だとか、様々な事を考えると、名前を変えるのは大変な事だ。」
「国王陛下が一言、お口添えして頂ければ…そんなの直ぐですわ!!」
「いや…そうかもしれないが…十四年も使ってきた名前だ。アリスの中でも愛着があろう。」
「そう……かしら?」
「ジーナだって、自分の名前に誇りがあるだろう? 彼女だって同じだよ。だから、私達が与えた名前は、愛称として呼んであげるのはどうだろうか?」
国王陛下の提案に、女王陛下は暫し考え込んだ。
イーズは、その意図を察して、アリスに確認した。
「アリス、名前がアイリスに変わったらイヤかい?」
「……?」
イーズは、アリスがちょっと…凄くというべきだろうか?
兎に角、変わっているという事に慣れている為、アリスがどう言ったら伝わるのかを考えてみた。
「これから、僕にアリスの事をアイリスって呼ばれたらどう思う?」
国王陛下とアンナは、ナイスな質問だと思わず頷いている。
「イーズはそう呼びたいの?」
「う~ん…そういう訳でも無いんだけれど、どうカナって思ってね?」
「渾名みたいなもの?」
「まぁ…似たようなものなんだけれど、ちょっと違うカナ? 渾名じゃなければ、イヤなのかい?」
「私、アリスって言うの。」
国王陛下、アンナ、イーズは揃って『知っています。』と思ったが、誰も口には出さない。
「そうだね。では、アリスの事を女王陛下がアイリスって呼んでも返事をしてくれるカナ?」
「うん、別に良いわ!!」
「他の人が呼ぶのは?」
「別に大丈夫!!」
「じゃあ…セレスチャン魔法・魔術学院で先生達に呼ばれるのは?」
イーズは、アリスに確信を突く質問をした。
「先生達は、名前を間違えないわ。」
「そうだね…もしも、の話だよ?」
「私は、アリスって言うのよ。」
多分…これがアリスの答えだ。
頑張って導き出た結果は、この結果であろう。
イーズは、アリスの気持ちを汲み取り、国王陛下に答えた。
「国王陛下、今のやりとりでお解りの通り、名前を変えるのは好んでいないように思われます。」
「うむ。」
「しかしながら、女王陛下が考えてくださった名前も全否定という訳では無いようですので、愛称のようにお呼びになっては如何でしょうか?」
「そうだな…それが良いようだ。」
国王陛下は、夢見たままの女王陛下を現実の世界に呼び戻すべく、声を掛ける。
「ジーナ、ジーナ!!」
国王陛下の声で、女王陛下は何とか現実の世界へと戻ってきた。
「アリスの名前なのだが…。」
「あなた、アイリスですわ!!」
嬉しそうな笑顔で答える。
「そう…その名前なのだが、今、アリスが通っている学校の問題だとか、様々な事を考えると、名前を変えるのは大変な事だ。」
「国王陛下が一言、お口添えして頂ければ…そんなの直ぐですわ!!」
「いや…そうかもしれないが…十四年も使ってきた名前だ。アリスの中でも愛着があろう。」
「そう……かしら?」
「ジーナだって、自分の名前に誇りがあるだろう? 彼女だって同じだよ。だから、私達が与えた名前は、愛称として呼んであげるのはどうだろうか?」
国王陛下の提案に、女王陛下は暫し考え込んだ。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる