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【05】 アリスと王家
*062* 提案される名前
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しかし、それでこそアリスなので仕方が無い。
「そうか…では、アリスを今まで育ててくれたお礼に教会に何がしかを考えねばなるまいな。」
「折角ですから…ちゃんと名前を付けてあげたいですわ!!」
女王陛下から、そんな提案がされた。
女王陛下にとっては、お腹を痛めて生んだ娘に名前を付けてあげたいという気持ちは痛い程に理解出来るが、なかなか難しい提案だとも言える。
そこに居る者達は、複雑な表情を浮かべた。
イーズは、そんな仲を取り持つように、アリスに向かって尋ねた。
「アリス、女王陛下はあぁ言ってくださっているけれど、君はどうしたいの?」
「う~ん……?」
これから名前が変わるかもしれないという危機的状況にも全く気付いていない為、答えに困っているのである。
「ジーナ…十四年も今の名前で育ってきたんだ。突然、新しい名前を与えると言っても本人も困るのではないか?」
「ですが、あなた…。」
女王陛下もこの件については、是が非でも自分の意思を叶えたいところだ。
「ジーナには、何か良い名前でも浮かんでいるのか?」
そう言われると、女王陛下も今のところ、これという名前が浮かんでいる訳では無いので、困ってしまう。
暫し逡巡した後、良いアイディアが思い浮かんだように、言った。
「では、アイリスは如何かしら? 今までの名前とそう変わらないし…。『虹』を表す名前というのも、とても縁起が良いと思うの。それに、『すみれ』のお花もそうでしょ。愛らしくてとても良い名前だと思うのだけれど…。」
女王陛下の言葉に、その場に居る全ての者が『殆ど変らない名前ならば、今のままで良いじゃん!!』と思ったのだが、敢えてそれを言葉にしない。
…いや、微妙過ぎる付け焼刃の提案に出来なかったと言った方が正しいだろう。
イーズは、アリスとアイリスを何度か繰り返して言ってみるが、イマイチしっくり来ないという印象だった。
誰も返事をしないこの微妙な状況を見て、女王陛下が更に提案する。
「アイリス…愛称で今まで通り、アリスで良いんじゃないかしら?」
更にシラーッとした空気になったのは、言うまでも無い。
『変える必要ないじゃん!!』と全員が口に出さずに思ったのだった。
勿論、この時の全員には、残念ながらアリスは含まれない。
彼女は、どんな時も自分の世界を旅していて、この話の主役が自分であるという事は全く理解出来ていないのだった。
国王陛下は、アリスの意思を最優先しようと考え、イーズの力に頼る他無かった。
「そうか…では、アリスを今まで育ててくれたお礼に教会に何がしかを考えねばなるまいな。」
「折角ですから…ちゃんと名前を付けてあげたいですわ!!」
女王陛下から、そんな提案がされた。
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そこに居る者達は、複雑な表情を浮かべた。
イーズは、そんな仲を取り持つように、アリスに向かって尋ねた。
「アリス、女王陛下はあぁ言ってくださっているけれど、君はどうしたいの?」
「う~ん……?」
これから名前が変わるかもしれないという危機的状況にも全く気付いていない為、答えに困っているのである。
「ジーナ…十四年も今の名前で育ってきたんだ。突然、新しい名前を与えると言っても本人も困るのではないか?」
「ですが、あなた…。」
女王陛下もこの件については、是が非でも自分の意思を叶えたいところだ。
「ジーナには、何か良い名前でも浮かんでいるのか?」
そう言われると、女王陛下も今のところ、これという名前が浮かんでいる訳では無いので、困ってしまう。
暫し逡巡した後、良いアイディアが思い浮かんだように、言った。
「では、アイリスは如何かしら? 今までの名前とそう変わらないし…。『虹』を表す名前というのも、とても縁起が良いと思うの。それに、『すみれ』のお花もそうでしょ。愛らしくてとても良い名前だと思うのだけれど…。」
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…いや、微妙過ぎる付け焼刃の提案に出来なかったと言った方が正しいだろう。
イーズは、アリスとアイリスを何度か繰り返して言ってみるが、イマイチしっくり来ないという印象だった。
誰も返事をしないこの微妙な状況を見て、女王陛下が更に提案する。
「アイリス…愛称で今まで通り、アリスで良いんじゃないかしら?」
更にシラーッとした空気になったのは、言うまでも無い。
『変える必要ないじゃん!!』と全員が口に出さずに思ったのだった。
勿論、この時の全員には、残念ながらアリスは含まれない。
彼女は、どんな時も自分の世界を旅していて、この話の主役が自分であるという事は全く理解出来ていないのだった。
国王陛下は、アリスの意思を最優先しようと考え、イーズの力に頼る他無かった。
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