ブラッディ・マリー

観月 珠莉

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【05】 アリスと王家

*059* イーズの種明かし

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イーズの一言で、自分達がアリスを拘束し続けていた事に気付き、王家ご一行様は、開いた口が開きっ放しになった。

「あぁ、そうそう。何故、アリスの魂の形が違うのか…でしたね?」

強く結界を張っていたはずなのに、イーズに全てが筒抜けになっている事に国王陛下は茫然としている。
それはそうである。
国王陛下も相当な魔力を持っているので、その右に出る者はなかなか居ないのだが、イーズがこの魔法界で天才魔法使いだと言われているのは伊達じゃない。
国王陛下が強く張った程度の結界など、全く意味の成さないモノだった。
そんな、自身の結界が簡単に破られている事にショックを受けている国王陛下の心象は全くムシして、イーズは続きを話し出す。

「それは、とても簡単な事です。僕が彼女に自分の核を埋め込んだからですよ。」

その言葉を聞いて、王家ご一行様は、ムンクの『叫び』と同様の凄い顔になった。

「核…核……核を埋め込んだって…貴方!!」

女王陛下は大きな声で叫んだ。
顔と非常に良く合っている叫び声だった…。

「えぇ。つい数日前に。」

そんな女王陛下の言葉をサラリと受け流し、イーズは、気持ち良いくらいにキッパリと宣言した。

「それって…十四歳の幼気な乙女にふしだらな事をしたんじゃ…!?」

女王陛下の叫びは続く…。

「まさか、単に、核を植え付けただけです。」

ニッコリと素敵な笑顔で、悪魔のような回答をした。

「アンナは…アンナはどうするつもりなんだ!!」

国王陛下は、可愛い娘の気持ちを思うとやりきれなくて糾弾する。

「アンナとは、長い事、大切な友人としての距離を保ってきたつもりですし、彼女をキズ付けた事は一度も無いつもりですが?」
「アンナは…アンナはそれで良いのか?」

国王陛下は、心配そうにアンナを見遣る。

「そう…ねぇ……。ずっとイーズと結婚すると思ってきたので、確かに複雑な気持ちではあるけれど、アリスちゃんと結婚するならば…私よりもずーっと、今まで大変な思いをしてきたんだし、幸せになって欲しいと思うわ。」

アンナは、育ちの良いお嬢様として、こんなに優秀な回答は無いだろう…という程に、素晴らしい答えを言った。

「解ってくれて嬉しいよ、アンナ。僕は、君のそう言うところを高く評価しているよ。」

イーズは未来に向かって思惑通りに動いているこの状況を心から満足していた。

「アンナ…。」

国王陛下は、アンナの言葉にホロリと涙している。
ちなみに…現時点で、アリスの気持ちは全ムシで進んでいる…という事を合わせて申し添えておこう。
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