ブラッディ・マリー

観月 珠莉

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【04】 花嫁修業、始まる

*047* 子供は寝る時間です

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イーズの言い付けに従い、パジャマに着替えたアリスは、直ぐに、ベッドにころんと横になった。

「いい子だね、アリス。ゆっくりとお休み。」
「はぁい、お休みなさい♪」

アリスが寝る体勢になったので、ふわふわの掛け布団を掛けてやる。

「モッコモコで気持ち良いです♪雲の中に居るみたい!!」

アリスは、キャイキャイと喜んでいたが、イーズが、目を閉じるように手で瞼を下ろすと、静かになった。
そして、アリスが寝息を立て、呼吸で布団が上下するのを確認出来るまで、見守っていた。
アリスが寝付いた頃、ノック音が聞こえた。
気配で、ウィルだと解っているイーズは、入室するように促した。

「ウィル、入っていいよ。」

入室許可を受け、ウィルが部屋へとやってくる。

「今日は、お疲れ様でした。」
「ウィルの方が付かれたんじゃない? 僕はアリスと一緒だったから、全然疲れていないよ。」

全く疲れていない理由にならない理由を述べ、イーズはご満悦である。

「あの王女様に作法をお願いするとは…意外でした。」
「そうかい? さっき言ったとおりだよ。彼女よりも、作法がキレイな人は女王陛下くらいなものだからね。」

ウィルは、驚きの理由を言うが、結局、先程のディナーの時に聞いた理由と同じ理由を繰り返されただけだった。

「あぁ、ウィルは、食事はまだなんだろう? 先程の晩餐の残りで良ければ、僕が部屋でもう少し飲みたいから…とか、上手く理由をつけて、アリーと二人で食べられるようなものを調達してくると良いよ。」
「今日は、寝酒は要らないのですか?」
「う~ん、少しは飲むけど、そんなに深酒はしないかな? 夜、寝ている間にアリスが起きて、酒臭くって嫌われたら嫌だろう?」

イーズは、寝酒に何時も、どれだけ飲んでいるのだろうか?
寝酒程度ならば、通常、そんなにアルコール臭はしないと思うのだが…。

「では、寝酒のボトルとチーズ等、軽く摘まめるものを準備致しますね。」
「あぁ…ウィルに給仕までお願いしてしまって、すまないね。近々、数名の使用人を手配するから、それまでは頼むね。」
「承知致しました。」

それだけ会話をすると、ウィルは、食べ物の調達の為に、部屋から退室した。

「僕、今日はお酒を飲んでいる場合では無いんだよねぇ…明日から、王城に行くアリスに、もっと核を根付けておかないと、誰がアリスの魅力に気付くか解らないからね。」

イーズは、ウィルが立ち去った後、独り呟いていた。
相変わらず、アリスの意思確認は無いままに…着実に包囲網を固めていた。
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