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【07】 撃破
*066* 入国
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兄は、悠李にクギを刺されて、思わず苦笑する。
「ユーリもそんな事をいうようになったなんて…大人になったね。」
その一言は、兄として、感慨深いものがあったらしい。
「それにしても…突然行く事になってしまって、国王陛下にご迷惑を掛けてしまうわ。」
「そんな事無いだろ? 多くは語らないけれど、本当だったら、家族全員で来て欲しかったようだったよ。」
「そう…。」
国王陛下は、兄を必要としたのは勿論だが、兄と悠李の生みの親である母を国に戻したかったに違い無い。
兄も悠李もその事について、重々理解はしていたが、お互いにそれを口にする事は無かった。
**********
久しぶりに、母が生まれた地に足を踏み入れる。
子供の頃に数回来た程度だったので、もう悠李がこの大地を足で感じるのは何年ぶりだろうか?
ここは、ヨーロッパにある本当に小さな小国。
バチカン市国のように、本当に小さい国として存在している。
周りに位置するヨーロッパ各国のように歴史を有している訳では無い為、悠李は、普段、フランス系に分類されるこの国をざっくりとフランスと言う事にしていた。
まだまだ、認識されていないこの国について説明するには、悠李の言葉では、語り切れないのだ。
歴史の浅いこの国は、ちょっとした事で、直ぐに情勢が揺らぐ為、緑溢れる美しいこの地の景色を簡単に見に来る事が難しい。
もう少し安定したならば…兄との再会も、もっと容易になる日が来るのかもしれない。
悠李が、過去にこの国に来た頃に想いを馳せていると、謁見の間に国王陛下が入室してきた。
悠李も、慣習に習い、首を垂れて国王陛下をお迎えする。
『おぉ、ユーリ。とても久しぶりだ。突然の訪問、歓迎するよ。』
『突然の訪問、お許しくださいませ、国王陛下。』
悠李も、この国の母国語で返答する。
『ユーリ、そんなに堅苦しくしなくても大丈夫だよ。私達は、家族ではないか。』
『勿体無いお言葉です。』
『ユーリ、国王陛下がこのように仰っているのだ。まずは、顔をあげると良い。』
本来ならば、国王も玉座に向かうのだが、悠李の突然の訪問が嬉しかったらしく、直ぐに悠李の下へと向かってきた。
悠李も兄の言葉に、顔を上げる。
『おぉ…大きくなったね。ますますジョゼフィーヌにそっくりになった。』
国王陛下は、嬉しそうに悠李を抱き締めた。
『周りの方々からも、よく、更に母に似ているようになったと言われています。』
その言葉を何度も頷きながら、国王陛下は聞いている。
『そして…まるで、ヨハンナが生き返ったようだ。』
次の国王陛下の発言に、全ての者が言葉を失った。
「ユーリもそんな事をいうようになったなんて…大人になったね。」
その一言は、兄として、感慨深いものがあったらしい。
「それにしても…突然行く事になってしまって、国王陛下にご迷惑を掛けてしまうわ。」
「そんな事無いだろ? 多くは語らないけれど、本当だったら、家族全員で来て欲しかったようだったよ。」
「そう…。」
国王陛下は、兄を必要としたのは勿論だが、兄と悠李の生みの親である母を国に戻したかったに違い無い。
兄も悠李もその事について、重々理解はしていたが、お互いにそれを口にする事は無かった。
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久しぶりに、母が生まれた地に足を踏み入れる。
子供の頃に数回来た程度だったので、もう悠李がこの大地を足で感じるのは何年ぶりだろうか?
ここは、ヨーロッパにある本当に小さな小国。
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周りに位置するヨーロッパ各国のように歴史を有している訳では無い為、悠李は、普段、フランス系に分類されるこの国をざっくりとフランスと言う事にしていた。
まだまだ、認識されていないこの国について説明するには、悠李の言葉では、語り切れないのだ。
歴史の浅いこの国は、ちょっとした事で、直ぐに情勢が揺らぐ為、緑溢れる美しいこの地の景色を簡単に見に来る事が難しい。
もう少し安定したならば…兄との再会も、もっと容易になる日が来るのかもしれない。
悠李が、過去にこの国に来た頃に想いを馳せていると、謁見の間に国王陛下が入室してきた。
悠李も、慣習に習い、首を垂れて国王陛下をお迎えする。
『おぉ、ユーリ。とても久しぶりだ。突然の訪問、歓迎するよ。』
『突然の訪問、お許しくださいませ、国王陛下。』
悠李も、この国の母国語で返答する。
『ユーリ、そんなに堅苦しくしなくても大丈夫だよ。私達は、家族ではないか。』
『勿体無いお言葉です。』
『ユーリ、国王陛下がこのように仰っているのだ。まずは、顔をあげると良い。』
本来ならば、国王も玉座に向かうのだが、悠李の突然の訪問が嬉しかったらしく、直ぐに悠李の下へと向かってきた。
悠李も兄の言葉に、顔を上げる。
『おぉ…大きくなったね。ますますジョゼフィーヌにそっくりになった。』
国王陛下は、嬉しそうに悠李を抱き締めた。
『周りの方々からも、よく、更に母に似ているようになったと言われています。』
その言葉を何度も頷きながら、国王陛下は聞いている。
『そして…まるで、ヨハンナが生き返ったようだ。』
次の国王陛下の発言に、全ての者が言葉を失った。
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