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【07】 撃破
*065* 歩み寄り
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ある日突然、家族の前から一人…大きな決断をして、外国へと旅立った兄。
自分一人で行く事で、兄以外の家族の生活を守ってくれた。
悠李自身も大概、よく泣いたが…母は、自分の責任だと泣き崩れていた。
「ユーリ、このまま僕と一緒に住む?」
「それは…私まで行ったら、お父さんとお母さんがまた悲しむから…。」
兄は、フゥっと深く息を吐く。
「そうだよね。僕もそう思うよ。」
話の雲行きが怪しい状況を理解してだろう…先程のボディ・ガードに話し掛けられる。
「殿下、お話中に申し訳ありません。少なくとも、今、社に報告する為に、何点か妹君に確認させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あぁ…そうだよね。ごめん。ユーリ、答えて。」
少し、不満そうな声を出しているが、それでも、社会の仕組みを理解していれば、全面的なノーは言わない。
「はい。あの…兄と家族だと言う事は、伏せて頂けますか?」
「承知致しました。では、まず、お名前を教えてください。」
「花村…悠李です。」
「所属組は?」
「…花組です。」
「へぇ…花か…。」
ボディ・ガードの養成所で訓練を受けたのであれば、『花組』の役割は、十二分に理解しているはずだ。
悠李は、品定めされるような視線を睨み返す。
「ずっと花?」
「はい。」
「解りました。それだけ解れば充分です。連絡しておきましょう。」
「よろしくお願い致します。」
悠李は、再び礼をした。
「殿下、ご協力ありがとうございました。後は、こちらで対応致しますので。」
「あぁ、すまないね。手間を掛けるが、よろしく頼むよ。」
労いの言葉を受け、悠李に話し掛けていたボディ・ガードは、社に悠李の状況を報告する為に立ち去った。
「それにしても…ユーリは、何だってボディ・ガードになりたいと思ったの?」
「…お兄ちゃんに会えるかと思って…選んだの。」
「……。」
今度は、兄が絶句する番だった。
まさか、悠李が兄に会う為にそんな選択をするとは思わなかったのだ。
「お兄ちゃん…?」
「嬉しいけれど、それでもユーリを危険な目に遇わせる可能性が高いのは…僕の本意では無いよ。」
「そうだよね…ごめん…。」
「解ってくれたならば、良いんだ。」
「でもね、辞めるかどうかについては…もう少し考えたいの。周りの大切な人達を守りたいのよ!!」
「とりあえず、飛行機は飛んでしまったんだし、お互いにゆっくりと休んで頭もリフレッシュしてから考えようか?」
「そうだね。でも、このまま国から出さないっていうのは…無しね?」
悠李は、念の為、そう兄に告げるのだった。
自分一人で行く事で、兄以外の家族の生活を守ってくれた。
悠李自身も大概、よく泣いたが…母は、自分の責任だと泣き崩れていた。
「ユーリ、このまま僕と一緒に住む?」
「それは…私まで行ったら、お父さんとお母さんがまた悲しむから…。」
兄は、フゥっと深く息を吐く。
「そうだよね。僕もそう思うよ。」
話の雲行きが怪しい状況を理解してだろう…先程のボディ・ガードに話し掛けられる。
「殿下、お話中に申し訳ありません。少なくとも、今、社に報告する為に、何点か妹君に確認させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あぁ…そうだよね。ごめん。ユーリ、答えて。」
少し、不満そうな声を出しているが、それでも、社会の仕組みを理解していれば、全面的なノーは言わない。
「はい。あの…兄と家族だと言う事は、伏せて頂けますか?」
「承知致しました。では、まず、お名前を教えてください。」
「花村…悠李です。」
「所属組は?」
「…花組です。」
「へぇ…花か…。」
ボディ・ガードの養成所で訓練を受けたのであれば、『花組』の役割は、十二分に理解しているはずだ。
悠李は、品定めされるような視線を睨み返す。
「ずっと花?」
「はい。」
「解りました。それだけ解れば充分です。連絡しておきましょう。」
「よろしくお願い致します。」
悠李は、再び礼をした。
「殿下、ご協力ありがとうございました。後は、こちらで対応致しますので。」
「あぁ、すまないね。手間を掛けるが、よろしく頼むよ。」
労いの言葉を受け、悠李に話し掛けていたボディ・ガードは、社に悠李の状況を報告する為に立ち去った。
「それにしても…ユーリは、何だってボディ・ガードになりたいと思ったの?」
「…お兄ちゃんに会えるかと思って…選んだの。」
「……。」
今度は、兄が絶句する番だった。
まさか、悠李が兄に会う為にそんな選択をするとは思わなかったのだ。
「お兄ちゃん…?」
「嬉しいけれど、それでもユーリを危険な目に遇わせる可能性が高いのは…僕の本意では無いよ。」
「そうだよね…ごめん…。」
「解ってくれたならば、良いんだ。」
「でもね、辞めるかどうかについては…もう少し考えたいの。周りの大切な人達を守りたいのよ!!」
「とりあえず、飛行機は飛んでしまったんだし、お互いにゆっくりと休んで頭もリフレッシュしてから考えようか?」
「そうだね。でも、このまま国から出さないっていうのは…無しね?」
悠李は、念の為、そう兄に告げるのだった。
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