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【06】 混戦
*045* 追いかけっこ
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そのまま、斎藤は、月組の訓練生と夕食を取っているようだ。
悠李は、斎藤が飛び込んできた際に交わした言葉以外の会話をする事無く、自室に戻る事にする。
勿論、悠李にとっては、朝の斎藤の言葉は約束では無く、何時もみんなで一緒に食べている食事と同レベルなので、会話をせずに戻る事については、何の罪悪感も無い。
斎藤以外の組長達に戻る旨を伝え、食堂を後にする。
その時に、けたたましい物音が聞こえてきたが、悠李は、特に意識を向ける事無く、歩みを進めた。
談話室を通り過ぎ、男子寮も通り過ぎようとした時に、凄い力で悠李の左手首を掴まれた。
咄嗟に、手首を返し、反撃しようとするが、強い力で抑え込まれ手首が返せなかった。
「悠李ちゃん!!」
手首を掴んだのは、斎藤だった。
声を聞き、斎藤だと解ったので反撃する力を緩める。
「斎藤。そんなに急いで、どうした?」
「どうしたって…悠李ちゃん…。」
本当に意味が解らずに、悠李は怪訝な顔で首を傾げる。
「今日は、約束していたのに…ごめん!!」
「あぁ…あんなの、約束に入らないから、気にしなくて良い。」
「悠李ちゃん…誰かに操を立てている訳じゃないなら、僕とだって、良いだろ?」
最近、特に性に乱れている訳では無いとは、言えなかった。
それを言うと、誰が特定の相手なのか、言わなければならなくなる。
「最近は、段々と勉強も難しくなってきているから、そういう事に興味が湧かないんだ。」
悠李は、当り障り無く答える。
「一條教官だったら興味が湧くのかな?」
悠李の身体が硬くなり、その言葉に反応しそうになるが、ここで何かしらのサインが出てしまったら、斎藤の言葉を肯定した事になり兼ねない。
突然出てきた、一條の名前に、悠李の心臓がバクバクしだした。
余りの驚きに、斎藤の顔を見る事さえも出来なかった…。
「何で…一條?」
悠李は、声が震えそうになりながらも、出来るだけ平常を装い、問い掛ける。
「僕の口から言わせるつもり?」
「……。」
斎藤の口調は、まるで何もかもがお見通しのような調子だ。
しかし、斎藤のその言葉には、根拠が無い為、悠李の口から喋り出すのは、得策では無いように思えた。
「悠李ちゃんから言うつもりは無いみたいだから、僕から言おうか。」
口を割らない悠李に痺れを切らした斎藤は、自分の口から話し出すようだ。
「悠李ちゃん、昨日の夜、一條教官の部屋に行ったよね?」
次に斎藤の言葉がどう続くのか見当が付かない悠李は、特に何の反応も示す事が出来なかった。
悠李は、斎藤が飛び込んできた際に交わした言葉以外の会話をする事無く、自室に戻る事にする。
勿論、悠李にとっては、朝の斎藤の言葉は約束では無く、何時もみんなで一緒に食べている食事と同レベルなので、会話をせずに戻る事については、何の罪悪感も無い。
斎藤以外の組長達に戻る旨を伝え、食堂を後にする。
その時に、けたたましい物音が聞こえてきたが、悠李は、特に意識を向ける事無く、歩みを進めた。
談話室を通り過ぎ、男子寮も通り過ぎようとした時に、凄い力で悠李の左手首を掴まれた。
咄嗟に、手首を返し、反撃しようとするが、強い力で抑え込まれ手首が返せなかった。
「悠李ちゃん!!」
手首を掴んだのは、斎藤だった。
声を聞き、斎藤だと解ったので反撃する力を緩める。
「斎藤。そんなに急いで、どうした?」
「どうしたって…悠李ちゃん…。」
本当に意味が解らずに、悠李は怪訝な顔で首を傾げる。
「今日は、約束していたのに…ごめん!!」
「あぁ…あんなの、約束に入らないから、気にしなくて良い。」
「悠李ちゃん…誰かに操を立てている訳じゃないなら、僕とだって、良いだろ?」
最近、特に性に乱れている訳では無いとは、言えなかった。
それを言うと、誰が特定の相手なのか、言わなければならなくなる。
「最近は、段々と勉強も難しくなってきているから、そういう事に興味が湧かないんだ。」
悠李は、当り障り無く答える。
「一條教官だったら興味が湧くのかな?」
悠李の身体が硬くなり、その言葉に反応しそうになるが、ここで何かしらのサインが出てしまったら、斎藤の言葉を肯定した事になり兼ねない。
突然出てきた、一條の名前に、悠李の心臓がバクバクしだした。
余りの驚きに、斎藤の顔を見る事さえも出来なかった…。
「何で…一條?」
悠李は、声が震えそうになりながらも、出来るだけ平常を装い、問い掛ける。
「僕の口から言わせるつもり?」
「……。」
斎藤の口調は、まるで何もかもがお見通しのような調子だ。
しかし、斎藤のその言葉には、根拠が無い為、悠李の口から喋り出すのは、得策では無いように思えた。
「悠李ちゃんから言うつもりは無いみたいだから、僕から言おうか。」
口を割らない悠李に痺れを切らした斎藤は、自分の口から話し出すようだ。
「悠李ちゃん、昨日の夜、一條教官の部屋に行ったよね?」
次に斎藤の言葉がどう続くのか見当が付かない悠李は、特に何の反応も示す事が出来なかった。
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