独裁者サマの攻略法

観月 珠莉

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【06】 混戦

*041* 何時もの朝

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一條とどんな状態であっても、日々の訓練は続いていく…。
どんなに身体を繋げても、毎朝、起床時間には起き、朝の点呼が終われば訓練に向けて朝食を食べるのだ。
悠李は、混雑している食堂が不得手なので、何時も早目に向かって食べ出すようにしている。
そうして、何時もと変わらずに食事をしていると、殆どの場合、次に食堂に現れるのは、袴田だ。

「袴田、おはよ。今日も早いね。」
「おはよう、花村。お前も、変わらずだな。」

二人は、何時ものように挨拶を交わし、袴田は悠李の前の席に座る。

「もう直ぐ、スキルチェックだね。」
「そうだな。」
「各組、訓練生も結構減ってきたよね…。」
「まぁ、そうだな。常に、明日は我が身だと気を引き締めなければな。」

悠李は、その言葉を聞き、溜め息を漏らす。

「訓練に着いて行けない奴らは、早いうちに違う道を見つけた方が良い。ここで温情を受けながらスキルチェックに合格出来ても、訓練が終わった途端に命を落とす。」

袴田が言っている事は、間違い無く、正論だ。
悠李自身も、それは充分に認識しているつもりでいる。
しかし、どうにも割り切れないのは、男性と女性という性別の差なのだろうか?
それとも、袴田の育ってきた環境が、彼にそう言わせるのだろうか?
日本男児この上無い袴田は、ここに来るまで、どのように育ってきたのだろうか?

「解ってる…。」

お互いのボディ・ガードの志願動機を確認する事は、何となく暗黙のうちに不可侵領域としているところがある為、各組長に確認した事は無い。
袴田の生い立ちに想いを馳せていると、何時ものように斎藤がやってきた。

「あぁ~ッ、また三番目かぁ~!! 悠李ちゃんと二人きりになりたいんだから、袴田ももう少し空気読もうよ?」

ケラケラと笑いながら、斎藤は、当たり前のように悠李の横に座る。

「二人で話したいならば、もっと早く食堂に来れば良い。」

斎藤の言葉に動じる事も無く、袴田は、サラリと正論を返す。

「うぇ~ッ、相変わらず、袴田は厳しいなぁ~。」

笑いながら受け流す斎藤も、どうしてボディ・ガードなんかに志願したのだろう…とふと、疑問に思い、マジマジと斎藤の顔を見た。

「何々、悠李ちゃん? そんなに僕の顔を見て、いよいよ惚れちゃった?」

相変わらず、彼は、お目出度い感じだ。

「いや…目と鼻と口がついてるなぁ~…と思って。」

悠李が、何時ものように適当に受け流すと、斎藤は、途端にガッカリした声を出す。

「悠李ちゃん…もっと、ちゃんと僕を見てよ~。」
「機会があったらね…。」

そんな会話をしていると、森田と酒井も食堂にやってきて、何時も通り、組長が勢揃いしたのだった。
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