独裁者サマの攻略法

観月 珠莉

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【05】 応戦

*023* ウワサ話

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情報交換していると、朝食を手にした一條が通る。

「オトモダチごっこは、上手くいってるか?」

相変わらず、口が悪い男である。
悠李は、少し前に解散したばかりの一條の声を聞いて、思わず噎せる。

「悠李ちゃん、大丈夫?」

斎藤は、甲斐甲斐しく悠李の背中を撫でた。
悠李は、キッと一條を睨みつける。

「ほらほら、悠李。そうやってムキになるから一條教官に絡まれるんだよ。」

森田は悠李を宥めながら、諭すように頭をポンポンと叩く。

「はいはい、解ったよ。」

強がる悠李の表情も軽く受け流す。

「おい、森田。花村の事、余り甘やかし過ぎるなよ。」

一條の言葉を聞き、各組長達も苦笑いするしか無い。

「森田だけじゃないな。斎藤、酒井、袴田、お前らもだぞ!!」
「はぁ~い♪」

酒井は、持ち前の明るさで、軽く一條の言葉を請け負った。

「ま、組長達の連携は大切だからな。せいぜい、オトモダチごっこも大切にしろよ。」

そう言うと、一條は他の教官達が座る席へと歩いて行った。

「一條教官って、凄く、悠李ちゃんの事をよく見ているよね。」
「そうかな? 何かと突っ掛かってきてるだけじゃない?」
「ま、悠李がそう思っているならば、そういう事にしておこうか。」

結局、森田の一言で何と無く話が纏まった。

「ところでさ、一條教官って何であの若さでここの教官なんてやってるんだろうね?」

斎藤が、組長達に顔を近付け、突然話題を変えた。

「え…訓練生をイジメるのが至福の幸せだからじゃないの?」

悠李の言葉に、みんな、残念そうに温く笑う。

「確かに、他の教官よりは五歳以上は若そうだよね。その話題を振ってくるって事は、斎藤は何か知ってるの?」
「う~ん、何か噂なんだけどさ、命を狙われているとか何とか…。」

確かに、ボディ・ガードなんていう仕事の場合には、命の危機に曝される事は多数あるだろう。

「あんなにサイボーグみたいな一條を襲えるヤツが居たら、お目にかかりたい…。」

悠李は、ポツリと言った。

「一條教官程の能力があるのに、本当に訓練所に隔離する必要があるならば、余程の相手と言えるだろう。」

袴田も何かを考えるように呟いた。

「その話が本当だとしたら、相手って、どんな人なんだろうね? 想像つかないし~。」
「もしかしたら、一人では無く、組織…なのかもね?」

森田の言葉に、一同は押し黙った。

「悠李ちゃんなら聞けそうだし、一條教官に聞いてみてよ。」

斎藤は、軽く言うが、目は笑っていない。

「答えるとは思えないけど…。」
「いや、もしかしたら、花村が聞けばもしかしたらもしかするかもしれないな。」

袴田の言葉に一同は頷いた。
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