独裁者サマの攻略法

【04】 追撃

＊013＊ 手合せ (☆)

一條は、全く動じる事無く、言う。

「花村、返事は?」

悠李は、それでも一條の言葉に従う気は無かった。
必死で押さえつけられている頭を左右に動かす。
その様子を見て、一條は、頭を押さえつけたまま、暫し考え出した。
そして、含みのある笑みを浮かべながら、代案を提示してきた。

「よし、解った。俺が相手してやる。今後は、あちらこちらで粉をかける必要も無くなるな?」

悠李の思考は停止した。
しかし、口は反射で言葉を発していた。

「ムリムリムリムリムリムリムリムリ!!!!!!!!」

一條は、頭の押さえつけを更に強くする。

「無い無い無い無い無い無い無い無い!!!!!!!!」

悠李は、必死に有り得ない事を伝える。

「そんな事無いだろ?」
「そんな事あるから!!」

一條の言葉に、被せるように否定する。

「試してみようとは思わないのか?」
「一條と?」
「ここには、俺以外は居ないと思うが?」
「私、ペッティング以上の事はしないから!!」
「ふーん…なるほど。」
「な…何?」
「いや…兎に角、気持ち良くしてやれば良いんだろ?」
「うん…まぁ、そう。」

悠李は、取り敢えず、快楽を手に入れられるならば、まぁ、良いかという気持ちになりつつあった。

「こっちだ。」

悠李の気持ちが少しだけ前向きになったタイミングを逃さず、一條は、寝室へと誘う。
寝室もクイーンサイズのベッドらしく、これまた、ムダに立派な部屋だった。

「この部屋も…ムダに豪華だね。」

悠李はポツリと言う。
一條は、その言葉に特に答える事は無かった。

「で、何時もはどうしているんだ?」
「何時もって…。」
「脱がせてやろうか? それとも自分で?」

一條の言葉に、そういう質問だったのかと理解する。

「別に、脱がなくても出来るし。」

悠李が、訓練生同士で、そういう事をする時には、清潔とは言えない廊下の隅等でコトに及ぶ為、脱いで出来るような環境では無い事が多い。

「ふーん…まぁ、いい。」
「……?」
「途中で止める事は無いから、そのつもりで。」
「望むところよ!!」

悠李は、戦いを挑むような意気込みで、ベッドに入った。

「お前のやりたいようにしてやる。好きにやってみろよ。」

一條は、そう言うとゴロリと悠李の横に転がった。
何時もは何となく、相手からキスされて、お互いに触り合うので、今日もそうなのかと思っていた。
しかし、有ろうことか、一條は、何時ものやり方をして見せろという…。
自分から自発的にしなければならないのは、何の羞恥プレイかと思いつつも、チュッと軽く触れるだけの口付けをする。
直ぐに唇を離した時に視界に入る一條の顔は、本当に美しく整っている。
この美形からあの辛辣な言葉が発されるのは、ある意味暴力だ。
勿体ないなぁ…と思いながら、顔を眺めていると、後頭部を手で押さえつけられ、また、一條の唇に触れる事になる。
今度は、一條の舌が悠李の口の中に入り込み、きつく舌を絡ませてきた。