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【04】 追撃
*012* お小言
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「何…この、ムダにゴージャスな感じ。訓練生と違い過ぎでしょ…。」
悠李は思わず口にしていた。
「まぁ、座れよ。」
大層立派なソファを勧められる。
「失礼しま~す。」
取り敢えず、一言告げてから座ってみる。
座った瞬間に包み込むように深く身体が沈んだので、思わずビックリして一度立ち上がってしまう程には、フカフカなクッションだった。
「ほら。」
差し出された飲み物は、孤島では手に入れられない『缶ビール』だった。
悠李は、恩恵に与るべく両手で受け取る。
「飲めよ。」
一條は、顎で促す。
「頂きます…。」
悠李は、プシュリとプルトップを開け、一口飲んだ。
久々に喉を通るシュワシュワ感に思わず笑顔が浮かぶ。
訓練を始めて以来、数か月ぶりのアルコールだった。
「これって、どうやって運んでる訳?」
「お前らが食ってる食事が運ばれてくる時か、定期連絡時…あとは、スキルチェックの時に同僚に頼んでおいて調達しておいてもらったり…だな。」
聞くと、至極当然の話だった。
そして、悠李が思っているよりも、絶海の孤島は、孤島では無いという事も解った。
「…で、私は何で呼ばれたんでしょう?」
上目遣いで、恨めしそうに一條を見上げる。
「目立ち過ぎなんだよ…。」
一條は、溜め息と共に告げる。
悠李は、組長までやらされているのに、目立つ事の何が悪いのかが理解出来なかった。
「別に問題ないじゃん。」
「それが、訓練ならな。」
それ以外に何が目立つのか、悠李には皆目見当が付かなかった。
解らないという紙を顔から下げたような悠李に、一條は言い難そうに続けた。
「千夜一夜物語の王じゃないんだから、もう少し自重しろ。」
「あぁ…そっちかぁ…。」
悠李は、薄く笑う。
「こんな環境だ。特定の相手が出来る事もあるだろう。それならばそれで個人の責任で結構。訓練生だけじゃなくて、スキルチェックの教官にまで粉をかけるな。」
「何で知ってるの?」
「解るだろうが!! ここに居る他の教官も呆れているぞ。」
「すみませんでしたぁ。」
「謝って済む内は良いけどな、これから先、訓練はどんどん厳しくなって行く。その時に、お前のチェックの結果が不正だと言われたら、そこで終わりだって解っているのか?」
「……。」
悠李は、その場の潤いを求めているだけなので、そこまで深く考えている訳では無かった。
「だってぇ、ヤりたくなっちゃうお年頃なんだもん。」
「お前は春先の猫かッ!!」
「そんなんじゃ無いけどぉ~…まぁ、既に枯れちゃった一條には解らないのカモ…。」
そう発した時には、一條に頭をグリグリされた。
今回の一條のグリグリは、結構痛めだ。
「一條…痛いっ…てば!!」
「当たり前だろ。痛くしてるんだ。」
余りの痛さに、一條を涙目で睨みつけた。
悠李は思わず口にしていた。
「まぁ、座れよ。」
大層立派なソファを勧められる。
「失礼しま~す。」
取り敢えず、一言告げてから座ってみる。
座った瞬間に包み込むように深く身体が沈んだので、思わずビックリして一度立ち上がってしまう程には、フカフカなクッションだった。
「ほら。」
差し出された飲み物は、孤島では手に入れられない『缶ビール』だった。
悠李は、恩恵に与るべく両手で受け取る。
「飲めよ。」
一條は、顎で促す。
「頂きます…。」
悠李は、プシュリとプルトップを開け、一口飲んだ。
久々に喉を通るシュワシュワ感に思わず笑顔が浮かぶ。
訓練を始めて以来、数か月ぶりのアルコールだった。
「これって、どうやって運んでる訳?」
「お前らが食ってる食事が運ばれてくる時か、定期連絡時…あとは、スキルチェックの時に同僚に頼んでおいて調達しておいてもらったり…だな。」
聞くと、至極当然の話だった。
そして、悠李が思っているよりも、絶海の孤島は、孤島では無いという事も解った。
「…で、私は何で呼ばれたんでしょう?」
上目遣いで、恨めしそうに一條を見上げる。
「目立ち過ぎなんだよ…。」
一條は、溜め息と共に告げる。
悠李は、組長までやらされているのに、目立つ事の何が悪いのかが理解出来なかった。
「別に問題ないじゃん。」
「それが、訓練ならな。」
それ以外に何が目立つのか、悠李には皆目見当が付かなかった。
解らないという紙を顔から下げたような悠李に、一條は言い難そうに続けた。
「千夜一夜物語の王じゃないんだから、もう少し自重しろ。」
「あぁ…そっちかぁ…。」
悠李は、薄く笑う。
「こんな環境だ。特定の相手が出来る事もあるだろう。それならばそれで個人の責任で結構。訓練生だけじゃなくて、スキルチェックの教官にまで粉をかけるな。」
「何で知ってるの?」
「解るだろうが!! ここに居る他の教官も呆れているぞ。」
「すみませんでしたぁ。」
「謝って済む内は良いけどな、これから先、訓練はどんどん厳しくなって行く。その時に、お前のチェックの結果が不正だと言われたら、そこで終わりだって解っているのか?」
「……。」
悠李は、その場の潤いを求めているだけなので、そこまで深く考えている訳では無かった。
「だってぇ、ヤりたくなっちゃうお年頃なんだもん。」
「お前は春先の猫かッ!!」
「そんなんじゃ無いけどぉ~…まぁ、既に枯れちゃった一條には解らないのカモ…。」
そう発した時には、一條に頭をグリグリされた。
今回の一條のグリグリは、結構痛めだ。
「一條…痛いっ…てば!!」
「当たり前だろ。痛くしてるんだ。」
余りの痛さに、一條を涙目で睨みつけた。
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