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【04】 追撃
*010* 口説きタイム
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大学で言うところの一般教養的な基礎訓練が終わり、訓練生のシャッフルが始まるこの時期から、各組の個性…というべきか、担当すべき専門的な訓練が始まる。
悠李が所属する花組は、『情報収集』と…そう『お色気』担当だ。
「ボディ・ガードが最優先ですべき事は、クライアントの命を守る事。しかし、充分な情報を得ていなければ、守っているこちらが犬死にする可能性だってある。『花組』の担当は…花村?」
「『情報収集』と『うっふん』な感じ?」
花組訓練生はみんな床を叩きながら大ウケしている。
とても、女子とは思えないような豪胆な振る舞いだ。
ここに居る女子は、キレイだと言われたいだとか、カワイく見せたい…という意識がほぼ無い。
それよりも、もっと生きていく事にコミットしている肉食女子の集まりなのだ。
「ほぉ…そう言う事を言う口は、この口か、あぁ?」
一條は、持っていたムチを振るい、シュッという鳴り音をあげて、悠李が立っている左足から二センチの床が叩かれる。
「何すんだよ!! 危ないじゃないかッ!!」
悠李は本気でビビる。
「もっと気概を見せろ、気概を!! ムチが飛んできたらキャッチくらいしろよ!!」
悠李は、本当にそれをやったらバケモノだから…と思ったが、自分への被害がより大きく膨らみそうな気がしたので、口に出す事は止めた。
「花組の重要な役割は、『ハニートラップ』だ。」
「……それって、メッチャ攻撃系で、何処にも警護する雰囲気が無いんですけど。」
「重要な『諜報活動』だ。まさか、馬鹿の一つ覚えみたいに、最前線で、クライアントの横で守る事だけがボディ・ガードだと思っている訳では無いだろうな?」
「……。」
相変わらず、この教官の口の悪さはピカイチだ。
そんな事を想いながら、悠李の頭の中では、『スパイ大作戦』のテーマが流れていた。
「まずは、情報源に近付く為に相手の懐に入り込む必要がある。要は、相手を口説けって事だな。花村、俺を口説いてみろ。」
「…ハイ。」
悠李は、何故、一條を口説かねばならぬのだ…と思いながらも、訓練なので、やる。
まずは、手始めに軽く声を掛けてみた。
「こんにちは。」
「お前は、生粋のバカだろう? 今どき、小学生のナンパでも『こんにちは。』は無いな。」
挨拶をしただけで、こてんぱんにやられるのは如何なものか?
「一條教官がやって見せてくださいよ。」
悠李は、挑発的に言う。
実際には、この一條に果敢に噛み付いている様の方が、余程、琴線に触れる行動なのだが、悠李はさっぱり解っていなかった。
「へぇ…俺がやるのか? 構わんが。花村、そこに立っていろ。」
そう言うと、一條が悠李の横にやってきた。
少し近い距離から悠李をジッと見つめる。
一條の目力に悠李の意識が吸い込まれて行く…。
周りの景色が遮断され、世界に二人だけしか居ないような錯覚を覚えた時に、悠李の手が取られ、背筋にザワリと何かが走るように撫でられた。
悠李が所属する花組は、『情報収集』と…そう『お色気』担当だ。
「ボディ・ガードが最優先ですべき事は、クライアントの命を守る事。しかし、充分な情報を得ていなければ、守っているこちらが犬死にする可能性だってある。『花組』の担当は…花村?」
「『情報収集』と『うっふん』な感じ?」
花組訓練生はみんな床を叩きながら大ウケしている。
とても、女子とは思えないような豪胆な振る舞いだ。
ここに居る女子は、キレイだと言われたいだとか、カワイく見せたい…という意識がほぼ無い。
それよりも、もっと生きていく事にコミットしている肉食女子の集まりなのだ。
「ほぉ…そう言う事を言う口は、この口か、あぁ?」
一條は、持っていたムチを振るい、シュッという鳴り音をあげて、悠李が立っている左足から二センチの床が叩かれる。
「何すんだよ!! 危ないじゃないかッ!!」
悠李は本気でビビる。
「もっと気概を見せろ、気概を!! ムチが飛んできたらキャッチくらいしろよ!!」
悠李は、本当にそれをやったらバケモノだから…と思ったが、自分への被害がより大きく膨らみそうな気がしたので、口に出す事は止めた。
「花組の重要な役割は、『ハニートラップ』だ。」
「……それって、メッチャ攻撃系で、何処にも警護する雰囲気が無いんですけど。」
「重要な『諜報活動』だ。まさか、馬鹿の一つ覚えみたいに、最前線で、クライアントの横で守る事だけがボディ・ガードだと思っている訳では無いだろうな?」
「……。」
相変わらず、この教官の口の悪さはピカイチだ。
そんな事を想いながら、悠李の頭の中では、『スパイ大作戦』のテーマが流れていた。
「まずは、情報源に近付く為に相手の懐に入り込む必要がある。要は、相手を口説けって事だな。花村、俺を口説いてみろ。」
「…ハイ。」
悠李は、何故、一條を口説かねばならぬのだ…と思いながらも、訓練なので、やる。
まずは、手始めに軽く声を掛けてみた。
「こんにちは。」
「お前は、生粋のバカだろう? 今どき、小学生のナンパでも『こんにちは。』は無いな。」
挨拶をしただけで、こてんぱんにやられるのは如何なものか?
「一條教官がやって見せてくださいよ。」
悠李は、挑発的に言う。
実際には、この一條に果敢に噛み付いている様の方が、余程、琴線に触れる行動なのだが、悠李はさっぱり解っていなかった。
「へぇ…俺がやるのか? 構わんが。花村、そこに立っていろ。」
そう言うと、一條が悠李の横にやってきた。
少し近い距離から悠李をジッと見つめる。
一條の目力に悠李の意識が吸い込まれて行く…。
周りの景色が遮断され、世界に二人だけしか居ないような錯覚を覚えた時に、悠李の手が取られ、背筋にザワリと何かが走るように撫でられた。
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