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【08】 捕獲
*095* 微睡のひととき
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一條は、懐くように自分の傍に居る悠李との微睡の時間を楽しんでいた。
「どちらにしても、ここに居る間は、どうにも出来ないしな…。」
一條が、ポツリとそんな事を言う。
悠李は、一條の言葉の意味を計り兼ねて首を傾げるが、頭をガシガシと乱暴に撫でられて、そのまま悠李の頭の下に腕を入れ、自身の方へと抱き寄せた。
「それってどういう意味?」
「どういう意味だと思う?」
悠李の質問に、質問で返してきた。
やっぱり、悠李には理解出来ずに居た。
そうやって、一條は、何時でも悠李の質問に答えずにやり過ごしてきた。
それが、二人が一本の道を歩むまでの障害となって、ここ暫くの間、状況をややこしくさせてきたのも事実だ。
何も答えて貰えずに不安になっていた悠李の状況を思い出してか、一條が、悠李に向かって言った。
「お前が、受け取りたいように受け取れば良い。悪い意味では無いからな!!」
突然、そんな事を言われて驚いた悠李は、一條の顔を見ようとするが、頭をガシッと抑えられ、顔があげられないようにブロックされた。
そういう風に、人の動きを簡単に封じる事が出来るところは、流石に教官というところだろう。
悠李は、動かす事の出来る視線だけを上に向けると、ほんのりと一條の首筋が朱くなっているように見えたが気のせいだろうか?
こうやって、二人が少しずつ近寄って行けば良い。
二人の心地好い距離感を掴んで行けば良いのだ。
そう…二人には、まだまだ時間があるのだから。
「移動で疲れただろ? 少し、眠って行け。」
大きな手で悠李の瞼を下ろすと、一條はそう言った。
「でも……。」
「ちゃんと、困らないような時間に起こしてやる。」
「うん…ありがと。一條も寝るの?」
「あぁ、俺も少し寝る。」
そう言うと、ブランケットを引き寄せ、直ぐに寝息を立て始める。
当然だろう…交代要員も居ないまま、一人でヨーロッパ方面からプライベートジェットを操縦してきたのだ。
通常では、有り得ないような距離をよく、一人で操縦してきたと言える。
普段の訓練では、サイボーグかと思える程に体力がある一條だが、無事、この訓練所までの長距離を安全に運航してきてくれた事に、ただただ、頭が下がる。
「一條……ありがとうね。」
悠李は、小さい声で呟くと本格的に寝入る事にした。
既に寝ているはずの一條が、自分の方へと悠李を引き寄せて、まるで、悠李の言葉に反応している行動のようだと思った。
そうして、想いが通じ合った二人は、暫し、寄り添った時間を過ごす。
「どちらにしても、ここに居る間は、どうにも出来ないしな…。」
一條が、ポツリとそんな事を言う。
悠李は、一條の言葉の意味を計り兼ねて首を傾げるが、頭をガシガシと乱暴に撫でられて、そのまま悠李の頭の下に腕を入れ、自身の方へと抱き寄せた。
「それってどういう意味?」
「どういう意味だと思う?」
悠李の質問に、質問で返してきた。
やっぱり、悠李には理解出来ずに居た。
そうやって、一條は、何時でも悠李の質問に答えずにやり過ごしてきた。
それが、二人が一本の道を歩むまでの障害となって、ここ暫くの間、状況をややこしくさせてきたのも事実だ。
何も答えて貰えずに不安になっていた悠李の状況を思い出してか、一條が、悠李に向かって言った。
「お前が、受け取りたいように受け取れば良い。悪い意味では無いからな!!」
突然、そんな事を言われて驚いた悠李は、一條の顔を見ようとするが、頭をガシッと抑えられ、顔があげられないようにブロックされた。
そういう風に、人の動きを簡単に封じる事が出来るところは、流石に教官というところだろう。
悠李は、動かす事の出来る視線だけを上に向けると、ほんのりと一條の首筋が朱くなっているように見えたが気のせいだろうか?
こうやって、二人が少しずつ近寄って行けば良い。
二人の心地好い距離感を掴んで行けば良いのだ。
そう…二人には、まだまだ時間があるのだから。
「移動で疲れただろ? 少し、眠って行け。」
大きな手で悠李の瞼を下ろすと、一條はそう言った。
「でも……。」
「ちゃんと、困らないような時間に起こしてやる。」
「うん…ありがと。一條も寝るの?」
「あぁ、俺も少し寝る。」
そう言うと、ブランケットを引き寄せ、直ぐに寝息を立て始める。
当然だろう…交代要員も居ないまま、一人でヨーロッパ方面からプライベートジェットを操縦してきたのだ。
通常では、有り得ないような距離をよく、一人で操縦してきたと言える。
普段の訓練では、サイボーグかと思える程に体力がある一條だが、無事、この訓練所までの長距離を安全に運航してきてくれた事に、ただただ、頭が下がる。
「一條……ありがとうね。」
悠李は、小さい声で呟くと本格的に寝入る事にした。
既に寝ているはずの一條が、自分の方へと悠李を引き寄せて、まるで、悠李の言葉に反応している行動のようだと思った。
そうして、想いが通じ合った二人は、暫し、寄り添った時間を過ごす。
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