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【08】 捕獲
*085* 吐露
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悠李は、自分の気持ちを翻弄させた原因である一條の顔をキッと睨みつけた。
「一條がっ…!!」
「俺が何なんだよ?」
「一條が、国宝なんて持っているから…だから……!!」
「だから、何なんだ?」
「国宝を預かるくらいなんだから、大切な人だっただろう事くらいは見当がつくもの!! それなのに…。」
「俺にしておけと言ったのに、その言葉を無かった事にしたのはお前だろう!!」
珍しく、感情的に声をあげた一條は、目の前のテーブルをバンッと力強く叩く音が響く。
「だって…心の中に想っている人が居るのに、一番になりたいと思っちゃう自分の浅ましさも嫌だし、そんな状態で特別な存在なんかにしちゃったら…そんな苦しいのは耐えられないよ!!」
悠李は、今まで悶々と悩んでいた事を吐き出してしまった。
言うつもりも無かったのに…。
そして、それが一條に対する熱い告白になってしまっている事にも全く気付いていなかった。
一條がどんな風に悠李の言葉を聞いているのか、確認出来ない程に項垂れて想いを吐露してしまった。
「人を好きになる事は、そんなに怖い事か?」
一條は、先程とは打って変わって、静かな声で尋ねる。
悠李は、震えながら小さく頷く。
「何故だ?」
「もう…自分が大切だと思っている人を失うのは嫌だもの。」
「冬馬の事か?」
一條は、ここ数日で知った悠李の周りの環境を思い出し、一人納得した。
「うん。お兄ちゃん、ある日突然…あの国に行く事になって…何年も会えなくなっちゃった…。お別れさえも言えないまま別れたの…。」
兄が忽然と自分の前から姿を消してから、自分の中で『大切な人』を作る事を止めた。
もう、あんなに辛い想いをしたくなかった。
悠李は、今まで、誰にも告げた事の無い想いを打ち明けていた。
「普通じゃ経験しない事かもしれないけどな、遅かれ早かれ家族との突然の別れは経験するものなんだよ。誰もが経験する事を少し人よりも早く経験したってだけで、『大切な人』を作らないだなんて、不毛過ぎるだろう。お前の兄貴だって、生きていて再会出来たじゃないか?」
一條らしい言葉で悠李に告げている言葉は、包み込むような大きさが感じられた。
「一條は、『大切な人』が待っているんでしょ?」
「待っては…いないな…。」
「…どういう事?」
一條は、苦しそうな顔をしながら悠李に言った。
「続きを聞く気はあるか? もし、聞いたら…お前、逃がしてやれなくなるかもしれないぞ?」
悠李は、その言葉を聞き、一條の顔をジッと見つめた。
「一條がっ…!!」
「俺が何なんだよ?」
「一條が、国宝なんて持っているから…だから……!!」
「だから、何なんだ?」
「国宝を預かるくらいなんだから、大切な人だっただろう事くらいは見当がつくもの!! それなのに…。」
「俺にしておけと言ったのに、その言葉を無かった事にしたのはお前だろう!!」
珍しく、感情的に声をあげた一條は、目の前のテーブルをバンッと力強く叩く音が響く。
「だって…心の中に想っている人が居るのに、一番になりたいと思っちゃう自分の浅ましさも嫌だし、そんな状態で特別な存在なんかにしちゃったら…そんな苦しいのは耐えられないよ!!」
悠李は、今まで悶々と悩んでいた事を吐き出してしまった。
言うつもりも無かったのに…。
そして、それが一條に対する熱い告白になってしまっている事にも全く気付いていなかった。
一條がどんな風に悠李の言葉を聞いているのか、確認出来ない程に項垂れて想いを吐露してしまった。
「人を好きになる事は、そんなに怖い事か?」
一條は、先程とは打って変わって、静かな声で尋ねる。
悠李は、震えながら小さく頷く。
「何故だ?」
「もう…自分が大切だと思っている人を失うのは嫌だもの。」
「冬馬の事か?」
一條は、ここ数日で知った悠李の周りの環境を思い出し、一人納得した。
「うん。お兄ちゃん、ある日突然…あの国に行く事になって…何年も会えなくなっちゃった…。お別れさえも言えないまま別れたの…。」
兄が忽然と自分の前から姿を消してから、自分の中で『大切な人』を作る事を止めた。
もう、あんなに辛い想いをしたくなかった。
悠李は、今まで、誰にも告げた事の無い想いを打ち明けていた。
「普通じゃ経験しない事かもしれないけどな、遅かれ早かれ家族との突然の別れは経験するものなんだよ。誰もが経験する事を少し人よりも早く経験したってだけで、『大切な人』を作らないだなんて、不毛過ぎるだろう。お前の兄貴だって、生きていて再会出来たじゃないか?」
一條らしい言葉で悠李に告げている言葉は、包み込むような大きさが感じられた。
「一條は、『大切な人』が待っているんでしょ?」
「待っては…いないな…。」
「…どういう事?」
一條は、苦しそうな顔をしながら悠李に言った。
「続きを聞く気はあるか? もし、聞いたら…お前、逃がしてやれなくなるかもしれないぞ?」
悠李は、その言葉を聞き、一條の顔をジッと見つめた。
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