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【08】 捕獲
*081* 出発の時
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また、何時会えるか分からない兄との別れは後ろ髪引かれるが、それでも、一條の言葉に反応してしまう悠李が居る。
「絶対とは言い切れないが、俺の目が届く限り、花村は危険から守ってやるから安心しろ。」
一條は、そう言い残すと、扉に向かって歩き出した。
「お前に守って貰う謂れは無い!!」
兄のその言葉も軽く受け流し、取り合わずに歩き続けた。
悠李も兄を何度か振り返りながら、一條の言葉に従った。
その足で、国王陛下に挨拶をして出国したい旨を伝えたが、流石に朝が早過ぎるという事で、会う事は難しかった為、悠李は、お礼の手紙を認める事にした。
部屋に戻ると、悠李が部屋から居なくなっていた事で、侍女が慌てていた為、お詫びと事情を伝え、訓練着を持ってきてもらう。
訓練着に着替えると、訓練所で数か月しか経っていないはずの悠李だが、何となく安心してしまう自分が居た。
「準備出来たか?」
「うん。」
「行くぞ。」
「何処に行くの?」
「駐機場に決まってるだろ?」
言い合いをしながらも、二人の足取りは早い。
「お、訓練着に戻ると途端に訓練生っぽくなるなぁ。」
ボディ・ガードとして立っていた男が、急ぐ二人に暢気そうに声を掛ける。
「おはようございます。」
悠李は、挨拶した。
「着ている服によって、随分と雰囲気が違うな。」
そう言ってカラカラと笑っている。
「どういう意味ですか?」
「褒めてるんだよ。このまま訓練が終われば、将来が楽しみって事だ!!」
「……。」
悠李は、それに対して答える事が出来なかった。
「谷崎さん、コイツを揶揄っても、期待通りの反応はしませんよ。」
悠李の代わりに一條が答えていた。
「ほら、行くぞ!!」
「一條、お前…優秀なんだから、早く現場に戻って来いよ!!」
谷崎の言葉に軽く頷くと、悠李の腰に軽く手を当てて、歩くように促す。
「そう言えば…ずっと、一條が操縦するの?」
「お前、操縦出来るのか?」
「出来ない…。」
「じゃ、俺しかいないだろ?」
「……よろしくお願いします。」
悠李は、スタスタと歩き続ける一條の横を少し小走りになりながら、付いて行く。
あんなに早く起こされて準備をしたのに、気付けば、結構な時間が過ぎている。
急ぎ目に結構な距離を歩き続けた二人は、ようやく駐機場へと辿り着いた。
それでも、王城の敷地内だった。
「へぇ…これで…一條は、一人で来たの?」
「他に誰も居ないだろうが!!」
「はい…そうでした。」
「ほら、帰るぞ!! 乗れ!!」
一條に促され、小さなプライベートジェットに乗り込んだ。
「絶対とは言い切れないが、俺の目が届く限り、花村は危険から守ってやるから安心しろ。」
一條は、そう言い残すと、扉に向かって歩き出した。
「お前に守って貰う謂れは無い!!」
兄のその言葉も軽く受け流し、取り合わずに歩き続けた。
悠李も兄を何度か振り返りながら、一條の言葉に従った。
その足で、国王陛下に挨拶をして出国したい旨を伝えたが、流石に朝が早過ぎるという事で、会う事は難しかった為、悠李は、お礼の手紙を認める事にした。
部屋に戻ると、悠李が部屋から居なくなっていた事で、侍女が慌てていた為、お詫びと事情を伝え、訓練着を持ってきてもらう。
訓練着に着替えると、訓練所で数か月しか経っていないはずの悠李だが、何となく安心してしまう自分が居た。
「準備出来たか?」
「うん。」
「行くぞ。」
「何処に行くの?」
「駐機場に決まってるだろ?」
言い合いをしながらも、二人の足取りは早い。
「お、訓練着に戻ると途端に訓練生っぽくなるなぁ。」
ボディ・ガードとして立っていた男が、急ぐ二人に暢気そうに声を掛ける。
「おはようございます。」
悠李は、挨拶した。
「着ている服によって、随分と雰囲気が違うな。」
そう言ってカラカラと笑っている。
「どういう意味ですか?」
「褒めてるんだよ。このまま訓練が終われば、将来が楽しみって事だ!!」
「……。」
悠李は、それに対して答える事が出来なかった。
「谷崎さん、コイツを揶揄っても、期待通りの反応はしませんよ。」
悠李の代わりに一條が答えていた。
「ほら、行くぞ!!」
「一條、お前…優秀なんだから、早く現場に戻って来いよ!!」
谷崎の言葉に軽く頷くと、悠李の腰に軽く手を当てて、歩くように促す。
「そう言えば…ずっと、一條が操縦するの?」
「お前、操縦出来るのか?」
「出来ない…。」
「じゃ、俺しかいないだろ?」
「……よろしくお願いします。」
悠李は、スタスタと歩き続ける一條の横を少し小走りになりながら、付いて行く。
あんなに早く起こされて準備をしたのに、気付けば、結構な時間が過ぎている。
急ぎ目に結構な距離を歩き続けた二人は、ようやく駐機場へと辿り着いた。
それでも、王城の敷地内だった。
「へぇ…これで…一條は、一人で来たの?」
「他に誰も居ないだろうが!!」
「はい…そうでした。」
「ほら、帰るぞ!! 乗れ!!」
一條に促され、小さなプライベートジェットに乗り込んだ。
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