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【07】 撃破
*077* 真実
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今までは、特に質問される事も無かったし、自分から何かを言う必要も無かったが、この国に来て、この状況下では、話は別だ。
悠李は、ゆっくりと話し出した。
「隠しているつもりは無かったんだけれど…母が、この国の出身なのよね…。」
「お前、フランス人とのハーフじゃなかったのか?」
一條は、入社時に提出した悠李のプロフィールの事を言っているのだろう、至極当然な質問をしてきた。
「いや…騙している訳では無く、この国の名前を日本の人が知っているとも思えなかったから…。」
「だから、フランス人?」
「元々のルーツは変わらないんだから、完全な嘘でも無いかと…。」
悠李の言葉は、悄悄と萎んでいく。
「あぁ?」
一條は、呆れた声で言う。
「まさか、入ったところでボディ・ガードの依頼を受けているなんて思わないじゃない…。」
悠李は、困ったような複雑な声で訴える。
「しかも、何で、一條は国王陛下とか、知ってるのよ…?」
「まぁ…この国に来ていたからな。」
「えぇ~~~~~ッ!!!!!!」
何処かで接点を感じていたところはあったものの、悠李は、実際に、一條の口から事実を言われ、驚きを隠せなかった。
「デカい声を出すな!!」
「すみません…。」
大きい声を出した自覚のある悠李は、直ぐに、反省する。
「で、皇太子様がお前のお兄様ってコトか?」
「……まぁ…そう…です…。」
「……。」
一條は、思わず大きな溜め息を吐く。
「お前の母親は…?」
「……?」
悠李は、一條の質問の意図が掴めずに、首を傾げる。
「……王族関係者か?」
一條は、声を押し殺したように質問する。
まるで、悠李の口から出てくる答えを聞きたくないように…。
「えっと……国王陛下の…妹?」
悠李は、とぼけたような口調で、重要な事をサラリと言ってのけた。
その様子から、一條は肩をガックリと落とす。
「お前は、この国に住んでいれば王族…または、公爵家の令嬢という訳だ?」
「そんなのは、解らない。だって、ずっと日本に住んでいるし…。そんなの、考えた事も無い。」
「今後は、どうするつもりなんだ? これを機に辞めるか?」
「え、何で???」
悠李は、一條の言葉の意味が理解出来なかった。
「絶対に辞めないし!!」
一條の言葉で、何時もの悠李の負けず嫌いに火が点く。
「ふぅ~ん。まぁ、良いけどな。」
一條は、何か含みがあるような口調でそう言った。
そして、悠李の言葉を聞いた一條が、悠李の腕を取り、自分の方へと引き寄せようとした時に、悠李に腕を突っ張られ、その動きを遮られた。
悠李は、ゆっくりと話し出した。
「隠しているつもりは無かったんだけれど…母が、この国の出身なのよね…。」
「お前、フランス人とのハーフじゃなかったのか?」
一條は、入社時に提出した悠李のプロフィールの事を言っているのだろう、至極当然な質問をしてきた。
「いや…騙している訳では無く、この国の名前を日本の人が知っているとも思えなかったから…。」
「だから、フランス人?」
「元々のルーツは変わらないんだから、完全な嘘でも無いかと…。」
悠李の言葉は、悄悄と萎んでいく。
「あぁ?」
一條は、呆れた声で言う。
「まさか、入ったところでボディ・ガードの依頼を受けているなんて思わないじゃない…。」
悠李は、困ったような複雑な声で訴える。
「しかも、何で、一條は国王陛下とか、知ってるのよ…?」
「まぁ…この国に来ていたからな。」
「えぇ~~~~~ッ!!!!!!」
何処かで接点を感じていたところはあったものの、悠李は、実際に、一條の口から事実を言われ、驚きを隠せなかった。
「デカい声を出すな!!」
「すみません…。」
大きい声を出した自覚のある悠李は、直ぐに、反省する。
「で、皇太子様がお前のお兄様ってコトか?」
「……まぁ…そう…です…。」
「……。」
一條は、思わず大きな溜め息を吐く。
「お前の母親は…?」
「……?」
悠李は、一條の質問の意図が掴めずに、首を傾げる。
「……王族関係者か?」
一條は、声を押し殺したように質問する。
まるで、悠李の口から出てくる答えを聞きたくないように…。
「えっと……国王陛下の…妹?」
悠李は、とぼけたような口調で、重要な事をサラリと言ってのけた。
その様子から、一條は肩をガックリと落とす。
「お前は、この国に住んでいれば王族…または、公爵家の令嬢という訳だ?」
「そんなのは、解らない。だって、ずっと日本に住んでいるし…。そんなの、考えた事も無い。」
「今後は、どうするつもりなんだ? これを機に辞めるか?」
「え、何で???」
悠李は、一條の言葉の意味が理解出来なかった。
「絶対に辞めないし!!」
一條の言葉で、何時もの悠李の負けず嫌いに火が点く。
「ふぅ~ん。まぁ、良いけどな。」
一條は、何か含みがあるような口調でそう言った。
そして、悠李の言葉を聞いた一條が、悠李の腕を取り、自分の方へと引き寄せようとした時に、悠李に腕を突っ張られ、その動きを遮られた。
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