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【07】 撃破
*075* お着替え
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同じタイミングで、扉がノックされる。
一條と悠李は顔を見合わせるが、慌てて身体を離した。
そして、何も無かったように普通の声で扉へと答える。
『はぁい、どうぞ~!!』
『失礼致します。ユーリ様、お着替えを手伝いに参りました。』
先程、支度を手伝ってくれた三名の侍女が部屋に入ってきた。
一條の姿を確認すると、同室に男性と二人で居る事を怪訝そうな顔で見ている。
『あの…日本で、仕事でお世話になっている方で、迎えに来てくれたんです。疚しい事はありませんから。』
『そうですか……?』
この国の文化では、考えられない事なのだろうが、今の一條と悠李には、何処にも疚しいところは無いので、そう説明する以外に方法は無い。
話し掛けてきた侍女よりも少し先輩であろう侍女が、悠李に話し掛けてくる。
『では、ベッドルームにてお着替えを。』
『あ、よろしくお願いします。』
悠李は頭を下げて、声を掛けてきた侍女の後に続く。
『そうだ!! そちらの男性にお茶を淹れて差し上げてください。もう少し、話がありますので。』
悠李は、そこに一人、侍女を残して寝室へと向かった。
寝室へと入ると、先輩侍女に窘められる。
『ユーリ様、殿方とお二人というのは、あまり関心出来ません。』
この国の国民でも無いのに、注意を受ける。
『あら、日本では、男女が一緒に居る事は、別に疚しい事では無いのよ?』
『そうですか…。』
それ以上の口出しは、出過ぎた態度だと感じたのか、何も言う事は無く、着替えを手伝ってくれた。
ドレスとコルセットを外すとようやく深く息を吸い込める。
『あの…もう少し、彼と日本に帰る話をしなければいけないので、ワンピースか何かをお借り出来ませんか?』
お互いの生まれたままの姿を知っていると言っても、流石に、侍女達も居るような場所で、部屋着のまま一條の前に出る訳にはいかない。
『少々、お待ちください。』
侍女の一人が寝室を出て行った。
服を見繕ってくれるらしい。
『ユーリ様が、このまま、この国に残って下されば、国王陛下もトーマ様もお喜びになられますのに…。』
残った侍女が、自身の願望をポツリと口にした。
『ありがとう。私も国王陛下や兄は大好きだわ!! でも、二人も子供が外国に行ってしまうと、日本に居る父と母が寂しくなっちゃうでしょ。だから、お気持ちだけ、頂いておくわ♪』
悠李は、茶目っ気たっぷりにウィンクして、その侍女に言った。
侍女は、その様子を見て、思わず笑う。
『ヨハンナ様と似ていらっしゃるのに、魅力はまた、違う魅力ですのね。』
『そうね。私は、ヨハンナ程、エレガントになれないわ。』
悠李は、侍女と笑顔で話を続けた。
一條と悠李は顔を見合わせるが、慌てて身体を離した。
そして、何も無かったように普通の声で扉へと答える。
『はぁい、どうぞ~!!』
『失礼致します。ユーリ様、お着替えを手伝いに参りました。』
先程、支度を手伝ってくれた三名の侍女が部屋に入ってきた。
一條の姿を確認すると、同室に男性と二人で居る事を怪訝そうな顔で見ている。
『あの…日本で、仕事でお世話になっている方で、迎えに来てくれたんです。疚しい事はありませんから。』
『そうですか……?』
この国の文化では、考えられない事なのだろうが、今の一條と悠李には、何処にも疚しいところは無いので、そう説明する以外に方法は無い。
話し掛けてきた侍女よりも少し先輩であろう侍女が、悠李に話し掛けてくる。
『では、ベッドルームにてお着替えを。』
『あ、よろしくお願いします。』
悠李は頭を下げて、声を掛けてきた侍女の後に続く。
『そうだ!! そちらの男性にお茶を淹れて差し上げてください。もう少し、話がありますので。』
悠李は、そこに一人、侍女を残して寝室へと向かった。
寝室へと入ると、先輩侍女に窘められる。
『ユーリ様、殿方とお二人というのは、あまり関心出来ません。』
この国の国民でも無いのに、注意を受ける。
『あら、日本では、男女が一緒に居る事は、別に疚しい事では無いのよ?』
『そうですか…。』
それ以上の口出しは、出過ぎた態度だと感じたのか、何も言う事は無く、着替えを手伝ってくれた。
ドレスとコルセットを外すとようやく深く息を吸い込める。
『あの…もう少し、彼と日本に帰る話をしなければいけないので、ワンピースか何かをお借り出来ませんか?』
お互いの生まれたままの姿を知っていると言っても、流石に、侍女達も居るような場所で、部屋着のまま一條の前に出る訳にはいかない。
『少々、お待ちください。』
侍女の一人が寝室を出て行った。
服を見繕ってくれるらしい。
『ユーリ様が、このまま、この国に残って下されば、国王陛下もトーマ様もお喜びになられますのに…。』
残った侍女が、自身の願望をポツリと口にした。
『ありがとう。私も国王陛下や兄は大好きだわ!! でも、二人も子供が外国に行ってしまうと、日本に居る父と母が寂しくなっちゃうでしょ。だから、お気持ちだけ、頂いておくわ♪』
悠李は、茶目っ気たっぷりにウィンクして、その侍女に言った。
侍女は、その様子を見て、思わず笑う。
『ヨハンナ様と似ていらっしゃるのに、魅力はまた、違う魅力ですのね。』
『そうね。私は、ヨハンナ程、エレガントになれないわ。』
悠李は、侍女と笑顔で話を続けた。
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