73 / 95
【07】 撃破
*073* お開き
しおりを挟む
少し、自分の中で考えを纏めた一條は、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す。
『彼女が所属している会社から、迎えに来るように指示がありましたので。』
『そうか…久しぶりの再会なのだが、もう少しゆっくりして行く事は出来ないのだろうか?』
『……。』
一條は、返答に悩む。
戻るのが遅くなれば、遅くなる程、事態の収拾が大変になる為だ。
一條の場合には、仕事とも言えるし、自身の長期休暇をあてがこっても何とかなる。
訓練が関係している悠李の事を考えると、頭が痛い提案だった。
『私だけの判断では決められませんので、確認する時間を頂いてもよろしいですか?』
『勿論だとも。』
国王陛下は、広い心で一條の提案を受け入れた。
『良い返事を期待しているよ。』
「僕は、妹が危険な仕事に就く事を絶対に認めない!!」
兄は、国王陛下に解らないように、日本語で一條を牽制した。
「もう、成人過ぎてるんだから、オニイチャンの出番は無いんじゃないのか? あいつの人生は、あいつのもんだ。」
一條も、サラリと日本語で言葉を返した。
この、兄と一條の物騒なやりとりを、兎に角止めさせなければならない。
『国王陛下、あの…今日は、もう疲れてしまったので、早目にお休みさせて頂いて、また、明日にでもサロンでお茶をご一緒して頂けませんか?』
悠李は、この場を収束させる為に、まず、自身が自室に戻る事を選択した。
『あぁ…ユーリも突然の長旅だったしね。今日はゆっくりとお休み。』
優しい笑顔でそう告げると、一條に見せつけるように、こめかみに軽くキスをする。
『お兄ちゃん、ありがと。お休みなさい。』
悠李は、兄に挨拶をする。
次に、国王陛下が手を拡げているので、ハグして挨拶する。
『ユーリ、今日は会えて嬉しかったよ。ゆっくりお休み。』
『ありがとうございます、国王陛下。お休みなさい。』
二人に挨拶を済ませると、悠李は、行きと同じように覚束無い足取りで、今日自分が使うべき部屋へと戻って行った。
「花村、後で、部屋に行く。」
悠李は、小さく頷いて、一條の言葉に答えた。
一條は、そのまま残っているらしい。
入国してから身の回りを守ってくれているボディ・ガードが悠李を先導しながら、部屋へと到着したのだった。
自分達が、日々、訓練している事が、今、目の前で実践されている。
悠李は、守られる側から見える景色で学ぼうと悠長な事を思っていた。
ヨタヨタと頼りなく歩いていると、部屋に到着した。
「どうぞ。」
ボディ・ガードが扉を開けて、中を確認した後、悠李を室内へと促す。
「ありがとうございます。」
「用事がありましたら、何時でもどうぞ。その前に一條が来るとは思いますが。」
ボディ・ガードとして付き添ってくれた会社の先輩は、笑いながら立ち去って行った。
『彼女が所属している会社から、迎えに来るように指示がありましたので。』
『そうか…久しぶりの再会なのだが、もう少しゆっくりして行く事は出来ないのだろうか?』
『……。』
一條は、返答に悩む。
戻るのが遅くなれば、遅くなる程、事態の収拾が大変になる為だ。
一條の場合には、仕事とも言えるし、自身の長期休暇をあてがこっても何とかなる。
訓練が関係している悠李の事を考えると、頭が痛い提案だった。
『私だけの判断では決められませんので、確認する時間を頂いてもよろしいですか?』
『勿論だとも。』
国王陛下は、広い心で一條の提案を受け入れた。
『良い返事を期待しているよ。』
「僕は、妹が危険な仕事に就く事を絶対に認めない!!」
兄は、国王陛下に解らないように、日本語で一條を牽制した。
「もう、成人過ぎてるんだから、オニイチャンの出番は無いんじゃないのか? あいつの人生は、あいつのもんだ。」
一條も、サラリと日本語で言葉を返した。
この、兄と一條の物騒なやりとりを、兎に角止めさせなければならない。
『国王陛下、あの…今日は、もう疲れてしまったので、早目にお休みさせて頂いて、また、明日にでもサロンでお茶をご一緒して頂けませんか?』
悠李は、この場を収束させる為に、まず、自身が自室に戻る事を選択した。
『あぁ…ユーリも突然の長旅だったしね。今日はゆっくりとお休み。』
優しい笑顔でそう告げると、一條に見せつけるように、こめかみに軽くキスをする。
『お兄ちゃん、ありがと。お休みなさい。』
悠李は、兄に挨拶をする。
次に、国王陛下が手を拡げているので、ハグして挨拶する。
『ユーリ、今日は会えて嬉しかったよ。ゆっくりお休み。』
『ありがとうございます、国王陛下。お休みなさい。』
二人に挨拶を済ませると、悠李は、行きと同じように覚束無い足取りで、今日自分が使うべき部屋へと戻って行った。
「花村、後で、部屋に行く。」
悠李は、小さく頷いて、一條の言葉に答えた。
一條は、そのまま残っているらしい。
入国してから身の回りを守ってくれているボディ・ガードが悠李を先導しながら、部屋へと到着したのだった。
自分達が、日々、訓練している事が、今、目の前で実践されている。
悠李は、守られる側から見える景色で学ぼうと悠長な事を思っていた。
ヨタヨタと頼りなく歩いていると、部屋に到着した。
「どうぞ。」
ボディ・ガードが扉を開けて、中を確認した後、悠李を室内へと促す。
「ありがとうございます。」
「用事がありましたら、何時でもどうぞ。その前に一條が来るとは思いますが。」
ボディ・ガードとして付き添ってくれた会社の先輩は、笑いながら立ち去って行った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
52
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる